1. 2022年12月

2022年12月アーカイブ

今年1年お世話になりました

とうとう大晦日になってしまいました。

今年1年お世話になり、有り難うございました。

 

12月29日に来客があったので、掃除(小掃除ですが)はその日の朝に済ませました。

30日は午前中快晴で、今年の「山登り納め」として、大文字山に登りました。山頂で、買って来たパンを食べましたが、風が冷たく、早々に下山しました。

 

下山後、久々に、哲学の道にほど近い法然院に立ち寄りました。

細胞生物学者で歌人の永田和宏さんが、2022年9月、妻で歌人の河野裕子さんの13回忌を機に、法然院に墓を建てお骨の一部を収めたという新聞記事を読んだので、行ってみようと思いました。法然院には、想像していたよりたくさんのお墓があったので、見つけられないかもと思いましたが、ありました。

 

 

帰宅して、切り抜いていた新聞記事を読み返すと、永田さんは、法然院の参道に二人が詠んだ自筆の相聞歌が刻まれた歌碑も建てられたようで、これは来年、大文字山に登った時にまた見に来ることにしようと思いました。

 

その後、歩いて岡崎神社に行きました。割と近くの神社なのに、何十年も京都に住んでいてこれまで1度も来たことがありませんでした。ここは兎の神社だとテレビで放映されていたので知りました。既にたくさんの参拝客であふれていました。

 

 

 

 

 

来年もよろしくお願い申し上げます。

 

 

奨学金返済が「出世払い」に

新聞報道によると、在学中の授業料は国が肩代わりし、学生は卒業後の年収に応じて納付するという「出世払い」型の奨学金制度について、文部科学省は、2022年12月23日、有識者会議の報告書を公表しました。

対象は、大学院修士課程の学生です。

 

報告書では、納付が始まる目安の年収として「例えば、単身世帯で年収300万円」と記載されています。

 

「出世払い」という言葉を聞くと、私が大学に入って法律の勉強を始めた頃のことを思い出します。

法律をわかりやすく書かれた本として、民法学者我妻栄の「民法案内」というシリーズがありました。確か、その本の民法総則編の中に、「条件」と「期限」の説明として「出世払い」が紹介されていたという記憶です。

私は、この本を読んで初めて「出世払い」という言葉を知りました(今時の若者はどうなんでしょう?)。

 

法律的に説明すると、「出世払い」とは、出世したら返済するという停止条件(注:停止条件とは、それが成就した時に初めて効果が発生するという「条件」のことです)か、それとも出世するか否かがわかる時点まで返済を猶予する「期限」か、という実はとても難しい問題なのです。

通常の感覚からすると、前者のように思いがちですが、「出世払い」については、大正時代の判例があります(大審院大正4年3月24日判決)

これによると「出世払いとは不確定期限であり、出世できないことが明らかになったときは、貸主は借金の返済を請求できる」と判断しました。

要するに、「出世払い」という約束は、出世した時または出世する見込みがなくなった時に返済期限が到来することになります。

 

今回、文部科学省で検討されている奨学金制度は、新聞などでは「出世払い」制度などという見出しで紹介されていますが、本来の法律解釈とも異なりますね。

また、そもそも年収300万円を「出世」と言うのでしょうかね・・・。

年収300万円で返済が始まるのは、決してゆとりある返済とは言えない気がします。

 

 

子どもの法律上の父親を決める「嫡出推定」を見直す民法の改正が、2022年12月10日成立しました。

 

現行民法では、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定すると定められています(772条2項)。

そのため、例えばDVが理由で夫と別居し、別居中に別の男性との間の子どもを妊娠した場合、夫と離婚してもその後300日以内は前夫の子と推定されてしまうため、出生届を出さないというケースが少なからず存在しています(無戸籍児)

今回の改正は、この無戸籍児問題の解消が目的で、離婚後300日以内に生まれた子を前夫の子とする規定は維持するものの、女性が出産時点で再婚していれば、現夫の子とする例外規定を設けました。

ただ、2020年の調査では、嫡出推定に起因する無戸籍者のうち、例外規定で救済される「再婚後の子」は4割程度と言われています。

離婚後300日以内に再婚できないケースには適用されません。

 

その他の改正点として、

・女性の100日間の再婚禁止期間が撤廃されました。

・夫にのみ認められていた嫡出否認の権利が子と母にも拡大されました。

 なお、施行後1年間は施行前の出生も対象となります。

・虐待防止のため「懲戒権」の規定を削除し、体罰禁止を明記しました。

 

公布から1年6ヶ月以内に施行し、それ以降に生まれた子どもに適用されます。

 

 

 

2022年9月2日付け当ブログで、作家宇野碧さんの小説「レペゼン母」を紹介したが、その宇野さんの母親柴田野苺さんに会いに、本州最南端の町、和歌山県串本に行ってきた。

串本は数十年ぶりの来訪である。

 

野苺さんは、私の中学時代の友人Mちゃんの、高校・大学(音楽大学)時代を通じての友達。

だから、年齢も同じで、生まれも同じ岐阜出身である。

21年前に串本に移住し、ここで、自給自足を目指す活動、福島を支援する活動など多種多様な取り組みをされているとのこと。Mちゃんから野苺さんのことを聞いて、どんな女性なのか1度会ってみたいと思っていた。

 

11月初め、Mちゃんから、野苺さんが12月11日にミニライブをするという連絡をもらったので、一緒に串本に行くことにした。野苺さんに会えること、Mちゃんと初めて二人で旅行することにワクワク。

 

Mちゃんとは新大阪駅で待ち合わせ、午前9時半発の特急くろしおに乗り、午後1時前に串本駅に到着。とにかく遠い!東京より遠い。

野苺さんの下の娘さんが経営する、「なんたん屋」というカフェが会場。上の娘さんの作家宇野さんも手伝いに来られていた。

 

 

 

 

昼食がまだだったので、早速、ランチを注文する。

 

 

野苺さんのミニライブは、福島支援として、毎年福島の子どもたちを串本に招く活動のチャリティーライブ。

野苺さんは、高校・大学では声楽を専攻し、ミュージカル女優になりたかったとのこと。

電子ピアノを弾きながら、パフォーマンスも交えながら歌う。自身で作詞作曲された歌やミュージカルメドレーなど。

慣れたものである。声量もあり、同じ年とは思えない声。さすが!

