1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.155)
 
以前(2011年8月12日)にも、このコラムで書いたことがありますが、民法733条が女性だけに離婚後6ヶ月経過しないと再婚できないと定めていることは、法の下の平等に反し、すごく不合理な規定だと思っています。
 
そんな折り、大学時代からの友人である岩城穣弁護士(大阪弁護士会所属)が、民法733条の再婚禁止期間を適用させなかったという画期的な成果を得たと事務所ニュースで読んだので、紹介します。
 
A子さん(1945年生)は、1969年にBと結婚したが、1989年から別居。その後Bとは音信不通状態。
他方、A子さんは1993年頃からCと同棲を開始し、事実上の夫婦として暮らしてきた。
A子さんとBは2011年11月に離婚が成立したが、内縁の夫Cが末期ガンであることが判明。すぐにでもCとの婚姻届を出したいが、民法の規定に従って離婚後6ヶ月も待っていたら、Cは死んでしまうかもしれない。
A子さんは、既に60代で民法733条が危惧するような妊娠の可能性はない。
 
そこで、A子さんは、弁護士と相談し、Bとの離婚届とCとの婚姻届の両方を役所を提出することにしました。
すると、戸籍係から電話があり、岩城弁護士はこれまでの経緯を説明し、受理しなければ国家賠償請求訴訟も辞さないと強く申し入れました。
またA子さん自身も役所に一生懸命説明したところ、なんと婚姻届は受理されたそうです。
Cはその2ヶ月後に死亡されたそうです。
 
民法733条は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、前婚か後婚かどちらの夫の子どもかわからなくなるのでそれを防ぐというのが立法趣旨です。
しかし、再婚が認められなくても、妊娠してしまう女性もいるでしょうし、現在はDNA鑑定によりかなり高い確率で親子関係は判定できます。
また、A子さんのように、そもそも妊娠する可能性がない女性もいます。
最高裁は、未だに民法733条は違憲ではないとしていますが、どう考えても不合理な規定です。
 
岩城弁護士も書いていますが、おそらく、戸籍係の担当者は法務省に「お伺い」をたてて受理を決めたものと推測されます。
 
このようなケースがあることを知ると、たとえ最高裁の判例があっても、おかしいことに対し最初からあきらめてはいけないと思いました。
とても勉強になりました。
 
 
 
 
 
 
 

「離婚について」という講演をしてきました。

 
(女性弁護士の法律コラム NO.154)
 
1月20日午前、京都市ひとり親家庭支援センターで「離婚について」というタイトルで講演を行いました。
離婚に関する法律の内容や手続きなど、基礎的なことをお話しました。
 
講演の準備をする中で統計を調べてみると、2012年の離婚件数は、約23万6000組。
これは、2分13秒に1組の夫婦が離婚していることになります。
また、同居期間で比べると、5年未満の離婚件数が最も多く、次いで5~10年未満が多いことがわかりました。
ただ、20年以上という中高年の離婚件数も横ばいで目立ちます。
 
約90%の夫婦が協議離婚により離婚しているという実態は、数字的には以前からあまり変わっていないというのが実感です。
 
午後は、引き続き個別の法律相談を受けました。
やはり一人ひとりの悩みや抱えておられる問題は様々でした。
「こんなこと尋ねてもいいだろうか」と思わず、気軽に法律相談に来ていただきたいと思いました。

親と子どもの関係について

 
(女性弁護士の法律コラム NO.153)
 
最近、父親と子どもとの関係をめぐる最高裁の判決が相次いで出された。
その内容は、事務所のトップページの「最新判例」で紹介しているが、以下の2つだ。
 
●2013年12月 性別を女から男へと変更した父親に、人工受精によって誕生した子をその父親の子と推定
●2014年1月  認知した父親でも認知後無効を主張できる
 
前者の判例は、生物学的には明らかに子どもができない夫婦の間に人工授精によって誕生した子をその夫婦の子と認定した。
性同一障害特例法ができたことを背景に、生物学的な関係がない親子に社会的な意味での親子関係を認めたことになる。
他方、タレントのMさんは、自分の卵子と夫の精子を用いて、アメリカで代理出産をしたが、最高裁は平成19年3月、Mさんの実子とは認めないという判断を下した。
生まれた子は、生物学的意味では明らかにMさん夫婦の子であるにもかかわらず、Mさんが懐胎・出産したのではないという事実で否定した。
わが国では「代理出産制度」が認められていないというのも理由に揚げられているが、生まれてきた子どものことを考えると、このような扱いは妥当なんだろうかと思ってしまう。
 
