1. 2012年12月

2012年12月アーカイブ

今年最後の仕事・・・公正証書遺言の作成

 
(女性弁護士の法律コラム NO.127)
 
Sさんの相談を受けたのは、11月初めだった。
Sさんは、自分は末期ガンなので、遺言を作りたいと語った。その時、Sさんの口から「末期ガン」という言葉が出なければ、およそガン患者には見えなかった。
 
私は、以前にも、ガン患者の方から遺言の作成の相談を受けたことがあったが、「遺言の内容を考えてきます」と帰られた後、連絡がないなあと思っていたところ、後日、遺言を作成する前に亡くなられてしまったことを知った。悔いが残った。
Sさんに、そのエピソードを話すと、「私は、まだ大丈夫です」と笑顔で帰られた。
 
ところが、12月初め、Sさんから、体調が悪いので、自宅まで来て欲しいと電話が入り、飛んで行った。
人間、元気な人でも、明日何が起きるかわからない世の中なので、とりあえずすぐに自筆で遺言を作成してもらうこととし、それと共に、公証人役場で公正証書遺言を作成することに決めた。
 
Sさんは、独身なので、自分の遺産は多くの友人知人に分けたいという希望を持っていた。しかし、弱った身体で、遺言の内容すべてを手書きで書くのは大変だったと思う。
 
公正証書遺言の作成日がなんとか12月28日に決まり、その日まで、突然倒れて意識を失ってしまうようなことがないかしらと心配したが、大丈夫だった。
そして、今日、Sさんは、雨の中、公証人役場に赴き、自筆で書いた遺言と同じ内容の公正証書遺言を作成することができた。
Sさんは、とてもホッとしておられた。
公証人さんが「公正証書遺言は、あなたが120歳になるまでここで保管しておきますからね」と言われた時、Sさんは「120歳を超えて生きたらどうしましょう?」と冗談が出るほどだった。
そして、もちろん私も、Sさんの気持ちに応えられたことが嬉しかった。
 
1日でも長く元気でいてほしい。
 
 
 

 
予想されていたこととは言え、12月16日の衆議院選挙での自民党圧勝には大きく落胆した。
小選挙区で自民党候補の名前を書いたのは全有権者の約4分の1、比例代表に至っては15.99%だった。自民党の勝利は必ずしも民意を反映したものではなく、小選挙区制という選挙制度の欠陥が露呈したにすぎない。
 
しかし、自公に民主や維新も加われば、国会では恐いものなしである。
早くも、憲法改「正」や原発新増設の発言が首相や閣僚から堂々と飛び出している。
 
12月27日付け京都新聞夕刊の上野千鶴子さんの「現代のことば」から。
まず、上野さんは、フクシマの原発事故に関し、
「事故を招く原因を長期にわたってつくったのは、元の自民党政権である。責任者をだれひとり追及せず、処罰せず、原因究明すらできていない状況で、いわば事故の『戦犯』ともいうべきひとびとを、有権者はふたたび政権の座に就けてしまった。」
と語る。
 
そして男女平等に関して、今回の選挙で、複数の女性団体と個人が実施した「ジェンダー平等政策」全政党アンケートの結果の分析によると、脱原発を支持する政党ほど男女平等に積極的であり、憲法「9条」を守る政党ほど男女平等度が高かった。
更に、上野さんが「おもしろいのは」と言うのが、規制緩和と自由競争を支持する政党は「女性の活用」には積極的なのに、「女性の権利」を守ることには積極的ではない、という共通点が見られたこと。
「なるほど、女にも働いてもらいたい、だが自分たちにつごうのよい働き方をしてもらいたい・・・というネオリベ派のホンネがよく見える」
 
今回の選挙結果によって、民法の分野での、選択的夫婦別姓の導入や非嫡出子差別の撤廃などは明らかに遠のくだろうし、「自助」という名で生活保護の切り捨ても強まるだろう。
そして憲法改悪への準備も・・・・
 
でも、私たちは、そういう「民意」を現政権に与えたわけではない。
来年ものんびりしていられそうにないな・・・・
 
 
 
 
 

配偶者介護で調査・・・女性は現実的!?

 
今朝のNHKテレビニュースで、面白い調査結果を放映していた。
 
首都圏や関西で有料老人ホームを経営する会社がインターネットを通じて、今年10月、40歳以上の男女約1200人から配偶者介護についてアンケートをとった調査結果である。
 
将来、配偶者に介護が必要となった場合、「自分で介護したい」と回答したのは、
男性約55%、女性約36%。
自分が認知症になった時、「大切な人に介護されたい」と回答したのは、
男性25%、女性10%。
 
男性は、介護の大変さをあまり実感していないのか、あるいは「介護は家族ですべきもの」と考えているのか。
女性の方が介護の大変さも含めて現実的に考えているよう。
 
更に、興味深い調査結果が続く。
夫婦が同じ老人ホームに入所した場合、「別々の部屋」で生活したいと回答したのは、
男性19%、女性34%。
 
妻が「せめて墓だけは、別々にして」という笑い話のような「本音」が語られることがある。
このような「死んでからくらい自由にさせて」という妻たちの言葉は聞いたことがあったが、最近は、生きてるうちから「好きにさせて」というのが妻たちの「本音」のようだ。
 
 
 
 
 
 
 

