1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

(最新法令:離婚)養育費の先取特権とは?

2026年4月1日施行の改正民法によって、養育費の制度についても改正が行われたことは、以前にご説明しました。

https://www.kyotolaw.jp/introduction/muramatsu/person/2025/12/7313.html

 

月額2万円という法定養育費が新設されたとともに、これまでは、裁判所の判決や調停調書あるいは公正証書など法的効力の高い文書(債務名義)がないと給料などに強制執行をすることができませんでしたが、改正により養育費については先取特権(さきどりとっけん)が認められ、その権利を有することを証明する文書などがあれば、「他の債権者よりも優先して債務者の財産から弁済を受けることができる」ようになりました。

 

よって、養育費を請求できる人(債権者)は、養育費支払合意書など「その権利を有することを証明する文書」を執行裁判所に提出して、債務者に対し強制執行を申し立てることができます。

どこかの機関が自動的に取り立ててくれるわけではなく、あくまで債権者自身が裁判所に申し立てる必要があります。

 

ただし、無制限に取り決めた金額の全額が優先されるわけではありません。優先的に扱われるのは、法務省令により、月額8万円に子どもの数を乗じた金額までとなっています。

 

改正法の施行は2026年4月1日からですが、それ以前に離婚が成立している場合でも、施行日以降に発生する養育費については先取特権の対象となります。

 

なお、合意文書ではなく、法定養育費による強制執行の申立てがあった場合には、債務者にとって酷な場合もあり得ることから、執行裁判所は、必要があると認めるときは、債務者を審尋する(裁判所が債務者の意見などを聞く)ことができるとされました(改正後民事執行法193条3項)

(労働)インシビリティ

「インシビリティ」という言葉については、聞き慣れない方も少なくないと思います。

パワハラには当てはまらないけれど、相互尊重に反する無礼な行動を指します。

 

2026年4月23日付け毎日新聞朝刊に、神奈川県立保健福祉大大学院の津野香奈美教授の「インシビリティ」に関する記事が掲載されていました。

 

それによると、「インシビリテイ」は、例えば、「舌打ちする」「話しかけても、こちらを見ない」「にらみつける」などがあるそうです。

会議中の「内職」も相手の話を聞く意思がないことを示しているので、注意が必要とも書かれており、「ドキッ!」としました。

特定の人だけ「○○ちゃん」など呼び方を変えることも該当するそうです。

 

2022年に企業にパワハラ対策を義務付けた改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が全面施行され、明確にパワハラの定義に当てはまる行動には対処できるようになったのですが、それでない行動は逆に野放しになってしまうということです。

 

津野教授は、まずはパワハラ未満の無礼な態度は、インシビリティだと認識することが大事と言います。そして、インシビリティを受けたら、できれば直接指摘できるとよいとも。直接言わないと相手も気づけないからです。直接できなければ、第三者からでも。誰も口に出さないと、その行為の承認につながります。

そして、インシビィテイ防止に必要なのは、コミュニケーションを積極的に取り合い、お互いの価値観や認識を確認し合う時間を取ることがよいとのことです。

 

見過ごしやすい「インシビィテイ」。

働きやすい職場作りを目指したいものですね。

 

 

 

2026年4月22日付け毎日新聞朝刊で、東京地裁が同月13日「フキハラ」(不機嫌ハラスメント)事案を労災認定したとの報道がありました。

 

被災者男性(当時24歳)は、2017年に東京ガスに入社し、翌18年春に子会社に出向しましたが、同年8月にうつ病を発症し自殺しました。

判決は、グループが男性含めて3人と小規模だった職場環境に言及し、「十分な支援・フォローがされていなかった」と指摘した上で、直属の上司が繰り返し厳しい態度で接した点を重視して「相当な精神的な負荷があった」と認定しました。

遺族側代理人は、「明白なパワハラとは言いがたい不機嫌ハラスメントを重く見た判断だ」と評価しました。

 

