(女性弁護士の法律コラム NO.161)
昨日は、午前10時から午後5時まで、京都弁護士会の両性の平等に関する委員会主催の「マタニティ・ハラスメント110番」がありました。
私も委員として、午前10時から正午まで担当しました。
数日前には京都新聞や毎日新聞にかなり大きな記事が載せてもらえたのですが、午前10時になっても1件の電話もかかりません。
関西テレビ(8チャンネル)からテレビ取材が来られており、お昼前のニュースで報道してもらえるとのことで、インタビューを受けました。
ニュースそのものを観ることはできませんでしたが、午前11時45分以降、3台の電話が一斉に鳴り、テレビニュースを観た方々からの相談がありました。
結局、合計8件の相談がありました。
「現在、育児休暇中だが、復職したら正社員からパートに変わってくれと言われている」
「うちの職場は妊娠したら退職するものと、先輩から言われた」
「産休に入る前に、産休明けに退職してもらうことになったと言われた」
など、典型的な労基法違反、均等法違反の相談が寄せられ、まさにマタニティ・ハラスメントそのものでした。
また、妊娠・出産・育児休業の権利について知らない労働者がたくさんいることも実感しました。
広報が十分でなく、相談件数は多くありませんでしたが、これからも、このような取り組みを行っていきたいと思います。
女性弁護士の法律コラム
(女性弁護士の法律コラム NO.160)
一昨年11月から改修工事が進められている宇治平等院の鳳凰堂。
4月3日から内部拝観が再開されるとのこと。
この鳳凰堂中堂の屋根南北両端に据えられている「鳳凰」像。
1万円札の裏にもそれが図柄となっている。
この「鳳凰」像が修復により、約900年前の金色の輝きを取り戻し、報道関係者に公開されたという(2014年2月25日付け京都新聞朝刊)。
平等院鳳凰堂の屋根の上の「鳳凰」像が、実はレプリカだったということは、ある裁判を担当する中で初めて知った(本物は、平等院ミュージアムに保管されている)。
ある裁判というのは、以前にもブログに書いたことがある(2013年2月25日付けブログ)宇治ユニチカ工場のCS2裁判だ。
この裁判は、宇治ユニチカ工場で働いていた労働者が工場内のCS2により、重篤な健康障害を起こし、労災認定を受け、その後、ユニチカ相手に損害賠償請求訴訟を起こしたというもの。
ユニチカの排ガスは、工場内の労働者はもとより、宇治の街中にも排出され、1968年「鳳凰」像はレプリカに変えられたということを知った。
レプリカは再生できても、失ったいのちや健康は二度と戻らない。
平等院の「鳳凰」像は、私にとって宇治ユニチカCS2裁判の象徴であり、必ず原告労働者の皆さんの姿を思い出させる物である。
(女性弁護士の法律コラム NO.159)
日本が攻撃を受けなくても、同盟国などが攻撃を受ければ反撃できるとする集団的自衛権。
その行使容認に向けて、安倍首相は、2月12日の衆議院予算委員会で、次の発言をしました。
「(政府の)最高の責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、そのうえで選挙で審判を受ける」
なにか、自分が君主にでもなったかのような発言です。
そもそも憲法は、個人の権利や自由を保障するため、首相はもとより国家権力を制限し拘束するものです(憲法前文、99条)。それが立憲主義の考え方です。
たとえ選挙で多数を取った政権でも、その都度、憲法の解釈を自由に変えることはできないのです。
どうしても変えたければ、憲法96条に定められた正当な改正手続きをふむしかないのです。
このような暴走発言に対し、日本国内よりは、海外の方が鋭く反応しています。
最近のNHK会長や経営委員の問題発言についても、日本国内より海外の方が敏感なのがとても気になります。
国民の多くは、なぜ怒らないのでしょうか?
メディアももっと取り上げるべきです。
「戦争前夜」というのは、このような状態なのか、と不安になります。
他方、全国の弁護士有志でつくる「明日の自由をっまもる若手弁護士の会」は、2月14日のバレンタインデーに合わせ、安倍首相に、憲法学の権威である芦部信喜東大名誉教授の著書「憲法」とチョコレートを贈ったそうです。
さすが若者!なかなかウイットに富んでますね!
