2024年5月17日に成立した改正民法では、離婚後の父母双方に親権を認める「共同親権」が選択肢として導入されるとともに、「法定養育費」の制度が新設されました(改正後民法766条の3)。
これまでは、離婚の際に養育費の定めをせず、その後協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停や審判による必要がありました。
そこで、父母が養育費の定めをせずに離婚した場合に、法律上当然に一定の金額の養育費の支払義務が生じる制度が新設されました。
それが「法定養育費」制度です。
そして、2025年11月28日、法務省は、この法定養育費について、子ども1人あたり月額2万円にすると発表しました。
施行は2026年4月1日で、4月1日以降の離婚に適用されます。
なお、この制度は、債務者(非監護親)の実際の収入等を考慮せずに法律上当然に発生することから、債務者が「支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払いをすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部を拒むことができる」とされています(改正後民法766条の3①但書)。
協議ができず、かつ「月額2万円」では低額すぎると考える場合には、監護親は従前どおり家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てる必要があります。
次に、改正民法では、債務者(非監護親)が養育費などの支払を滞った場合には、非監護親の財産を優先的に差し押さえられる「先取特権」(さきどりとっけん)を認めています。
これにより他の債権者に優先して債務者の総財産から弁済を受けることができます。
但し、この先取特権には対象債権の金額に上限があり、法務省は、子ども一人あたり月額8万円を上限にすると決めました。