新聞報道だけなので、事実関係の詳細はわかりませんが、上司などとのやりとりだけではパワハラと言えないような場合にでも、状況によってはハラスメントにあたるとしたことは注目に値されます。

 

 

 

(労働)労災の「残業時間」認定にスマホ情報

過労死や過労自殺が「労働災害」「公務災害」と認定されるには、被災労働者の残業時間がどのくらいあったのかが重要な資料となります。

そして、往々にして、労働者側と会社側とで残業時間の数字が異なります。

 

しかし、出退勤記録が杜撰、タイムカードがない、あるいは正しく打刻されないという職場も少なくなく、過去の労災認定事案では、被災した労働者の残業時間を証明するのに様々な資料が使用されてきました。

業務用パソコンの使用時間や業務に関するメールの送受信記録、夫の帰宅時間を記録していた「妻のメモ」が証拠となった事件もありました。

 

2026年4月20日付け読売新聞夕刊では、昨年7月に都内の労基署が、製造工場で働いていた会社員男性の過労自殺を認定した事案について、決め手となったのは、その男性のスマホの位置情報であったと報じています。

勤務先が提出した出退勤記録では残業はほぼなしとされていましたが、男性のスマホのアプリに記録されていた位置情報データから、連日、工場にいたことが判明。

労基署は、男性が工場にいた時には仕事に専念していたとする同僚証言も考慮して、自殺までの1ヶ月間で残業時間が173時間に達したと判断し、労災を認めました。

 

厚生労働省によると、過重な業務や仕事の強いストレスが原因で、脳や心臓の疾患、精神障害を発症して2024年度に労災認定された件数は1304件と、5年前の1.8倍に増加しています。

かし、自民党は、労働基準監督署に対し「時間外労働を月45時間以内に削減することを求める一律の指導を見直す」との提言を、4月15日、高市首相に渡しました。

また、高市首相自身も、昨秋、厚生労働相に「労働時間規制の緩和検討」を指示し、2月の施政方針演説では「裁量労働制」の見直しに意欲を示しています。

 

月45時間を超えれば過労死のリスクは高まります。

自民党の提言では、労働基準監督官が十分な指導ができなくなり、長時間労働が助長される恐れがあると言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

くも膜下出血で寝たきり状態になった東京大学医科学研究所付属病院の50代男性医師が、国に対し過重労働による労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は、2026年3月16日、労災と認めました(確定)。

 

時間外労働は、発症前の6ヶ月平均で、100時間を超えていました。

 

裁判で争点となったのは、夜間や週末に待機する医師の「宿日直許可」。

「宿日直許可」とは、「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」については、労働基準法上の「労働時間」「休憩」「休日」に関する各規定を適用しないと定められているものです(労基法41条3号)。

労基法の例外ですから、あくまで「通常の労働」とは異なる軽度または短時間の業務であることが前提となっている規定です。

 

判決は、医師は宿直中、入院患者の急変やみとりに対応したり、診察やカルテの作成などをしたりしており、「労働からの解放が保障されたとはいえない」と判断し、宿直時間すべてが業務として認めるのが相当であるとしました。

 

医師の時間外労働については、2024年4月に上限規制が導入されました。そのため、宿直や日直が労働時間にカウントされないよう、宿日直許可を申請する医療機関が急増しているようです。

宿日直許可を得れば、あとは働かせ放題という実態もあり、判決はそうした状況への警告とも言えるでしょう。

 

 

定年後の嘱託職員としての再雇用をめぐり、仕事内容は同じなのに、基本給などの賃金が大幅に減額されたことは不当だとして差額分の支払いなどを求めた訴訟の判決が2026年2月26日名古屋高裁でありました。

 