(女性弁護士の法律コラム NO.158)
昨年、「離婚・再婚の損得」という特集に惹かれて買った「週刊ダイヤモンド」(2013年9月28日号)に、「後悔しない離婚弁護士選びの目安」という記事も掲載されていた。
「事務所の大きさや知名度が、業界内の評判と必ずしも一致しない」「検索サイトの検索結果も同様」などという文章とともに、「後悔しない離婚弁護士選びの目安」という項には、「事務所の宣伝が派手過ぎない」「若過ぎたり、逆に高齢過ぎたりしない」、「居丈高が話し方をしない」、「性格面での相性が合う」などがあげられていた。
「事務所の宣伝が派手」というのは、テレビやラジオを使って大々的に宣伝をしている債務整理や過払いなどを中心に扱っている大手法律事務所などのこと?
「若過ぎたり、高齢過ぎたり」って一体、何歳のこと?
自分が弁護士として「選んでもらう」立場なのでコメントしにくいが、私としては、「離婚」に限らず、どんな事件でも、「性格面での相性が合う」という点が比較的大切かなと思う。
相談者も弁護士も「人間」である以上、「相性」があり、法律相談を通して、お互い信頼関係が持てるかどうかがポイントになると思う。
実際に、弁護士の法律相談を受けてみて、依頼することに不安を感じるようなことがあれば、何人か他の弁護士の相談を受けてみた上で、依頼する弁護士を決めれば良いだろう。
(女性弁護士の法律コラム NO.157)
書店へ行くと、たくさんの種類のエンディングノートが販売されている。
エンディングノートというのは、自分の人生が終わる時に備えて、死後の希望などを書き留めておくノートである。
自分の年齢と職業柄、多少は興味もあるので、手に取ってパラパラと中身を見ることもある。
家族関係、不動産・預貯金・保険などの財産の詳細、葬儀・埋葬方法、親族や友人の連絡先、延命治療に対する希望など、多岐にわたる項目が印刷してあるので、それに従って、自分の希望を書き込んでいけばよく、しかも1冊にまとまるので便利だと思う。
ただ、注意しなければならないのは、「エンディングノート=遺言」ではないということである。
自筆証書遺言は、すべてを自分の字で書き、日付を入れ、署名押印しなければならない。
ノートの中には、「遺言」として効力が生じるよう書き方が指示されているページのあるものもあるが、ノートの印刷された項目に沿って記入していくだけでは、あくまで「備忘録」「希望」という意味しかない。
もし、エンディングノートを「遺言書」としたいならば、是非、弁護士に相談してほしい。
(女性弁護士の法律コラム NO.156)
支持率が低下しないことをいいことに、安倍首相がアベノミクスの「成果」や「積極的平和主義」、沖縄の基地問題など、とうとうと持論を展開する報道が不愉快きわまりない。
その上、安倍首相の息がかかった、NHK籾井会長の従軍慰安婦発言、NHK経営委員である長谷川三千子氏の女性蔑視発言など、そのとりまき連中の人権無視の発言にも腹が立つ。
この今の時代が、今後将来起こるかもしれない「戦争」の前=「戦前」の姿かも?と思うと、こんなこと絶対に許しちゃいけないと思う。
そしてまた、安倍路線を受けて発表されたのが、昨日(1月29日)の労働政策審議会の部会の報告書。
労働者派遣法の改正について議論してきた労政審は、現在3年となっている派遣受け入れ期間の上限を廃止し、3年ごとに働く人を入れ替えさえすれば、企業は同じ職場で派遣を無期限に継続できるとした報告書をまとめた。
2015年4月の実施をめざすという。
2008年秋のリーマンショックを機に起こった大量の「派遣切り」や「雇い止め」。
「派遣村」が社会問題化した。
そして、民主党政権の下で、不十分ながら、日雇派遣の規制や違法派遣の「みなし雇用」の改正が実現したのが2012年3月。
派遣労働は、働く企業に直接雇用されるものではないため、あくまで一時的な仕事に限られるというのが法の大原則だったものを、この報告書は、企業は人さえ代えれば永久に派遣労働者を使うことができるというように転換するもので、これでは、今後ますます不安定な労働者が増加していくことは目に見えている。
そして、一人ひとりの派遣労働者は、3年たてばポイ捨て。
働いている間は、「雇い止め」を怖れ、自分の権利も主張できない。
こんな改悪は、絶対に認められない。
(女性弁護士の法律コラム NO.155)
以前(2011年8月12日)にも、このコラムで書いたことがありますが、民法733条が女性だけに離婚後6ヶ月経過しないと再婚できないと定めていることは、法の下の平等に反し、すごく不合理な規定だと思っています。
