1. 2022年8月

2022年8月アーカイブ

判決で勝訴した、調停や公正証書で合意した等の場合でも、債務者からの支払がなく、債務者の財産が不明で債権が回収できない場合があります。

このような場合、債権者は泣き寝入りしなければならないのでしょうか。

 

民事執行法(196条~)に、「財産開示手続」という制度が定められています。

財産開示手続は、強制執行の対象とする財産を明らかにするため、債権者の申立てにより、裁判所が債務者を呼び出し、財産状況の説明を求める手続です。

例えば、離婚した元夫との間で調停で養育費の取り決めがなされたが、途中から養育費が支払われなくなってしまった、元夫の預貯金を差し押さえる手続をしたが、その預貯金は既に解約されていた・・・というようなケースで、利用することができます。

管轄の裁判所は、債務者の住所地の地方裁判所です。

 

そして、債務者が、正当な理由なく裁判所に出頭しなかった場合や、出頭しても陳述を拒んだり、ウソの説明をした場合には、刑事罰が科されます。

2020年4月に改正され、それまでは「30万円以下の過料」という行政罰だったのですが、現在は「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰が科されることになっています(民事執行法213条)。

八経ガ岳で遭難の女性2人、9日ぶりに救助

この夏、各地の山での遭難のニュースがいくつも報道されているが、八経ガ岳(はっきょうがたけ。奈良県)で女性2人が遭難したのもその1つ。

 

八経ガ岳(1915m)は、奈良県天川村にある山で、日本百名山の1つ。奈良県及び近畿地方の最高峰である。私もこれまで2度(2005年と2022年)登ったことがある。

 

愛知県の61歳と69歳の女性2人は、2022年8月4日、弥山(みせん)小屋で宿泊した後、翌5日に八経ガ岳に登り下山する予定だったが、予約していた宿に来なかったため、捜索されていた。

2人は、山に流れる水を飲み、非常食で空腹をしのぎ、8月14日、9日ぶりに無事、救出された。

 

今のところ、詳細は不明だが、原因は道迷いだろう。

年齢も同年代だし、他人事とは思われない。さぞかし心細く恐怖も感じたことだろうが、想像するに、おそらく二人は登山経験が豊富で、体力を消耗しない工夫をしていたのではないかと思われる。

9日間も生き延び、救出されて、本当に良かったと思う。

 

私も、今年の7月中旬、弥山と八経ガ岳に登った(日帰り)。

八経ガ岳には、オオヤマレンゲという、ここでしか見られない花が6~7月の梅雨の時期に咲くので、その花をどうしても見たく思い、雨が降るかもしれないことを覚悟で行って来た。

あいにく西口登山口へ通じる行者還トンネルが通行止めとなっており、東口登山口からは、1時間半程、余分に登らなければならない羽目となった。

 

西口登山口方面への分岐までは、ひたすら急登の登り。

そこから少しなだらかになるが、弥山小屋直下からはまた急な登りとなる。小屋へ向かう階段状の登山道辺りで雨も降り出した。

やっと弥山小屋に到着。

 

 

弥山小屋から八経ガ岳までは、往復約1時間位。

その登山道脇にオオヤマレンゲの群生地があるはず・・・だった。

しかし、オオヤマレンゲの群生地には、鹿などの動物からの防護金網がはってあったが、なんと咲いていたのは、わずか3輪。おそらく鹿などに食べられてしまったのだろう。

 

 

でも、3輪でも見られて良かった!苦労して登って来た甲斐があった。

全行程約7時間半。こんなに長く歩いたのは久しぶりかも。

 

 

 

「満洲」へのこだわり

現在の中国東北部に旧満州国が建国されて今年で90年がたつという。

戦前、日本の植民地だった旧満洲・・・

 

私には「満洲」に対して特別な思いがある。

 