これは、2023年7月20日最高裁が、定年時の6割を下回る部分は「不合理な格差」で違法と判断した名古屋高裁判決を破棄し、不合理かどうかは基本給の性質や支給目的を踏まえて判断すべきだとして審理を高裁に差し戻していた事件の判決です。

https://www.kyotolaw.jp/introduction/muramatsu/person/2023/07/6600.html

 

今回の判決は、基本給が自動車学校の指導員という仕事内容に対する職務給としての性質の割合が高く、嘱託職員の基本給も「同質だと言える」と判断し、同じ指導業務をする若手を大きく下回ることは「不合理性を基礎づける」と指摘しました。ただし、不合理となる定年時の水準は、「約55~57%」としました。

 

基本給の目的や性質を検討した上で職務給の部分が大きいと判断した点では、画期的な判決ですが、不合理性の基準がなぜ「約55~57%」になるか、その根拠は示されていません。

人が死亡した場合、相続が発生しますが、これまでは、亡くなった人がどこにどのような不動産を持っていたのかを相続人が把握しきれず、放置されたままになるという事態が少なからず生じていました。

 

そこで、死亡した人が所有していた不動産の登記の漏れを防止するという観点から、登記官が、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている全国の不動産について一覧的にリスト化して証明書として交付する制度がスタートします。

施行日は、2026年2月2日です。

 

請求できる人は、所有権の登記名義人と、その相続人その他一般承継人です。

 

請求方法は、すべての法務局で、書面やオンラインで請求することができます。

 

詳細は、法務省のホームページをご覧になるか、最寄りの法務局にお問い合わせください。

アクティブ・バイスタンダード

「アクティブ・バイスタンダード」(行動する傍観者)という言葉を聞いたことがありますか?

 

たとえば、職場で、同僚が上司からきつい口調で叱責されているところにたまたまあなたが居合わせた時、あなたはどうしますか?

ただ黙って見ているだけなら、「傍観者」。

それに対し、アメリカの非営利団体 Right To Beは、アクティブ・バイ・」スタンダードと5Ds(Distract,Delegate,Documennt,Delay,Direct)を提唱してきました。

 

日本でもアクティブ・バイスタンダード協会が設立され(共同代表:安藤真由美さん、浜田真理さん)、第三者として遭遇したときにどう動けばいいか、考え実践する研修を全国の企業や大学などで開いています(2026年1月17日付け朝日新聞別刷be)。

京都弁護士会は、昨年「憲法と人権のつどい」でアクティブ・バイスタンダードをテーマとして取り上げました。

 

同協会は、「行動する傍観者(アクティブ・バイスタンダード)」のポイントとして、「たすけを求める」「より添う」「レコーディングする」「まちがいを指摘する」「すり替える」の頭文字をとって、「たよレます」を商標登録しています。

たとえば、「より添う」とは、その場で介入が難しくても後から被害者に声をかけて一人にさせない。「すり替える」とは、わざと電気を消したり、物を落としたりして会話を中断させる。

 

ハラスメント行為に遭遇した時に、何もしないということは、結果としてその行為を容認することになりかねません。

でも、実際にハラスメントに遭遇した時に、誰でもが簡単に行動できるワケではないと思います。

自分自身や周囲がケガをしないよう安全を最優先にして有効な戦術を採ることは並大抵ではできない気がします。

アクティブ・バイスタンダードの研修を受けたり、本を読んだり、普段から色んな場面を想定して自分ならどうするかを考えたり同僚と意見交換をしたりすると良いかもしれませんね。

 

 

2024年5月に改正された民法の施行日が、2026年4月1日と決まり、これにより、大きく変わる制度の1つに「財産分与」があります。

 

1、財産分与の請求期間が「2年」から「5年」に延長されます

これまで財産分与が請求できるのは、離婚後「2年以内」となっていましたが、これが2026年4月1日以降の離婚については「5年以内」に延長されました(改正民法768条2項)。

 DVによる離婚で、離婚後数年間は恐怖のため請求することができなかったり、子ガ幼く育児に手を取られ財産分与を求める余裕がないなどもあって、請求期間の伸張が求められていました。