そんな折り、大学時代からの友人である岩城穣弁護士(大阪弁護士会所属)が、民法733条の再婚禁止期間を適用させなかったという画期的な成果を得たと事務所ニュースで読んだので、紹介します。
A子さん(1945年生)は、1969年にBと結婚したが、1989年から別居。その後Bとは音信不通状態。
他方、A子さんは1993年頃からCと同棲を開始し、事実上の夫婦として暮らしてきた。
A子さんとBは2011年11月に離婚が成立したが、内縁の夫Cが末期ガンであることが判明。すぐにでもCとの婚姻届を出したいが、民法の規定に従って離婚後6ヶ月も待っていたら、Cは死んでしまうかもしれない。
A子さんは、既に60代で民法733条が危惧するような妊娠の可能性はない。
そこで、A子さんは、弁護士と相談し、Bとの離婚届とCとの婚姻届の両方を役所を提出することにしました。
すると、戸籍係から電話があり、岩城弁護士はこれまでの経緯を説明し、受理しなければ国家賠償請求訴訟も辞さないと強く申し入れました。
またA子さん自身も役所に一生懸命説明したところ、なんと婚姻届は受理されたそうです。
Cはその2ヶ月後に死亡されたそうです。
民法733条は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、前婚か後婚かどちらの夫の子どもかわからなくなるのでそれを防ぐというのが立法趣旨です。
しかし、再婚が認められなくても、妊娠してしまう女性もいるでしょうし、現在はDNA鑑定によりかなり高い確率で親子関係は判定できます。
また、A子さんのように、そもそも妊娠する可能性がない女性もいます。
最高裁は、未だに民法733条は違憲ではないとしていますが、どう考えても不合理な規定です。
岩城弁護士も書いていますが、おそらく、戸籍係の担当者は法務省に「お伺い」をたてて受理を決めたものと推測されます。
このようなケースがあることを知ると、たとえ最高裁の判例があっても、おかしいことに対し最初からあきらめてはいけないと思いました。
とても勉強になりました。
(女性弁護士の法律コラム NO.154)
1月20日午前、京都市ひとり親家庭支援センターで「離婚について」というタイトルで講演を行いました。
離婚に関する法律の内容や手続きなど、基礎的なことをお話しました。
講演の準備をする中で統計を調べてみると、2012年の離婚件数は、約23万6000組。
これは、2分13秒に1組の夫婦が離婚していることになります。
また、同居期間で比べると、5年未満の離婚件数が最も多く、次いで5~10年未満が多いことがわかりました。
ただ、20年以上という中高年の離婚件数も横ばいで目立ちます。
約90%の夫婦が協議離婚により離婚しているという実態は、数字的には以前からあまり変わっていないというのが実感です。
午後は、引き続き個別の法律相談を受けました。
やはり一人ひとりの悩みや抱えておられる問題は様々でした。
「こんなこと尋ねてもいいだろうか」と思わず、気軽に法律相談に来ていただきたいと思いました。
(女性弁護士の法律コラム NO.153)
最近、父親と子どもとの関係をめぐる最高裁の判決が相次いで出された。
その内容は、事務所のトップページの「最新判例」で紹介しているが、以下の2つだ。
●2013年12月 性別を女から男へと変更した父親に、人工受精によって誕生した子をその父親の子と推定
●2014年1月 認知した父親でも認知後無効を主張できる
前者の判例は、生物学的には明らかに子どもができない夫婦の間に人工授精によって誕生した子をその夫婦の子と認定した。
性同一障害特例法ができたことを背景に、生物学的な関係がない親子に社会的な意味での親子関係を認めたことになる。
他方、タレントのMさんは、自分の卵子と夫の精子を用いて、アメリカで代理出産をしたが、最高裁は平成19年3月、Mさんの実子とは認めないという判断を下した。
生まれた子は、生物学的意味では明らかにMさん夫婦の子であるにもかかわらず、Mさんが懐胎・出産したのではないという事実で否定した。
わが国では「代理出産制度」が認められていないというのも理由に揚げられているが、生まれてきた子どものことを考えると、このような扱いは妥当なんだろうかと思ってしまう。
次に後者のホットな最高裁判例は、父親が一度認知をしても、その後、反対事実を主張してその認知の効力を覆すことができるとの初判断を示した。
他方、「夫の子」と推定されて誕生した子どもについては、誕生したことを知ってから1年が経過してしまうと、原則として「自分の子でない」と主張することはできない。