 

 

第二部は、同じ串本移住者のキミさんも加わる。

 

 

最後は、友人Mちゃんのオカリナ演奏も。素敵だった。

 

夜は、野苺さんも一緒に、串本の魚料理の店で魚づくし料理を堪能した。

岐阜のような保守的な町で、なぜ野苺さんのように自由な人間が育ったのか、その片鱗が少しわかったような気がした。

 

 

NHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」

最近、NHKで、毎夜午後10時45分から午後11時までの15分間放映されている「作りたい女と食べたい女」を観ている。

原作はアニメだそうだが、マンションの同じ階に住む「作りたい女」の野本さんと「食べたい女」の春日さんの二人が出会い、料理を一緒に作ったり、食べたりするドラマだ。

二人の関係は、恋愛に発展するらしいが、料理の場面が多く、ストーリーも淡々と流れていき、料理好きな私が寝る前に観るテレビドラマとしてはちょうどいい。

 

このドラマの中で、確か初回放映だったか、「食べたい女」の春日さんが、食堂で定食を食べる場面がある。お茶碗にご飯が盛られるのだが、春日さんが女性ということで、ご飯が当然のように少なく盛られている。怒った春日さんは、店主に文句を言い、普通盛りに交換してもらう。

 

この場面を観て、ふと、若い頃のことを思い出した。

大学1年の頃、下宿では自炊ができず、平日はほとんど生協の食堂を利用していたが、休日は近くの食堂に食べに出掛けていた。

若さもあって食欲は旺盛。出された食事はすべて綺麗にたいらげていたので、店の人から「こんなに綺麗に全部食べてもらって、作りがいがある」などと褒められたこともあった。

 

ある日、初めて入った食堂で出されたご飯は男性より少なめだった。同じ値段を払っているのに「おかしい!」「男女差別や!」「残されるのが嫌なら、聞けばいいでしょ!」と内心思った。

でも、その頃は、春日さんのように文句を言う勇気もなく、その店には2度と行くことはなかった。

 

食べ物の恨みは恐い・・・という格言(?)もあったっけ?

 

 

 

驚くような判決が下されました。

これまで、労働者が仕事によってケガや病気になったような場合、それを国が労働災害(労災)と認定して保険金の支払いを決定すると、事業主にはその取り消しを求める権利は認められませんでした。

ところが、2022年11月29日、東京高等裁判所は、事業主には訴える資格がないとした地裁判決を取り消し、審理を差し戻しました(2022年12月8日付け朝日新聞朝刊)。

 

高裁は、事業主が支払う保険料が労災が発生すると上がる「メリット制」を重視し、これにより事業主が不利益を受けるため、支給取り消しを求める資格があるとしました。

 

労災保険制度は、被災者や遺族の生活を保護することを主な目的としています。

しかし、一旦国が労災と認めた事案を事業主が取り消しを求めて争えば、その争いが続く間は、労働者の保険金支給を受ける権利は確定せず、万一、取り消しが認められれば、支給された保険金を返さなければならない事態も発生します。

これでは、労働者や遺族の立場はとても不安定になり、労災制度の趣旨を没却するものにほかなりません。

 

12月5日には、過労死弁護団全国連絡会議などが厚生労働省に最高裁に上告するよう要請しました。

 

現在、国の有識者検討会で、事業主の保険料引き上げについての不服申立等について検討されており、抜本的な対策が早急に求められています。

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い子どもを連れて別居した夫に対し、家庭裁判所が妻へ子どもを引き渡すよう命じましたが、子ども本人が嫌がって引き渡すことができない場合があります。

このように、裁判所の決定が下されても、子ども本人が嫌がって引き渡すことができない場合、夫に対し、例えば、「引き渡すまでの間1日2万円を支払え」というような金銭を支払わせることによって子どもの引き渡しを間接的に促す「間接強制」(民事執行法172条)が認められるかどうかが争われていました。

 

原審の高等裁判所は、「明確に拒絶している長男の心身に有害な影響を及ぼさずに引き渡すのは困難。間接強制は権利の乱用」と判断しましたが、2022年11月30日、最高裁判所は、子どもの拒絶は「直ちに間接強制を妨げる理由にはならない」と判断し、間接強制を認めました。

本件の事案では、長男の拒絶は約2ヶ月の間に2回にとどまり、権利の乱用とは言えないと指摘されています。夫の努力が足りなかったとも。

 

子どもの非監護親に対する反発や拒否感情が強ければ、いくら説得しても引き渡せない場合もあり、難しい問題です。今回の最高裁判例も子どもが拒否しているすべての事案について一律に適用があるとは思われません。事案毎の十分な検討が必要でしょう。

 

なお、民事執行法では、間接強制でも引き渡しが実現しない場合には、裁判所の執行官が子を引き渡させる「直接強制」を申し立てることができます(174条)。

 

 

 

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