 

2、2分の1ルールの明文化

これまでも実務上は、財産分与については、仮に妻が専業主婦や収入が少なくても、原則「2分の1」で財産を分けていましたが、これが、財産の取得や維持への寄与が明らかに異ならない限り、原則として等しいと条文上明記されました(改正民法768条3項)。

 

3、相手方の財産についての「情報開示」の義務化

 これまでは相手方が財産を隠していても、それを突き止める手段は非常に限られていました。

 そこで、財産隠しを防ぎ、より公平な財産分与を実現するため、今回の改正法では、家庭裁判所が相手方に財産の情報開示を命じることができる制度が新設されました(人事訴訟法34条の3第2項)。

そして正当な理由なく情報を公開しなかったり、虚偽の情報を開示したときは、10万円以下の過料が科される場合もあります。

なお、この制度は、家裁での調停や審判事件にも適用されます。

 

 

 

 

離婚する時、結婚していた期間の厚生保険料納付記録について夫婦間で分割するという離婚時年金分轄は、2008年4月以降の離婚から適用されるようになり、今では、一般的に知られるようになってきています。

 

分割割合は、夫婦双方の話し合いで決め、上限は50%です。

話し合いが出来ない時は、家庭裁判所に申し立てを行い、調停あるいはや審判で分割割合が決まります。

 

分割割合が決まった場合、年金事務所で手続きを行いますが、その期限は、これまでは離婚した時から「2年以内」となっていました。

それが、今般、「5年以内」に延長されることになりました。

改正民法により離婚時の財産分与の請求期限が2年から5年に延長されたことに合わせたと言われているようです。

 

改正は、2026年4月1日から施行され、「5年以内」となるのは施行日以後に離婚した場合に限られますので、それ以前に離婚した人は注意してください。

 

人身傷害保険とは、任意保険契約にもとづき、自動車事故によって運転者や同乗者がケガをしたり死亡したりした場合に保険金が支払われる保険です。

 

その人身傷害保険の死亡保険金の請求権が相続財産に含まれるかが争われた訴訟の判決で、最高裁判所は、2025年10月30日、「相続財産に含まれる」という初判断を下しました。

 

判決によると、保険会社の人身傷害保険に加入していた男性が2020年に車を運転中に自損事故を起こして死亡しました。

法定相続人の順位は、その男性の子ども3人が1位でしたが、いずれも相続を放棄したため、順位2位だった母親が相続人となりました。

しかし、保険会社は、「契約条項は順位1位が受け取る内容」で「相続財産に属しない」などと主張して支払を拒否しました。

 

これに対し、最高裁は、人身保険の保険金は事故で被った損害を補う目的で支払われるもので、被保険者が死亡した場合は相続財産に含まれると判断しました。

そして順位1位に相続放棄があった場合、2位以降でも実際に相続した人に受け取る資格があると結論づけました。

 

今後は、保険会社の運用が見直される可能性があります。

 

 

2024年5月17日に成立した改正民法では、離婚後の父母双方に親権を認める「共同親権」が選択肢として導入されるとともに、「法定養育費」の制度が新設されました(改正後民法766条の3)。

 

これまでは、離婚の際に養育費の定めをせず、その後協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停や審判による必要がありました。

そこで、父母が養育費の定めをせずに離婚した場合に、法律上当然に一定の金額の養育費の支払義務が生じる制度が新設されました。

それが「法定養育費」制度です。

 

そして、2025年11月28日、法務省は、この法定養育費について、子ども1人あたり月額2万円にすると発表しました。子どもが満18歳の誕生日までです。

施行は2026年4月1日で、同日以降の離婚に適用されます。

 

なお、この制度は、債務者(非監護親)の実際の収入等を考慮せずに法律上当然に発生することから、債務者が「支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払いをすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部を拒むことができる」とされています(改正後民法766条の3①但書)。