子どもの法的な地位を早期に安定させる趣旨であると言われているが、そうであれば、認知を受けた子どもも同じではないのか。
私自身としては、冒頭の最高裁判例との関係で、上記の2つの事柄がなんとなく統一的に理解できず、わりきれない思いが残る。
民法制定当時には考えられなかったような多様な家族関係が存在する。
だから、現在は過渡期なのかなと思う。
いずれにしても、何の罪もない子どもが平等な取り扱いがなされるような法解釈や法制度の整備が早急に求められる。
福山雅治主演の「そして父になる」という最新映画。
取り違えられた子どもを長年育てた後にその事実を知った夫婦・家族の苦悩がテーマの映画だと聞いた。
観たいと思っていたが、観逃してしまった。
テレビで放映されたら、絶対に観ようと思っている。
(女性弁護士の法律コラム NO.152)
12月15日の日曜日、日本弁護士連合会男女共同参画推進本部と京都女子大学法学部との交流会にオブザーバーとして参加しました。
私が弁護士となったのが1982(昭和57)年。
この年の日本の女性弁護士数は477人、弁護士全体の4.0%でした。
それが、2013年には5936人となり、全体の17.7%を占めています。
しかし、約30年の間の女性弁護士の増加は著しいものの、ここ数年は、大きく増加していません。
その背景には、司法試験制度や弁護士の就職が厳しい現状があるようです。
そんな中で、今回、日本の女子大で初めて法学部を持った京都女子大学と、日弁連男女共同参画推進本部が交流会を持つという企画があることを知り、参加させていただきました。
京都女子大学に法学部ができたのは、2011年4月。今年の三回生が第1期生です。
女性の視点を取り入れた独自の法学教育を実践されており、一般の法律科目以外に、「ジェンダーと法」など女性特有の社会問題に関する講座も設けられています。
また、教員も男女ほぼ同数です。
更に、法学部校舎の中には、立派な模擬法廷も設けられていました。
学部内の模擬法廷を見学させていただいた後、教員や学生さんらと交流会がありました。
学生さんたちからは、弁護士の仕事の実際や、どんな弁護士になってほしいか、女性弁護士の就職状況など熱心に質問が出されました。
今回、交流会に参加して、女性の視点からも法律が学べるこのような大学は魅力的だと感じるとともに、もっと多くの女性に弁護士を目指してもらえるよう、若手弁護士の就職やその後の育成を真剣に考えていかなければならないと思いました。
(女性弁護士の法律コラム NO.151)
私が弁護士になって約30数年の間には、いくつかの女性労働者の権利に関する裁判に関わることができた。
弁護士というのは「こんな裁判をやってみたいなあ」と思っても、闘う事件と当事者との出会いがなければ裁判をすることができない。
その意味で、今から振り返ると、私は幸せだったと思う。
そんな、これまで関わってきた女性労働者の権利に関する裁判の中で、弁護士になって最初に関わったのが、保育園に勤務していたI保母の雇止め事件だった。
期限付き雇用で労働者を雇い入れ、更新を繰り返したあげく、いらなくなると雇止め。
そんなやり方は当時から横行していたが、何回も契約更新された事案については、裁判上、救済されるケースも少なくなかった。
ところが、I保母は、期限付き雇用の1回目の更新時に更新が拒否された。
前例のない裁判だった。
裁判が始まった1986年当時、私は弁護士4年目。
弁護団を組み、1989年4月に京都地裁で得た判決は、I保母全面勝訴。
合理的理由のない期限は無効であるという画期的な判決だった。
そして大阪高裁で和解解決。
あれから24年。
先週、24年ぶりに、Iさん、当時、福祉保育労働組合として支援してくれていたKさん、そして弁護団のうち女性弁護士3人が集い、「ロカンダきだや」という町屋のイタリアンレストランで「女子会」を行った。
皆、平等に、24年という歳月が流れ、それぞれ山あり谷ありの人生を送ってきたが、それでも、弁護団会議でケンケンガクガクの議論をしたことや様々なエピソードなど、どこまで正確かは誰もさだかではないが、それなりによみがえってきた。
おいしい豆料理の話にも花が咲き、これからもこういう機会を持つことができそうな予感がしている。
(女性弁護士の法律コラム NO.150)
9月4日最高裁が民法の婚外子の相続分差別規定が憲法違反であると判断してから既に約2ヶ月以上経過しました。
ここに来て、11月12日、やっと政府は、婚外子の相続分を婚内子と平等に認める民法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。