次に後者のホットな最高裁判例は、父親が一度認知をしても、その後、反対事実を主張してその認知の効力を覆すことができるとの初判断を示した。
他方、「夫の子」と推定されて誕生した子どもについては、誕生したことを知ってから1年が経過してしまうと、原則として「自分の子でない」と主張することはできない。
子どもの法的な地位を早期に安定させる趣旨であると言われているが、そうであれば、認知を受けた子どもも同じではないのか。
 
私自身としては、冒頭の最高裁判例との関係で、上記の2つの事柄がなんとなく統一的に理解できず、わりきれない思いが残る。
 
民法制定当時には考えられなかったような多様な家族関係が存在する。
だから、現在は過渡期なのかなと思う。
いずれにしても、何の罪もない子どもが平等な取り扱いがなされるような法解釈や法制度の整備が早急に求められる。
 
福山雅治主演の「そして父になる」という最新映画。
取り違えられた子どもを長年育てた後にその事実を知った夫婦・家族の苦悩がテーマの映画だと聞いた。
観たいと思っていたが、観逃してしまった。
テレビで放映されたら、絶対に観ようと思っている。
 
 
 
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.152)
 
12月15日の日曜日、日本弁護士連合会男女共同参画推進本部と京都女子大学法学部との交流会にオブザーバーとして参加しました。
 
私が弁護士となったのが1982(昭和57)年。
この年の日本の女性弁護士数は477人、弁護士全体の4.0%でした。
それが、2013年には5936人となり、全体の17.7%を占めています。
しかし、約30年の間の女性弁護士の増加は著しいものの、ここ数年は、大きく増加していません。
その背景には、司法試験制度や弁護士の就職が厳しい現状があるようです。
そんな中で、今回、日本の女子大で初めて法学部を持った京都女子大学と、日弁連男女共同参画推進本部が交流会を持つという企画があることを知り、参加させていただきました。
 
京都女子大学に法学部ができたのは、2011年4月。今年の三回生が第1期生です。
女性の視点を取り入れた独自の法学教育を実践されており、一般の法律科目以外に、「ジェンダーと法」など女性特有の社会問題に関する講座も設けられています。
また、教員も男女ほぼ同数です。
更に、法学部校舎の中には、立派な模擬法廷も設けられていました。
 

 
学部内の模擬法廷を見学させていただいた後、教員や学生さんらと交流会がありました。
学生さんたちからは、弁護士の仕事の実際や、どんな弁護士になってほしいか、女性弁護士の就職状況など熱心に質問が出されました。
 
今回、交流会に参加して、女性の視点からも法律が学べるこのような大学は魅力的だと感じるとともに、もっと多くの女性に弁護士を目指してもらえるよう、若手弁護士の就職やその後の育成を真剣に考えていかなければならないと思いました。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.151)
 
私が弁護士になって約30数年の間には、いくつかの女性労働者の権利に関する裁判に関わることができた。
弁護士というのは「こんな裁判をやってみたいなあ」と思っても、闘う事件と当事者との出会いがなければ裁判をすることができない。
その意味で、今から振り返ると、私は幸せだったと思う。
 
そんな、これまで関わってきた女性労働者の権利に関する裁判の中で、弁護士になって最初に関わったのが、保育園に勤務していたI保母の雇止め事件だった。
 
期限付き雇用で労働者を雇い入れ、更新を繰り返したあげく、いらなくなると雇止め。
そんなやり方は当時から横行していたが、何回も契約更新された事案については、裁判上、救済されるケースも少なくなかった。
ところが、I保母は、期限付き雇用の1回目の更新時に更新が拒否された。
前例のない裁判だった。
 
裁判が始まった1986年当時、私は弁護士4年目。
弁護団を組み、1989年4月に京都地裁で得た判決は、I保母全面勝訴。
合理的理由のない期限は無効であるという画期的な判決だった。
そして大阪高裁で和解解決。
 