面白かった!「ドクターX」

 
毎週木曜午後9時からテレビ朝日系で放映されていた米倉涼子主演の「ドクターX」。
先週12月13日の最終回は、24.4%と高視聴率を獲得した。
 
主人公は、「白い巨塔」の大学病院にフリーランスの医師として「派遣」されて働く女医大門未知子。
どんな難しい手術でも「失敗しませんから」と言い放ってやってのけ、また事務的な仕事については「医師資格がいらない仕事は致しません」 と堂々と拒否する。
大学病院の院長だろうと、部長だろうと、権力におもねず、はっきりモノを言う。実に痛快。
脚本は、5年前の篠原涼子主演の「ハケンの品格」と同じ中園ミホ。
「ハケンの品格」も当時、高視聴率を獲得した。派遣社員の主人公は午後5時以降の残業を拒否し、正社員が残業するのを「無能だから」と言い切るところなどが痛快だった。
 
テレビドラマだから内容にはコメディタッチの所もあるが、これだけ高視聴率が得られるのは、普段、自分の権利も行使できず、上司にモノも言えず、正社員と同じ仕事をしているのに低賃金で、日々耐えながら働いている、とりわけ非正規雇用の労働者たちの声を代弁しているからのような気がする。
 
ところで、ドラマだから、あまり野暮なことは言わないが、法的な解説を少しだけしておく。
まず、「医師の派遣」は現在派遣法で禁止されており、派遣労働者として働くことはできない。職業紹介を受け、病院と直接雇用契約を結び、雇用期間を定めて働くフリーの医師は実際にいるらしい。
次に、ドラマでは、岸部一徳演じる神原が大門の労働の請求書を持って取り立てに行く場面が何回か出てくるが、これは、大門が派遣労働者でないならば、賃金は労働者(すなわち大門本人)が病院から直接受領しないと、労働基準法違反になる。
 
続編を大いに期待している。

ドアスワッグを作ってみました。

 
当事務所の相談室の廊下には、小さな飾り棚がある。
私は、その飾り棚に、季節が変わるごとに、その季節に合った花や物を飾って楽しんでいる。
 
12月は、もちろんクリスマスバージョン。
最初は、壁に、ウチにあった既製のリースを飾ってみたが、とても貧弱で悲しくなった。
そこで、ドアスワッグ(ドア飾り)を作ってみようと思い立った。
以前は、友人が毎年作ってくれており、「今年もお願いね!」と頼んではいたものの、少し遠方に住む友人でもあり、しばらく会っていないので、間に合わなかった。
 
生の「もみ」を使って悪戦苦闘すること、約1時間。
それなりに満足な仕上がり。
いかがでしょうか?
 

 
先月末、京都市東山にある高台寺に行った。
高台寺は、豊臣秀吉夫人の「ねね」の寺として有名で、秋には紅葉も見事だ。
 
でも、目的は、紅葉ではなく、このブログでも紹介した蒼山日菜さんの切り絵展。
蒼山さんの作品は、靴を脱いで寺の室内に入ったすぐの部屋から展示されていた。
 
0.3ミリという線で描かれた作品は、人がハサミ1本で作ったものとは思えない程、繊細で美しい。
蒼山さんの切り絵と言えば、ローマ字をデザインしたものが知られているが、今回の個展では、京都に合わせたのだろう、「花筏」など漢字やひらがなをデザインしたものが飾られており、どれも素晴らしい作品だった。
 
切り絵展は12月10日まで。
寺の拝観料だけで見ることができます。

 
(女性弁護士の法律コラム NO.126)
 
日本維新の会の公約は、どれも私の考えとは相容れないものばかりだが、「最低賃金制の廃止」まで公約に掲げるとは驚いた(2012年12月1日付け朝日新聞)。
 
最低賃金制というのは、最低賃金法という法律によって定められたもので、労働者が低い賃金で働かされるのを防ぐため、一定額以下の賃金で労働者を働かせてはならないことを強制したものである。
同法1条は、「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働者の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と定める。
 
最低賃金額は、毎年、都道府県別に定められるが、決して高いものではない。
現在、最も高いのが東京都の時給850円で、京都は759円、一番低いのは島根県と高知県の652円である。
 
最低賃金制がなくなれば、賃下げに歯止めをかけるものがなくなり、労働者が際限なく低い賃金で働かされ、苦しい生活を強いられることは明らか。まさに奴隷状態である。
 
維新の会の本質がどこにあるか、しっかり見抜かなければいけない。

一見さんお断りの店(ニュー万長)

 
「一見さんお断りの店」と言っても、祇園の高級クラブやお茶屋さんではない。
西陣にある焼き肉屋さん「ニュー万長」。
 
昨日は、幼なじみのshocoさんとその友達2人が名古屋と東京から来京されたので、夕方から私も合流した。
shocoさんの知人の葉石かおりさん(2012年7月31日ブログ参照)の紹介により、夕食は「ニュー万長」での焼き肉三昧が実現した。
「ニュー万長」はもちろん葉石さんの著書「おひとりさまの京都」でも「一見さんお断りの焼き肉店」として紹介されており、なんとか食べに行くことができないかなと思っていた店。
たまたま、shocoさんと葉石さんとが知り合いで、ラッキーな偶然だった。
 
青いのれんをくぐると、カウンター席が並び、私たちはその奥の座敷に案内された。
庶民的な店。
ほどなく、この店のおかあさんらしき人が現れ、「○○と△△でいい?」と聞かれ、お任せした。メニューがあるのか、ないのか??
大盛りのカルビ2皿とミノ1皿を4人でペロリとたいらげた。
「これ食べて」と出されたオカラも家庭の味。
おいしい!しかも安い!
 
帰り際に、おかあさんに「もうこれからは『一見さん』じゃないことになるの?」と尋ねると、「さあねえ」とつれない返事。
その受け答えも京都らしい!と他の3人には受けていた。
 
顔を覚えてもらうまで通いつめないと、いつまでも「一見さん」かしら・・・・?
 
 

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