最高裁が違憲だと判断したのですから、今国会にいち早く法案が提出されるべきでした。
それを阻んだのは、自民党内の「正妻の地位を脅かしている」「家族制度が崩壊する」などという強硬な反対意見でした。
自民党内の保守系議員たちは、これまで婚外子差別や夫婦別姓の議論が出るたびに、「家族制度が崩壊する」とか「日本の伝統」などという言葉を口にして反対してきましたが、明治時代の前近代的な価値観に固執しているにすぎません。
それ以上に、国会議員一人一人の価値観がどうであろうと、今回、司法である最高裁が「違憲」と判断した以上、国会がそれに従った処理を行うのは当然であり、それが憲法が定める三権分立にほかなりません。
「最高裁の暴走」などという批判は論外です。
結局、自民党は、婚外子差別是正の法案は提出せざるを得なくなりましたが、法務省が予定していた、出生届に「嫡出子」「非嫡出子」の記載を義務付けている戸籍法の改正については、あくまでも「区別は必要」「最高裁は、戸籍法は違憲と判断していない」などとして了承しませんでした。
自民党は、改憲草案で、憲法24条に、新たな項をもうけ、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」と規定し、現行憲法の「個人」の尊重よりも「家族」を社会の基礎単位にしようとしています。
世界の流れにも反する時代錯誤的な考えにほとほとあきれてしまいます。
時代の逆行は絶対に許せません。
(女性弁護士の法律コラム NO.149)
11月8日は、神戸で、日本弁護士連合会主催の「業務改革シンポジュウム」が開催されたので、参加しました。
神戸は久しぶりでしたが、どこへも寄らず、結局、会場と事務所の往復だけになりました。
7つの分科会がありましたが、私は「SNSと弁護士との関わりについて、情報漏洩対策」の分科会に参加しました。
実は、これまで、何人かの人から「村松先生は、ツイッターやフェイスブックはやらないの?」と聞かれたことがありました。
公開されている方のツイッターやフェイスブックをパソコンのインターネットで読んだりはしているのですが、自分からそれらをする意味があまり感じられないできました。
それで、この分科会で何かそれらの「意味」が見つかるかもしれないと思い、参加してみました。
報告者は、ツイッターは「ちらし」のようなもので、フェイスブックは「名詞」のようなものと例えていました(よく、わかりません)。
色々、メリット、デメリットの説明がありましたが、所詮、アナログ人間の私には、新たな意味を発見することはできませんでした。
たまたま私の隣に座っていた若い女性弁護士は、シンポジュウム中、ずっとパソコンをうち続けていました。
横目で覗くと、ツイッター中。
名前を読むこともでき、「おや、おや、彼女があのツイッターの主だったのか」とわかりました。
帰宅後、彼女のツイッターを読むと、リアルタイムでシンポの書き込みがなされていました。
さすがです。
(女性弁護士の法律コラム NO.148)
10月27日の日曜日、弁護士会の両性の平等に関する委員会と犯罪被害者支援委員会との合同で、ウィメンズセンター大阪とSACHICOの訪問と見学をさせていただいた。
午前は、大阪市阿倍野区にあるウィメンズセンター大阪を訪問し、お話を伺った。
女性が自分のからだや性にまつわる不安や悩み、社会の中での生きにくさを率直に語り合い交流する場として、1984年に結成された。
子宮筋腫の手術をするべきかどうか、月経不順や中絶問題あるいは性について考えたいなど、電話相談(無料)や面接相談(有料、要予約)を行っている。
研修を受けてスキルアップした相談員を配置するなど、相談者の立場に立った運営をされている。
SACHICO発足以降は、その事務局団体にもなっている。
ともすればタブー視される「性の悩み」に正面から応えようと日々工夫や努力をされており、長年にわたりねばり強く取り組みを続けてこられたことに本当に感服した。
午後は、大阪府松原市の阪南中央病院の中にある性暴力救援センター・大阪「SACHICO」の訪問。
2010年4月発足。
支援員と産婦人科医師(すべて女性)が24時間対応し、主には、性暴力被害にあってまもない(7日以内)の女性への総合的支援を提供する。
具体的には、緊急避妊対策によって妊娠を回避すること。外傷の診察、妊娠への対応など。そして心のケア。
また、過去の被害に悩んでいる女性については、カウンセリング等も紹介している。
更に、加害者対策として、カルテの保管や証拠採取なども行われている。