 

協議ができず、かつ「月額2万円」では低額すぎると考える場合には、監護親は従前どおり家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てる必要があります。

 

次に、改正民法では、債務者(非監護親)が養育費などの支払を滞った場合には、非監護親の財産を優先的に差し押さえられる「先取特権」(さきどりとっけん)を認めています。

これにより他の債権者に優先して債務者の総財産から弁済を受けることができます。

但し、この先取特権には対象債権の金額に上限があり、法務省は、子ども一人あたり月額8万円を上限にすると決めました。

 

 

2024年5月に成立した改正民法が2026年4月から施行されることが決まりました。

 

最も関心が高いのは、離婚の際の子どもの「共同親権」(民法819条)ではないでしょうか。

 

これまでは、父母のどちらか一方の単独親権でしたが、施行後は「単独」「共同」どちらが原則というわけでなく、父母の協議で父母双方または一方を親権者として指定することができます。

父母の間で意見が一致せず協議がととのわない場合には、家庭裁判所は、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から、親権者を指定します。

DVや虐待などがあって共同で親権を行使することが困難と認められるときは、単独親権となります。

 

また、施行日より前に離婚している父母でも、家裁に親権者の変更を申し立てると、施行日以降、家裁が認めれば、共同親権への変更も可能となります。

 

なお、これまでは、親権者を定めなければ離婚届を提出することができませんでしたが、施行後は、親権者の協議ができない場合、家裁に親権者の指定を求める審判・調停の申立がなされておれば、離婚届を提出することができます。

 

 

(最新法令)公正証書のデジタル化

公正証書って、ご存知ですか?

公証人が作成する文書のことで、裁判をしなくても強制力があったり、単なる私人間の契約書よりは証明力が高かったりする文書です。

例えば、公正証書で消費貸借契約(金銭の貸借)を締結しておけば、借主が返済を怠った場合には裁判を起こさず借主の財産に対し強制執行をすることができます。

また、離婚する夫婦の間で、子どもの養育費について公正証書で定めておけば、これも、養育費が不払いとなった場合には、裁判を起こさずに支払い義務者の財産に対し強制執行をすることができます。

あるいは、公正証書で遺言を作成しておけば、遺言者の死後、家庭裁判所に遺言を提出して「検認」手続きを経る必要はありません。

 

このような公正証書は、これまでは紙で作成されていましたが、2025年10月1日から改正公証人法が施行され、今後は、原則としてデジタル化され、電子データで作成・保存されるようになります。

10月1日以降、国が指定する「指定公証人」が在籍する公証役場から順に導入されていきます。ちなみに、京都公証役場では、2025年11月25日から開始されるそうです。

 

では、デジタル化になると、どのような作成手続きになるのでしょうか。

①公証役場への出頭が不要となり、インターネットからメールを送信して嘱託(申請)することが可能となります。

②嘱託人から申し出があり、公証人が相当と認めた場合に限られますが、ウェブ会議を利用して公正証書を作成することが可能となります。

③公正証書は原則として電子データで作成され、嘱託人等は電子サインのみ(押印不要)になります。

④電子データで作成された公正証書は、紙でも電子データでも閲覧・受け取りが可能になります。

 

本人確認書類やパソコン等の機器など従来とは異なるものが必要となりますので、詳細は公証役場でお尋ねください。 

 

なお、公正証書遺言についてもウェブ会議(リモート)で行えるようになるとのネットや新聞の記事も見られますが、先日、京都の公証役場に問い合わせたところ、デジタル化が実施された後も、公正証書遺言については、これまでのどおりの対面を原則とするという回答でした。

 

どんな言葉がセクハラになるのか、わからん・・・という言葉が聞かれます。

 

東京地裁は、2025年10月23日、年上の同僚男性からセクシュアルハラスメントを受けたとして佐川急便の元従業員の女性が損害賠償を求めた訴訟で、男性に22万円の賠償を命じました(2025年10月24日付け毎日新聞)。