2021年5月29日付けブログでも書いたように、私の父は、旧満洲で1924(大正13)年に生まれた。父の除籍謄本には、南満洲市が出生地として記載されている。

父は63歳で亡くなったが、生前、満洲での生活のことを多く語ることはなかった。

会ったことのない私の祖父(父の父)は満鉄の社員であったこと、父は学生時代ラグビーをしていたこと、そして数枚の家族写真を見せてくれただけ。

ただ、父が亡くなる前に病床で、旧満洲の地をもう1度訪れてみたかったと言ったことだけが私の記憶に鮮明に残っている。

 

敗戦後の引き揚げの時の壮絶さや悲惨さなどは、父の死後に書物で読んだり、映像で観たりしたが、父はどのようにして引き揚げてきたのだろう、なぜ父は引き揚げ時のことを語らなかったのだろう。そして、成人になった私はなぜ父に満洲のことをもっと尋ねなかったのだろう、その思いがずっといまだに私の胸につっかえている。

 

2022年8月12日付け毎日新聞夕刊には、「旧満州国引き揚げ体験者が語る平和」というタイトルで、山田洋次さん(映画監督)、孫崎享さん(元外交官)、澤地久枝さん(作家)という3人の引き揚げ体験者が戦禍と戦後を語り合うという特集が掲載された。

 

澤地さんは、引き揚げの旅は人生のどん底と言い、父親が満鉄の技師だった山田さんは幼い頃はいい生活だったが、終戦から引き揚げまでは1年半以上かかったという。

また、満洲がふるさととは思えないが、引き揚げた後の日本の土地にも溶け込めない。

そして、最後に3人が平和を築くために必要なこととして語るのは、「憲法9条を持つ日本は停戦の提案をする中心に立てる国」、「命は失われたら取り戻せない。戦争は絶対にしてはいけない。軍隊を持たない、戦争をしないという憲法の本来の意味に立ち返るべき」。

 

1945年8月15日の終戦時、約155万人の日本人が旧満洲におり、このうち約105万人が「ころ島」(現・中国遼寧省南西部)で引き揚げ船に乗船したが、その様子を描いた絵画「一九四六」(王希奇氏作)の展示会が国内各地を巡回中とのこと。

兵庫県立原田の森ギャラリー(神戸市灘区)で、2022年8月31日~9月4日開催。

是非、見に行きたいと思う。

 

 

 

 

 

 

朝ドラ「ちむどんどん」の中の弁護士

NHKの朝ドラ「ちむどんどん」は、相変わらずネット上の評判が悪い。

私も「面白くないなあ」とか「こんなん、ありえん!」などと思いつつ、そういうことが話題となるということは、私も含めて皆、面白くなくても観てるってことやね(笑)。

 

さて、先週の「ちむどんどん」は、主人公暢子が働くレストラン「フォンターナ」に反社会勢力が来て、様々なひどい嫌がらせを繰り返した。

オーナー房子は弁護士に相談したが、弁護士は「明らかな恐喝行為や暴力行為が認められない限り、警察に通報しても経過観察になるんじゃないか」と言ったとのこと。あきさみよー!

ドラマの中のような嫌がらせ行為であれば、明らかな業務妨害で、今なら、弁護士もそして警察も動くに違いない。

 

「これは、弁護士に対して誤解されるような描き方だ!」と怒っている弁護士もいるらしい(みんな、やっぱり朝ドラ観てるんや)。

 

ただ、今とは時代が違う。

例えば、サラ金被害が激しかった時代、サラ金業者が取り立てのため自宅に押しかけたり、玄関に張り紙を貼ったりしても、警察は「民事不介入」として動いてくれなかった。

弁護士は、悪質な業者に対しては、裁判所に取り立て禁止の仮処分等を申し立てたりして、業者に対抗したりした。

その後しばらくして、弁護士会と警察とが民事暴力被害者救済のため連携を取るようになり、現在の民事暴力被害者救済センター設立となった。

「ちむどんどん」の当時、房子に「経過観察」と言う弁護士がいても不思議ではないと思う。

 

ドラマでは、結局、沖縄県人会の会長三郎が、反社会勢力のボス権田をシベリア出兵当時世話をした上司だったということで、水戸黄門的な解決となって、またまた、がっかり・・・だった。

 

 

 

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