365日毎日24時間のホットラインをつないでいること自体、想像どおり、関与されている方々の献身的努力なしでは、成り立たないことを実感した。
産婦人科医師との協力・連携も不可欠だ。
年間の電話相談件数は約4000件にも及ぶ。
性暴力被害にあった女性たちの多くは、恐怖と屈辱と混乱の中で「誰にも言えない、知られたくない、考えたくない」と一人で悩む。
それは、その被害女性の心身のみならず、生活、さらには人生までをも変えてしまうこともある。
「SACHICO」のような性暴力被害者救済センターが全国各地で設置されることが求められるとともに、性暴力のない社会を実現するにはどうすればよいか考えていかなければならないと強く感じた1日だった。
※ウィメンズセンター大阪:06-6632-7011(月から土曜10:00~17:00)
※「SACHICO」24時間ホットライン:072-330-0799
(女性弁護士の法律コラム NO.147)
本日午前は、京都弁護士会の両性の平等に関する委員会と京都労働局雇用均等室との懇談会があったので、出席した。
均等室は、京都労働局(中京区両替町通御池上る)の建物の5階にある。
均等室では、労働者と使用者との間で、男女差別、セクハラ、育児・介護休業、パート問題などの紛争が生じた場合に、解決に向けた援助をしてくれる機関である。
相談件数としては、セクハラに関するものが一番多いようだが、やはり、最近では、妊娠・出産等による不利益取り扱いの相談も増加しているとのことであった。
企業に対する行政指導もされているが、何せ、職員が5人しか配置されていないとのことで、小企業までは手が回っていない。
ただ、相談や申告があれば、指導に入ると言われていたので、法違反の疑いがあれば、どんどん申告することが大切だと感じた。
簡単な手続きで迅速な解決を図りたい場合には、均等室に援助の申し出を行い、均等室が調査した上で、局長による助言などの援助を受けることができる。
また、第三者機関に援助してもらいたい場合は、均等室に調停を申し立て、調停委員が紛争解決にあたる方法もある。
この調停手続きは、年に1件利用があるかないかとのことで、以前から、ほとんど利用されておらず、もっと利用し易くしなければ、法が手続きを定めた意味がないと思った。
最近、頻発しているマタニティーハラスメントの相談等も含め、もっと、気軽に均等室を利用してほしいと思う。
(女性弁護士の法律コラム NO.146)
「会社を退職したのに、離職票がもらえません」そんな法律相談を受けました。
何十年も働いてきたのに、ちょっとしたミスを理由に退職勧奨を受け、退職したAさん。
聞けば、結構、京都では名前が知れた会社でしたが、ノラリクラリと離職票をくれないとのこと。
Aさんは、長年働いてきた会社を辞めざるを得なかったこと自体ショックを感じておられた上に、離職票をもらえないということで、とても落ち込んで見えました。
離職票がなければ、雇用保険の手続きが受けられず、失業手当ももらえません。
雇用保険に加入しているのに、会社が離職票を渡さないのは、怠慢か嫌がらせしかありません。
以前にも、同じような相談が受けたことがあり、その時は、私物も返してもらえないということでしたので、受任して、弁護士名で、離職票や私物を引き渡すよう内容証明郵便で請求したところ、すぐに返してきたことがありました。
今回の相談は、離職票だけでしたので、ハローワークへ行けば、会社に指導してもらえるとアドバイスをしました。
後日、Aさんから報告があり、ハローワークから会社に指導があり、離職票は交付されたとのことでした。
このような嫌がらせにめげず、明るいAさんに早く戻ってほしいと思いました。
(女性弁護士の法律コラム NO.145)
10月3-4日、日本弁護士連合会の人権擁護大会とシンポジュウムが広島で開催されたため、参加してきました。
3日がシンポジュウムで、4日が大会。
シンポジュウムは、第1分科会が原発問題、第2分科会が憲法9条問題、第3分科会が労働と貧困問題がテーマでした。
どの分科会もホットなテーマだったので、どれに参加するか迷いましたが、第3分科会に参加しました。
ジャーナリストの斎藤貴男さんの講演は、消費税が来年4月に8%に引き上げられても日本経済が回復することがないことなどわかりやすいアベノミクス批判でした。
また、匿名で発言された母子家庭のAさんの生活実態の話は、今の日本の貧困問題がとりわけ女性や子どもに大きくのしかかっていることがリアルに伝わってきました。