あれから24年。
先週、24年ぶりに、Iさん、当時、福祉保育労働組合として支援してくれていたKさん、そして弁護団のうち女性弁護士3人が集い、「ロカンダきだや」という町屋のイタリアンレストランで「女子会」を行った。
皆、平等に、24年という歳月が流れ、それぞれ山あり谷ありの人生を送ってきたが、それでも、弁護団会議でケンケンガクガクの議論をしたことや様々なエピソードなど、どこまで正確かは誰もさだかではないが、それなりによみがえってきた。
 
おいしい豆料理の話にも花が咲き、これからもこういう機会を持つことができそうな予感がしている。
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.150)
 
9月4日最高裁が民法の婚外子の相続分差別規定が憲法違反であると判断してから既に約2ヶ月以上経過しました。
ここに来て、11月12日、やっと政府は、婚外子の相続分を婚内子と平等に認める民法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。
 
最高裁が違憲だと判断したのですから、今国会にいち早く法案が提出されるべきでした。
それを阻んだのは、自民党内の「正妻の地位を脅かしている」「家族制度が崩壊する」などという強硬な反対意見でした。
自民党内の保守系議員たちは、これまで婚外子差別や夫婦別姓の議論が出るたびに、「家族制度が崩壊する」とか「日本の伝統」などという言葉を口にして反対してきましたが、明治時代の前近代的な価値観に固執しているにすぎません。
 
それ以上に、国会議員一人一人の価値観がどうであろうと、今回、司法である最高裁が「違憲」と判断した以上、国会がそれに従った処理を行うのは当然であり、それが憲法が定める三権分立にほかなりません。
「最高裁の暴走」などという批判は論外です。
 
結局、自民党は、婚外子差別是正の法案は提出せざるを得なくなりましたが、法務省が予定していた、出生届に「嫡出子」「非嫡出子」の記載を義務付けている戸籍法の改正については、あくまでも「区別は必要」「最高裁は、戸籍法は違憲と判断していない」などとして了承しませんでした。
 
自民党は、改憲草案で、憲法24条に、新たな項をもうけ、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」と規定し、現行憲法の「個人」の尊重よりも「家族」を社会の基礎単位にしようとしています。
 
世界の流れにも反する時代錯誤的な考えにほとほとあきれてしまいます。
時代の逆行は絶対に許せません。
 
 
 
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.149)
 
11月8日は、神戸で、日本弁護士連合会主催の「業務改革シンポジュウム」が開催されたので、参加しました。
神戸は久しぶりでしたが、どこへも寄らず、結局、会場と事務所の往復だけになりました。
 
7つの分科会がありましたが、私は「SNSと弁護士との関わりについて、情報漏洩対策」の分科会に参加しました。
 
実は、これまで、何人かの人から「村松先生は、ツイッターやフェイスブックはやらないの?」と聞かれたことがありました。
公開されている方のツイッターやフェイスブックをパソコンのインターネットで読んだりはしているのですが、自分からそれらをする意味があまり感じられないできました。
それで、この分科会で何かそれらの「意味」が見つかるかもしれないと思い、参加してみました。
 
報告者は、ツイッターは「ちらし」のようなもので、フェイスブックは「名詞」のようなものと例えていました(よく、わかりません)。
色々、メリット、デメリットの説明がありましたが、所詮、アナログ人間の私には、新たな意味を発見することはできませんでした。
 
たまたま私の隣に座っていた若い女性弁護士は、シンポジュウム中、ずっとパソコンをうち続けていました。
横目で覗くと、ツイッター中。
名前を読むこともでき、「おや、おや、彼女があのツイッターの主だったのか」とわかりました。
帰宅後、彼女のツイッターを読むと、リアルタイムでシンポの書き込みがなされていました。
さすがです。
 
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.148)
 
10月27日の日曜日、弁護士会の両性の平等に関する委員会と犯罪被害者支援委員会との合同で、ウィメンズセンター大阪とSACHICOの訪問と見学をさせていただいた。
 
午前は、大阪市阿倍野区にあるウィメンズセンター大阪を訪問し、お話を伺った。
女性が自分のからだや性にまつわる不安や悩み、社会の中での生きにくさを率直に語り合い交流する場として、1984年に結成された。
子宮筋腫の手術をするべきかどうか、月経不順や中絶問題あるいは性について考えたいなど、電話相談(無料)や面接相談(有料、要予約)を行っている。
研修を受けてスキルアップした相談員を配置するなど、相談者の立場に立った運営をされている。
SACHICO発足以降は、その事務局団体にもなっている。
 
