今夏、久しぶりの山小屋3泊の山旅をした。
2013年に日本百名山を完登し、コロナ明けの2023年からは、「北アルプスをつなぐ」を1つの登山目標とした。
「北アルプスをつなぐ」というのは北アルプスの山々を「線」で(実際に歩いて)つなぎ、いまだ歩いていない所を歩くこと。
ということで、2023年夏に栂海(つがみ)新道(親不知から朝日岳)を、2024年夏に針ノ木岳サーキット(針ノ木岳から種池山荘・爺ヶ岳)をつないだ。
そして今夏は、常念岳から槍ヶ岳までをつなぐ尾根でこれま歩いたことがなかった「東鎌尾根(ひがしかまおね)」を歩くことをメインの目標とした(常念岳も槍ヶ岳もどちらも前に登頂経験あり)。
行く前に、既に東鎌尾根を歩いたことがある山仲間に「今年は東鎌尾根に行く」と言うと、皆、なんとなく不安そうな顔をして、「あそこは緊張する」などと言って、誰からも「村松さんなら大丈夫」とは言ってもらえなかった。東鎌尾根は、「鎌尾根」と言われるだけあってヤセ尾根で、道の両側が切れ落ちていたり、何十段ものハシゴがいくつかあったりする厳しいルートである。
その上、今年の猛暑。近場の低山に登ってトレーニングする気力もなく、涼しい朝に鴨川辺りを歩いたり、冷房のきいたジムでベルトの上を歩いたり走ったりするのが精一杯だった。
そのため、「歩き続けられるだろうか」という大きな不安を抱えての山行きとなった。
1日目は、中房(なかふさ)温泉から「燕山荘(えんざんそう)」まで合戦尾根を登る。標高差約1200m。
合戦尾根は、早月尾根、ブナ立て尾根と並ぶ北アルプス三大急登の1つである。
若い頃には3回登ったこともあり、勝手知ったる尾根と言えど、最初から急登の連続。コースタイムが4時間20分のところ、若い頃は、3時間台で登ったが、今回は、約5時間もかかった。
途中にある合戦小屋の名物のスイカは健在で、一切れの大きさは以前より小さくなっていたが、スイカを食べると生き返った気がした。

燕山荘着後、燕岳(つばくろだけ、2762.9m)まで往復する。
翌朝の燕岳。

2日目は、燕山荘から大天井岳(おてんしょうだけ、2923m)を経て、「ヒュッテ西岳」まで。歩行時間は約8時間半。
大天井岳山頂。槍ヶ岳があんな遠くに。明日は、あそこまで歩く!

3日目、いよいよ今日が東鎌尾根を歩くメインの日だ。ストックは使えないので出発時からリュックに収め、ヘルメットをかぶって出発する。水俣乗越までど~んと下り、そこから今度はヤセ尾根を登り返す。何十段もの鉄梯子を慎重に上ったり下りたりする。緊張の連続だ。
そして、なんとか今宵の山小屋「ヒュッテ大槍」に到着する。
荷物を軽くして、いよいよ東鎌尾根の最後のルートを槍ヶ岳(3180m)に向かう。ここからも気が抜けない危険なルートだ。
東鎌尾根から見る槍ヶ岳。ここから見る槍ヶ岳が一番美しいとのこと。

槍ノ肩にある槍ヶ岳山荘に到着して一息ついた後、山頂を目指す。
槍ヶ岳には何回か登っているが、気は抜けない。ペンキ印に従って慎重に登っていく。
そして登頂!360度の展望。
今日までの3日間、長い道のりを経て山頂に至り、東鎌尾根を歩き通せた達成感で感慨もひとしおだ。
4日目早朝。小屋から、日の出と槍ヶ岳のモルゲンロートを見る。

4日目は、槍ヶ岳から上高地まで一気に下る。
とにかく、よく歩いた。こんなにも長い距離を歩けるって、人間の足ってなんと凄いものかと驚嘆する。
でも1週間経った今も、まだ足がなんとなく痛い。
さあ、次は、どこの山へ・・・?