この事件では、男性が女性の名字を「ちゃん付け」で呼んだことや、「体形いいよね。俺なんかガリガリだよ」という体形などに関する発言が違法なハラスメントに該当すると判断されました。

 

「なんで、『ちゃん付け』がセクハラなんだ?」と思われる方もおられるかもしれません。

判決は、一般的に「ちゃん付け」の呼称が使われるのは子どもや交際相手など親密な関係の場合だが、女性と加害男性は勤務先が同じ従業員同士にすぎないと指摘しました。

 

何がセクハラに該当するかは「言葉探し」ではありません。互いの人間関係の上下・遠近や親密さに配慮して言葉を使うということが大切です。

(交通事故)ドライブレコーダーの音声も重要

2025年9月18日付け毎日新聞朝刊にドライブレコーダーに関する興味深い記事が掲載されていました。

 

ドライブレコーダーは、車の走行中の様子を記録するだけでなく、音声も記録されています。

しかし、6年前の2019年1月に千葉県内で起きた交通事故では、記録されていた映像の音声に捜査機関が気付かないまま、刑事裁判の判決が確定しました。

 

その事故で父親を亡くした女性は弁護士で、加害者運転手に民事の損害賠償を求めるため、事故に関する証拠の開示を検察庁に請求しました。

開示されたドライブレコーダーを再生すると、大音量のロック音楽が流れ、同乗者がいないにもかかわらず誰かと話す声が断続的に聞こえました。

しかし、捜査した千葉県警は、この音声を把握していなかったそうです。

警察は「今後、このようなことがないよう引き続き指導を徹底する」と謝罪したそうです。

もし音声も再生されていたら、もっと悪質な交通事故として、刑事判決の内容も異なっていたかもしれません。

 

捜査機関が使用したドライブレコーダーの再生ソフトでは、音声が再生できなかったようで、ソフトの違いで音声が流れない可能性はあるとのことです。

 

交通事故の場合、事故時の音声は事故原因の解明に重大な影響を与える可能性もあります。

決して映像だけで納得しないことが大切です。

期限が切れても、まだ捨てないで!健康保険証

多くの国民健康保険の被保険者において、2025年8月1日以降、健康保険証の有効期限が切れて使えなくなっていきます。有効期限は自治体によって異なりますが、7月末に有効期限を迎える国保加入者は1700万人(全体の7割)にも及びます(有効期限は、保険証の券面に記載されています)。

 

そこで、この問題に対応するため、厚生労働省は、6月27日に、各自治体等に事務連絡を出しました。

これによると、来年2026年3月末までは、期限切れの保険証や「資格情報のお知らせ」でも保険医療を受診することができます。

 

ですから、ご自分の健康保険証の有効期限が切れても、捨てないでください。

 

医療機関の窓口では、マイナ保険証に関するトラブルも多くあるようです。

そもそも、国がこのような対応を取るのであれば、紙の健康保険証廃止などやめるべきだと思います。

 

(民事)当事者間秘匿制度

裁判などを起こしたいと考えた時、訴状や申立書には、原則として、「原告」や「申立人」として自分の住所・氏名を記載しなければなりません。

そして、民事裁判を起こした場合には、「原告」の住所や名前が書かれた訴状が被告に届けられます。

従って、性暴力を受けたり、家庭内暴力などの理由によって配偶者から身を隠しているような被害者らが住所などを知られることをおそれ、損害賠償を求めることなどについて泣き寝入りすることも少なくありませんでした。

 

そこで、民事訴訟法が改正され、2023年2月から、一定の場合、当事者等の住所や氏名などを訴状などに記載しないことができる制度が創設されました(133条~133条の4)。

 

秘匿制度を利用するには、秘匿すべき内容を記載した書面での申立が必要です。

「社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること」が要件で、要件を充たせば、裁判所が秘匿を決定します。