ともすればタブー視される「性の悩み」に正面から応えようと日々工夫や努力をされており、長年にわたりねばり強く取り組みを続けてこられたことに本当に感服した。
 
午後は、大阪府松原市の阪南中央病院の中にある性暴力救援センター・大阪「SACHICO」の訪問。
2010年4月発足。
支援員と産婦人科医師(すべて女性)が24時間対応し、主には、性暴力被害にあってまもない(7日以内)の女性への総合的支援を提供する。
具体的には、緊急避妊対策によって妊娠を回避すること。外傷の診察、妊娠への対応など。そして心のケア。
また、過去の被害に悩んでいる女性については、カウンセリング等も紹介している。
更に、加害者対策として、カルテの保管や証拠採取なども行われている。
365日毎日24時間のホットラインをつないでいること自体、想像どおり、関与されている方々の献身的努力なしでは、成り立たないことを実感した。
産婦人科医師との協力・連携も不可欠だ。
 
年間の電話相談件数は約4000件にも及ぶ。
性暴力被害にあった女性たちの多くは、恐怖と屈辱と混乱の中で「誰にも言えない、知られたくない、考えたくない」と一人で悩む。
それは、その被害女性の心身のみならず、生活、さらには人生までをも変えてしまうこともある。
 
「SACHICO」のような性暴力被害者救済センターが全国各地で設置されることが求められるとともに、性暴力のない社会を実現するにはどうすればよいか考えていかなければならないと強く感じた1日だった。
 
※ウィメンズセンター大阪:06-6632-7011(月から土曜10:00~17:00)
※「SACHICO」24時間ホットライン:072-330-0799
 
 

京都労働局の雇用均等室との懇談会

 
(女性弁護士の法律コラム NO.147)
 
本日午前は、京都弁護士会の両性の平等に関する委員会と京都労働局雇用均等室との懇談会があったので、出席した。
 
均等室は、京都労働局(中京区両替町通御池上る)の建物の5階にある。
均等室では、労働者と使用者との間で、男女差別、セクハラ、育児・介護休業、パート問題などの紛争が生じた場合に、解決に向けた援助をしてくれる機関である。
 
相談件数としては、セクハラに関するものが一番多いようだが、やはり、最近では、妊娠・出産等による不利益取り扱いの相談も増加しているとのことであった。
 
企業に対する行政指導もされているが、何せ、職員が5人しか配置されていないとのことで、小企業までは手が回っていない。
ただ、相談や申告があれば、指導に入ると言われていたので、法違反の疑いがあれば、どんどん申告することが大切だと感じた。
 
簡単な手続きで迅速な解決を図りたい場合には、均等室に援助の申し出を行い、均等室が調査した上で、局長による助言などの援助を受けることができる。
また、第三者機関に援助してもらいたい場合は、均等室に調停を申し立て、調停委員が紛争解決にあたる方法もある。
この調停手続きは、年に1件利用があるかないかとのことで、以前から、ほとんど利用されておらず、もっと利用し易くしなければ、法が手続きを定めた意味がないと思った。
 
最近、頻発しているマタニティーハラスメントの相談等も含め、もっと、気軽に均等室を利用してほしいと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

会社から離職票がもらえない

 
(女性弁護士の法律コラム NO.146)
 
「会社を退職したのに、離職票がもらえません」そんな法律相談を受けました。
 
何十年も働いてきたのに、ちょっとしたミスを理由に退職勧奨を受け、退職したAさん。
聞けば、結構、京都では名前が知れた会社でしたが、ノラリクラリと離職票をくれないとのこと。
Aさんは、長年働いてきた会社を辞めざるを得なかったこと自体ショックを感じておられた上に、離職票をもらえないということで、とても落ち込んで見えました。
離職票がなければ、雇用保険の手続きが受けられず、失業手当ももらえません。
雇用保険に加入しているのに、会社が離職票を渡さないのは、怠慢か嫌がらせしかありません。
 
以前にも、同じような相談が受けたことがあり、その時は、私物も返してもらえないということでしたので、受任して、弁護士名で、離職票や私物を引き渡すよう内容証明郵便で請求したところ、すぐに返してきたことがありました。
 
