居酒屋やファミレスでタッチパネルやスマホによる注文方式のため困惑した、使えなかった、という経験はありませんか?
人手不足や経営合理化のため、ICT(情報通信技術)化や無人化が進んでいます。
私などデジタル機器の扱いが苦手というだけで使いこなせていないのに、まして障害を持った方々はどうでしょうか。
障害者のこのような問題について、2025年2月17日付け毎日新聞が朝刊の1・2面で大きく取り上げていました。
毎日新聞が行ったアンケートによると、例えば、視覚障害者は小売店の会計や飲食店の注文などで「タッチパネルが使えない」という回答が多かったそうです。その場で困ってもスタッフが少なく「手伝いを頼めない」。中には、店から「操作できないなら帰ってほしい」と言われたケースも。聴覚障害者は「無人駅の改札や券売機でインターホンから問い合わせができない」。車椅子の人についてはタッチパネルが届かない、などなど。
障害の種別を問わず、困難に直面している状況があります。
2024年4月1日から改正障害者差別解消法が施行されました。「不当な差別的扱い」はもともと禁じられていますが、今回の改正で、事業者による障害のある人への「合理的配慮」の提供が、これまでの努力義務から義務化されました。
「合理的配慮」とは、
①行政機関等と事業者が
②その事務・事業を行うにあたり、
③個々の場面で、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意見表明があった場合に
④その実施に伴う負担が過重でないときに
⑤社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること
とされています。
具体的な対応は、個々の場面で異なるため、障害のある人と事業者等の間の「建設的対話」を通じて相互理解を深め、共に対応案を検討していくことが重要とされています。
年齢を重ねれば、誰しも障害を持つようになっていきます。
障害者に優しい社会というのは、人に優しい社会と言えるのではないでしょうか。