また、訴状を受け取った「被告」の方も、秘匿を求める場合には、被告において申立をする必要があります。

 

民事訴訟と同様に、家事事件についても、秘匿決定の制度が導入されています。

 

(労働)退職の自由と退職代行サービス

勤務先を辞めたいが使用者がなかなか辞めさせてくれない、今辞めるなら損害賠償を請求すると言われているなどという相談があります。

 

使用者が労働者をクビ(解雇)にするには合理的理由が必要ですが、労働者の側から退職を申し出ることは、原則自由です。

雇用期間の定めがない雇用契約の場合には、退職する2週間前に申し入れをすれば、2週間経過後に雇用契約は終了し退職することができます(民法627条1項)。

理由を言う必要もありませんし、使用者が損害賠償を請求することもできません。

 

次に、有期雇用パート・アルバイトや契約社員など雇用期間の定めがある契約の場合、その期間の途中で退職したい場合には、「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。

何が「やむを得ない事由」にあたるかは、具体的ケースによって判断することになりますが、給料の不払いや、職場環境が劣悪、違法行為を強制される等の場合は、該当するでしょう。

なお、雇用期間については、労働基準法14条で、原則3年を超える期間の契約を締結してはならないと定められています。また、契約から1年経過後は、労働者は「やむを得ない事由」がなくても、いつでも退職できます(労働基準法附則137条)。

 

いずれにしても、使用者が退職を認めてくれないなどのトラブルがある場合には、弁護士や労働基準監督署などにご相談ください。

 

なお、2017年頃から、有料で労働者本人に代わって使用者に退職の意思を伝える「退職代行サービス」という民間業者が出てきています。

しかし、弁護士法(72条)は、業として報酬を得る目的で、法律事務を扱ったり、第三者にあっせんすることを禁止しており(非弁行為)、内容によっては弁護士法違反の疑いのあるケースも存在するようです。注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

(離婚)別居後のデジタル管理に気をつけて!

日本国内における携帯電話所有者のうちスマートフォン比率はどんどん増加し、2024年には97%にも及ぶそうです。

私はスマホ初心者で、およそ使いこなせているとは言いがたいのですが、ストーカーなどの犯罪行為の報道記事を読むと、他人(加害者)がスマホを利用することによって相手(被害者)の行動や居場所がわかってしまうことがあるようです。

 

ところで、日本弁護士連合会が毎月発行し弁護士会員のもとに届けられる雑誌が「自由と正義」です。

その6月号の中の「知りたい実務」というコーナーに大阪の弁護士が「注意したい!別居後のデジタル追跡行為」という投稿を寄せておられましたので、少し紹介しておきます。

これは、別居する夫婦だけでなく、別れた恋人同士でも同じことを注意する必要があると思いました。特に、自分の居所を秘匿しているような人は注意する必要があります。

 

まず、グーグルやヤフーのアカウントのパスワードを配偶者や恋人が知っている場合には、変更してください。また教えていなくても、自分がパスワードを使い回している場合には相手方が知っている可能性がありますので同様です。

マップの検索履歴やカレンダー、ネットショッピングの送付先から住所がわかってしまう可能性があります。

 

また、スマホで、家族が位置情報やカレンダー、写真などを共有している場合も、もちろん共有を停止する必要があります。

 

更に、別居時に使わなくなったiPhoneやiPadを持ち出し、自分や子どもがそれでゲームやYouTubeをすると、そのアカウントが相手方名義の場合、位置情報が知られてしまうこともあるようです。

 

逆に言うと、同居しているような場合、これらを利用すると、配偶者の不貞行為の証拠を入手することができるかもしれませんね。

スマホは、もはや生活にとってなくてはならないツールになってしまっていますが、使い方1つで危険なツールにもなり得ることを、あらためて感じました。

 

 

 

 

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