今回の相談は、離職票だけでしたので、ハローワークへ行けば、会社に指導してもらえるとアドバイスをしました。
 
後日、Aさんから報告があり、ハローワークから会社に指導があり、離職票は交付されたとのことでした。
 
このような嫌がらせにめげず、明るいAさんに早く戻ってほしいと思いました。
 

日弁連人権擁護大会in広島

 
(女性弁護士の法律コラム NO.145)
 
10月3-4日、日本弁護士連合会の人権擁護大会とシンポジュウムが広島で開催されたため、参加してきました。
3日がシンポジュウムで、4日が大会。
 
シンポジュウムは、第1分科会が原発問題、第2分科会が憲法9条問題、第3分科会が労働と貧困問題がテーマでした。
どの分科会もホットなテーマだったので、どれに参加するか迷いましたが、第3分科会に参加しました。
 
ジャーナリストの斎藤貴男さんの講演は、消費税が来年4月に8%に引き上げられても日本経済が回復することがないことなどわかりやすいアベノミクス批判でした。
また、匿名で発言された母子家庭のAさんの生活実態の話は、今の日本の貧困問題がとりわけ女性や子どもに大きくのしかかっていることがリアルに伝わってきました。
パネルディスカッションのパネラーの一人だった東京大学名誉教授の神野直彦先生の「『国の財政が破たんする』なんて、僕が大学院生の時からずっと言われ続けている」「日本の財政は、破たん状態じゃない」「社会保障に金をもっと使えば、日本の財政は豊かになる」などという発言は、もっと詳しく聴いてみたいなと思うような内容でした。
 
その日の夜の京都弁護士会会員の懇親会で話を聞くと、他の分科会もかなり充実した内容だったようで、分科会の「ハシゴ」をするんだったと少し後悔しました。
 
以下は、番外編です。
お昼に食べた広島焼きです。
とろろいもと溶ろけるチーズをトッピングしました。
 
 

 
 
 
 
 
 

過労死弁護団総会に参加してきました。

 
(女性弁護士の法律コラム NO.144)
 
過労死弁護団全国連絡会議の総会が、9月27ー28日の両日、大阪で開催されましたので、参加してきました。
 
全国各地で、過労死や過労自殺などの労災や公務災害としての認定を求める裁判や企業に対し損害賠償責任を求める裁判がたたかわれています。
総会では、そのような裁判の報告や経験交流などがなされました。
 
特に、もともと何らかの精神障害を抱えていた労働者が業務によりその障害が悪化したようなケースをどのように考えるか、過労自殺の場合の任意保険金の請求問題など、新しいテーマについても議論され、とても勉強になりました。
 
今後の仕事に役立てていけたらと思いました。
 
 

秘密保護法案、藤原紀香もブログで反対!

 
(女性弁護士の法律コラム NO.143)
 
「秘密保護法」という法案が、10月15日から始まる臨時国会に提出されるという動きがあることをご存じだろうか?
第2次安倍政権は、「成立をめざす」としている。
 
秘密保護法案とは、国にとって特に重要な情報を「特別秘密」に指定し、その特定の秘密を漏らした公務員や、不正な手段で公務員らから秘密を入手した人を処罰するものである。
 
ずっと以前から「国家秘密法」などという名前で、時の政府が法案提出を画策してきたが、いずれも国民の反対にあい、頓挫してきた。
ところが、2010年に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突ビデオ映像が流出したことがきっかけとなり、議論が再開された。
 
藤原紀香は、9月13日付けの自身のオフィシャルブログで秘密保護法案への危険性を表明した。
「国が『この案件は国家機密である』と決めたことに関しては、国民に知らされないことになり、放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう・・・なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です」
 
法案の「秘密」の範囲は、「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4類型。
でも「原発」に関する情報だって「テロ活動防止」と言ってしまえば含まれてしまうし、そもそもチェック体制がないから、行政が「この情報はテロ活動防止に関する情報にあたる」として特定秘密にしてしまえば、本当はそれにあたらない情報でも、特定秘密になってしまう。
 
政府は、9月3日から、広く国民から意見を聞く「パブリックコメント」の受付を開始したが、期限が17日(明日です!)と、こんな重要な法案であるにもかかわらず、わずか15日間しかないため、「国民にも意見を求めましたよ」というアリバイ作りであることは明らか。
藤原紀香は「私も自分の意見、パブコメに送らせていただきました」と書き、パブコメの送り方まで紹介している。
 
