勤務先を辞めたいが使用者がなかなか辞めさせてくれない、今辞めるなら損害賠償を請求すると言われているなどという相談があります。
使用者が労働者をクビ(解雇)にするには合理的理由が必要ですが、労働者の側から退職を申し出ることは、原則自由です。
雇用期間の定めがない雇用契約の場合には、退職する2週間前に申し入れをすれば、2週間経過後に雇用契約は終了し退職することができます(民法627条1項)。
理由を言う必要もありませんし、使用者が損害賠償を請求することもできません。
次に、有期雇用パート・アルバイトや契約社員など雇用期間の定めがある契約の場合、その期間の途中で退職したい場合には、「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。
何が「やむを得ない事由」にあたるかは、具体的ケースによって判断することになりますが、給料の不払いや、職場環境が劣悪、違法行為を強制される等の場合は、該当するでしょう。
なお、雇用期間については、労働基準法14条で、原則3年を超える期間の契約を締結してはならないと定められています。また、契約から1年経過後は、労働者は「やむを得ない事由」がなくても、いつでも退職できます(労働基準法附則137条)。
いずれにしても、使用者が退職を認めてくれないなどのトラブルがある場合には、弁護士や労働基準監督署などにご相談ください。
なお、2017年頃から、有料で労働者本人に代わって使用者に退職の意思を伝える「退職代行サービス」という民間業者が出てきています。
しかし、弁護士法(72条)は、業として報酬を得る目的で、法律事務を扱ったり、第三者にあっせんすることを禁止しており(非弁行為)、内容によっては弁護士法違反の疑いのあるケースも存在するようです。注意しましょう。