パネルディスカッションのパネラーの一人だった東京大学名誉教授の神野直彦先生の「『国の財政が破たんする』なんて、僕が大学院生の時からずっと言われ続けている」「日本の財政は、破たん状態じゃない」「社会保障に金をもっと使えば、日本の財政は豊かになる」などという発言は、もっと詳しく聴いてみたいなと思うような内容でした。
その日の夜の京都弁護士会会員の懇親会で話を聞くと、他の分科会もかなり充実した内容だったようで、分科会の「ハシゴ」をするんだったと少し後悔しました。
以下は、番外編です。
お昼に食べた広島焼きです。
とろろいもと溶ろけるチーズをトッピングしました。
(女性弁護士の法律コラム NO.144)
過労死弁護団全国連絡会議の総会が、9月27ー28日の両日、大阪で開催されましたので、参加してきました。
全国各地で、過労死や過労自殺などの労災や公務災害としての認定を求める裁判や企業に対し損害賠償責任を求める裁判がたたかわれています。
総会では、そのような裁判の報告や経験交流などがなされました。
特に、もともと何らかの精神障害を抱えていた労働者が業務によりその障害が悪化したようなケースをどのように考えるか、過労自殺の場合の任意保険金の請求問題など、新しいテーマについても議論され、とても勉強になりました。
今後の仕事に役立てていけたらと思いました。
(女性弁護士の法律コラム NO.143)
「秘密保護法」という法案が、10月15日から始まる臨時国会に提出されるという動きがあることをご存じだろうか?
第2次安倍政権は、「成立をめざす」としている。
秘密保護法案とは、国にとって特に重要な情報を「特別秘密」に指定し、その特定の秘密を漏らした公務員や、不正な手段で公務員らから秘密を入手した人を処罰するものである。
ずっと以前から「国家秘密法」などという名前で、時の政府が法案提出を画策してきたが、いずれも国民の反対にあい、頓挫してきた。
ところが、2010年に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突ビデオ映像が流出したことがきっかけとなり、議論が再開された。
藤原紀香は、9月13日付けの自身のオフィシャルブログで秘密保護法案への危険性を表明した。
「国が『この案件は国家機密である』と決めたことに関しては、国民に知らされないことになり、放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう・・・なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です」
法案の「秘密」の範囲は、「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4類型。
でも「原発」に関する情報だって「テロ活動防止」と言ってしまえば含まれてしまうし、そもそもチェック体制がないから、行政が「この情報はテロ活動防止に関する情報にあたる」として特定秘密にしてしまえば、本当はそれにあたらない情報でも、特定秘密になってしまう。
政府は、9月3日から、広く国民から意見を聞く「パブリックコメント」の受付を開始したが、期限が17日(明日です!)と、こんな重要な法案であるにもかかわらず、わずか15日間しかないため、「国民にも意見を求めましたよ」というアリバイ作りであることは明らか。
藤原紀香は「私も自分の意見、パブコメに送らせていただきました」と書き、パブコメの送り方まで紹介している。
国民の知る権利を奪う秘密保護法案。
私たち日本の将来を守るため、一人一人が声をあげよう。
なお、法案の問題点については、日本弁護士連合会のホームページに意見書が掲載されていますので、それも参照してください。
(女性弁護士の法律コラム NO.142)
今年1~6月に心理的虐待を受けたとして、全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の被害児童は5670人で、上半期としては過去最多だったことがわかった(2013年9月12日付け京都新聞)。
うち、子どもの目の前で配偶者や親族らに暴力をふるう「面前ドメスティック・バイオレンス」の被害が3840人と67.1%を占めた。
子どもの目の前で、「産まなければ良かった」「殺すぞ」と暴言を吐いたり、配偶者に暴力をふるったりすれば、子どもに大きな精神的ショックを与えることは間違いない。
多くの研究で、暴力を目撃した子どもは後遺症に後々まで苦しみ、人間関係を築いたり、攻撃的な衝動を抑えたりする能力が欠如しているという結果が出ている(ジュディス・ウォラースタインほか著「それでも僕らは生きていく」より)。
どのような理由があろうと、暴力は絶対に認められない。