国民の知る権利を奪う秘密保護法案。
私たち日本の将来を守るため、一人一人が声をあげよう。
 
なお、法案の問題点については、日本弁護士連合会のホームページに意見書が掲載されていますので、それも参照してください。
 
 
 

子どもの前での「面前DV」

 
(女性弁護士の法律コラム NO.142)
 
今年1~6月に心理的虐待を受けたとして、全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の被害児童は5670人で、上半期としては過去最多だったことがわかった(2013年9月12日付け京都新聞)。
 
うち、子どもの目の前で配偶者や親族らに暴力をふるう「面前ドメスティック・バイオレンス」の被害が3840人と67.1%を占めた。
 
子どもの目の前で、「産まなければ良かった」「殺すぞ」と暴言を吐いたり、配偶者に暴力をふるったりすれば、子どもに大きな精神的ショックを与えることは間違いない。
 
多くの研究で、暴力を目撃した子どもは後遺症に後々まで苦しみ、人間関係を築いたり、攻撃的な衝動を抑えたりする能力が欠如しているという結果が出ている(ジュディス・ウォラースタインほか著「それでも僕らは生きていく」より)。
 
どのような理由があろうと、暴力は絶対に認められない。

コンビニの「見切り販売」

 
(女性弁護士の法律コラム NO.141)
 
2013年8月30日、コンビニエンスストア最大手「セブンーイレブン・ジャパン」から、販売期限の迫った食品を値引きする「見切り販売」を妨害されたとして、加盟店主4人が計約1億4000万円の損害賠償を求めた判決で、東京高裁は、計約1100万円の支払いを命じました(毎日新聞)。
 
公正取引委員会は、2002年に「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」という指針で、値引きの制限を禁止しています。
そして、公取委は、値引きを認めなかったセブンーイレブンに対し、2009年6月、妨害を禁じる排除措置命令を出していました。
セブンーイレブンは、表向きは「加盟店の判断」としているとのことですが、実際には、本部への報告や相談義務があり、値引きが行いずらい状況になっていたようです。
実際、公取委が排除措置命令を出してからの4年余りの間で、見切り販売を実施しているコンビニは、セブンーイレブンでは加盟店舗の1%にも満たない状況です。
 
判決は、「店主は社員から『見切り販売したら店は続けられない』などと言われて取りやめを余儀なくされており、事実上、強制的な妨害があった」と認定しました。
 
いわゆるコンビニ会計という、売れ残りによる商品廃棄や万引きによる損害は、その大半を加盟店がかぶる処理方法が問題です。
更に、日本では、世界の食糧援助量の3倍以上、年間2000万トン近い食品廃棄物が生み出されています。
コンビニでは、1店あたり年間20~30トンが廃棄されているとも言われます。
 
「24時間営業」でも、弁当などの食品に「賞味期限」がある以上、「見切り販売」はあってしかるべきです。
他方で「餓死」事件が後を絶たないこの日本で、大量の食品を廃棄するなど、とんでもない話です。

 
(女性弁護士の法律コラム NO.140)
 
7月26日、京都弁護士会の両性の平等に関する委員会で、大阪ファミリー相談室の見学に行ってきました。
 
大阪を含め全国10カ所にあるファミリー相談室(FPIK=エフピック)は、元家庭裁判所の調査官が中心となって平成5年3月に設立された民間団体で、現在は、とりわけ、子どもの面会交流の援助機関として利用されています(有料です)。
 
両親が離婚した場合、子どもと非監護親との面会交流は、父親と母親との共同作業と言えますが、DVなどが原因で離婚したような場合、自分たちだけで面会交流を行うことが困難な場合もあります。
そのような場合に、FPIKの援助を得て、面会交流を行うことができます。
 
援助の期間は、原則1年で、その間に、両親が自分たちだけで面会交流が実現できるようになることを目指しています。
 
大阪の場合には、ビル内に3室のプレイルームがあり、そこや外部の公園などを利用して面会交流を実施します。
FPIKの援助者が付き添う場合と面会交流の始まりと終わりに子どもの受け渡しだけを行う場合とがあります。
 
担当者の方からお話をお伺いしましたが、経験豊富な元調査官の方々だけあって、離婚した親同士が子どもの面会交流をスムーズに行えるよう努力されていることを実感しました。
 
京都の人でも気軽に利用できると良いのですが、大阪まで行かなければならないという難点があります。
京都でも面会交流に適当な部屋があれば、大阪から援助者が来てもらえるという話もあり、是非、京都にもそのような場所ができればと思いました。

 
(女性弁護士の法律コラム NO.139)
 
ミニバイクの速度超過で運転免許を減点されたのは誤りだったとして、京都の男性弁護士が京都府を相手取りゴールド免許の交付を求めた訴訟の控訴審判決が6月27日大阪高裁であり、「測定されたのが他の車両の速度だったという可能性も十分ある」などとして、訴えを棄却した1審判決を取り消し、逆転勝訴の判決を言い渡した(2013年6月28日付け朝刊各紙)。
 
すごい!
当事者である弁護士とその代理人の弁護士に大きな拍手を送りたい。
 
警察のレーダー式速度測定器による取り締まりに不満を持っているドライバーはきっと全国にたくさんいるだろう。
先日、古屋国家公安委員長が指摘したように、警察が最重点ではない場所や危険のない場所で速度取り締まりを行っている、という取り締まりの場所の問題が1つ。
 
それと、そもそもレーダーというのは、本当に正確に測定できるんだろうか?ということ。
 
測定原理は、路側に置いた測定機からマイクロ波を走行車両に投射し、車両からの反射波が車両の速度に比例して偏移するという「ドップラー効果」を応用したものである。
 
この測定で誤差が生ずる原因として様々なことが考えられる。
機器そのものについて言えば、測定機内部の雑音、測定用電波でない外部の電波・雑音によるもの、測定用電波の性質そのものがあげられる。
また、そのほかにも、警察の取り扱い方法上のミス、対象車両の誤認などが考えられる。
 
機器そのものの原因を論ずる能力は私にはないが、実は、警察がレーダーのしくみを知らないまま操作することによる誤測定はかなりあるのではないかと思っている。
 
複数車両が走行している場合、レーダーに表示されるのは速度の数字だけであるから、その数字がどの車両から跳ね返ってきた数字かを特定するのは、人間である警察官なのである。そして警察官は往々にしてレーダーのビームは1本の直線で投射されていると思いこんでいる場合が多く、実はレーダービームには幅があることを認識していない。
 
だから、レーダーの取扱説明書には、複数車両が集団で走行してくるような場合には、測定してはいけないと書かれてある。
そのため、裁判になると、実際には複数車両が存在したような場合でも、警察官は「単独走行だった」と口裏を合わせて証言するのである。
 
今回の裁判でも、警察官はバイクの前後50メートルには車両はなかったと証言したようだが、裁判所はその証言を信用せず、「超過とされた速度は、近くを通過した別の車の車両の速度である可能性も十分ある」と指摘した。
 
実は、私は、弁護士になって5年くらいの時期に、当時、タクシーの労働組合の顧問をしていたこともあって、何件かの速度違反の刑事事件で無罪を争ったことがあった。実際に路上で現場検証したこともあった。
文系出身の私にはかなり難解なレーダーのしくみにぶち当たったため、元レーダー開発の技術者の方などの協力も得て取り組んだが、無罪判決は取れなかった。
 
今回は、民事事件とは言え、立証は決して容易ではなかっただろうと想像する。
京都府は、おそらく上告しない気がするが、もし上告されたら、大弁護団を作って、徹底的に争ったらよいと思う。
 
 

 
 
(女性弁護士の法律コラム NO.138)
 
久しぶりに映画を観て泣いた。
「約束」。
三重県名張市で1961(昭和36)年3月に起きた毒ぶどう酒殺人事件の死刑囚奥西勝さんの生涯を追った映画。
京都シネマでの上映は6月13日までなので、急いで観に行って来た。
 
名張毒ぶどう酒事件は、未だ再審の扉があかない死刑冤罪事件として有名である。
映画「約束」は、事件発生から現在までの奥西さんの生涯を、俳優による演技と、長年にわたり東海テレビが取材し保有していた実際の映像などを織り交ぜて構成された作品で、事件そして裁判の流れがよく理解できた。
 
奥西さんを演じた仲代達矢、その母を演じた樹木希林の演技は、セリフは少ないものの、思いがあふれていて圧巻だった。
また、支援者の川村さんを演じたのは天野鎮雄。アマチンは、私が中学生の頃は、東海ラジオの深夜番組の人気DJだった。彼の演技も川村さんの実直な人柄をよく出していた。
 
自白以外の物証は何ひとつなし。
1964年一審の津地裁は無罪を言い渡したが、続く名古屋高裁で逆転の死刑判決、1972年最高裁で死刑判決が確定した。
第7次再審請求では弁護側が重要な新証拠を提出したにもかかわらず、2006年12月名古屋高裁は、「自ら極刑となることが予想される重大犯罪について進んでうその自白をするとは考えられない」と述べて、自白の信用性を認めた。
 
事件当時35歳だった奥西さんは、現在、86歳。高齢で体調もすぐれないという。
タイトル「約束」の意味・・・・
奥西さんと支援者川村さんとが、「(無罪を勝ち取るまで)しぶとく、しぶとく生きましょう」という固い約束。その川村さんも今はいない。
 
司法が生身の人間の人生を奪ったことに大きな怒りを感じる。
でも司法にすがるしか方法がない奥西さん。
最高裁は1日も早く奥西さんを助けてあげてほしい。
 
 
 
 
 
 

遠方からの法律相談

 
 
(女性弁護士の法律コラム NO.137)
 
先週、京都府外の、しかも、とても遠方から来られた方の離婚の法律相談を受けました。
電話で申し込みがあった時、「今週中で」という指定があり、電話があったその翌日しか時間が取れそうになかったので「明日夕方であれば」と返事をすると、本当に翌日飛んで来られ、恐縮してしまいました。
結局、地元の弁護士を依頼した方が良い案件と思われましたので、知り合いはいない県でしたが、地元弁護士の情報を提供させていただきました。
 
全国に支店があるような会社の顧問をしている法律事務所であれば、弁護士が全国各地を飛び回ることもあるでしょうが、一般には、近畿県以外の遠方の裁判所に赴くことは、あまり多くありません。
私が30年余り弁護士をしている中で、最南は沖縄(日帰りしました)でしたが、最北は埼玉までしか行ったことがありません。
 
でも最近は、遠方の裁判所の訴訟でも、準備書面で主張を述べる手続きの間は、電話会議による裁判の方法もあり、裁判所まで出向かなくてもよいので、受任しやすくなりました。
ただし、このようなケースは、少なくとも当事者の方がいつでも事務所に打ち合わせに来れることが前提となります。
 

夫婦別姓、国賠訴え棄却(東京地裁)

 
 
(女性弁護士の法律コラム NO.136)
 
夫婦別姓を認めない民法の規定を国会が改正しないのは憲法違反だとして、計600万円の国家賠償を求めた初めての訴訟の判決で、5月29日、東京地裁は、「別姓を名乗る権利は、憲法上、保障されていない」という合憲判断を下し、原告の請求を棄却しました。
 
夫婦別姓については、ブログの中でも何度も書き、この裁判のことも紹介しました(右の検索欄で「夫婦別姓」と入力してご覧ください)。
 
国は、1996(平成8)年、法制審議会が改正要綱案まで策定したにもかかわらず、法案として国会には提出していません。
夫婦同氏を強制するのは世界でも日本くらいだと言われています。
国連の女性差別撤廃委員会は、2003年8月と2009年8月の2度にわたり、是正するよう勧告を出しています。
 
判決は「姓名は人格の象徴で、人格権の一部と言えるが、夫婦が共に結婚前の姓を名乗る権利まで憲法で保障されているとはいえない」と判断。
他方「結婚後の改姓で人間関係やキャリアに断絶が生じ、不利益が生じる恐れがあるため、選択的夫婦別姓制度を求める声は多い」とも判示しています。
 
かつて、NHKが在日韓国人の名前を日本語読みしたことについて争われた裁判で、昭和63年2月16日、最高裁は「氏名は、社会的にみれば、個人を他人から識別し特定する機能を有するものであるが、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するものというべきである」との判断を下しました。
「氏名」というのは、人間にとってとても重要な権利なのです。
民法における非嫡出子の相続分差別については、近く最高裁が違憲判断を下すと言われています。国は、イヤでも相続分差別については改正を迫られるでしょう。
合憲判断にあぐらをかかず、是非、夫婦別姓の導入も真剣に検討してほしいと思います。
 
 
 
 

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