1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

女性の再婚禁止期間

 
つい先頃、昨年に離婚が成立した女性依頼者の方から「結婚しました」という葉書が届きました。
親娘ほどの年齢差があったわけではありませんでしたが、とても可愛らしい方で、私は娘のように思っていました。
その彼女が再婚したという連絡をくれたので、本当に嬉しく思いました。
 
ところで、女性の場合は、離婚が成立しても、すぐに再婚できるわけではなく、民法は「6ヶ月」を経過しないと再婚できないと定めています(733条1項)。
 
この法の趣旨は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、この間に生まれた子の父親がどちらの子どもかわからなくなるということのようですが、今時、親子鑑定をすれば、かなりの確率で父親を特定できますし、そもそも子どもを生むことができない女性や生めない年齢に達した女性についても一律に適用されるという不合理もあります。
 
過去に、この規定が憲法14条1項の法の下の平等に違反するとして最高裁まで争われたことがありますが、最高裁は、平成7年12月、「父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の予防を目的とする以上、憲法14条1項に違反しない」と判断しました。
 
今の時代に全くそぐわない男女差別のこの法律。是非とも改正したいものです。
 

離婚を有利に進める方法(その4)

 
世間体などを考えず、きちんと医者に行くこと。
 
家庭内暴力(DV)を受けて怪我などをした時、「恥ずかしいから」とか「世間体が悪いから」として、医者に行かない場合が少なくありません。
でも、医者に行っておれば、後で診断書も書いてもらえますし、カルテにもその記載が残されますので、DVを受けていたという有力な証拠になります。
 
また、夫婦間の不和によって自律神経に不調を来したような場合にも、神経内科あるいはカウンセリング等の専門機関の受診をお勧めします。
もちろん、ご本人の体調の回復に何らかのメリットがあることはもとより、やはりカルテにその原因などが記載されるからです。
 
医者には守秘義務がありますので、他人に知られたくないことを話しても、他に漏れることはありません。
なお、カルテの保存期間は5年間なので、注意しましょう。
 

 
災害弔慰金は、災害で死亡した人の配偶者・子ども・両親・祖父母・孫が支給対象で、家計を支えている人が亡くなった場合は500万円、それ以外の人の場合は250万円が支給されます。
 
しかし、今回の東日本大震災では、兄弟姉妹を亡くした人も少なくないことから、支給対象を広げることが求められていました。
昨日、国会で、災害弔慰金支給法が改正され、兄弟姉妹でも、死亡した人と生前同居するか、生計を同じくし、ほかに遺族がいない場合には、支給の対象となることが決まりました。
 

 
最近、借家の敷引きや更新料をめぐって、最高裁の不当判決が続いていましたが、7月21日、欠陥住宅に関し、久しぶりに評価できる判決が出ました。
事案は、オーナーとして購入した9階建てマンションの床や壁にひび割れなどの欠陥があったとして、施工業者らに計3憶5000万円の損賠賠償を求めたというものです。
 
2007年に最高裁は、「建物の設計・施工者等は、建物に基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負う」という初判断を示しました。
 
今回の最高裁判決は、その「基本的な安全性が欠ける」瑕疵(=欠陥)とは、「居住者等の生命・身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、その瑕疵が、現実的な危険をもたらしている場合に限らず、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合にも該当する」との判示し、将来の危険にも賠償義務があるという被害者保護の判断を下しました。
 
 

親権者の変更(親権者が死亡した場合)

 
離婚後に親権者となった者が未成年の子どもを残して死亡した場合は、親権者はどうなるのでしょうか。
 
民法は、未成年者に対し親権を行う者がないときは、後見が開始すると定めていますから(838条1項)、通常は、死亡した親権者の親族が後見人として選任されることが多いようです。
 
また、親権者が死ぬ前に遺言で未成年者の後見人を指定しておれば、それに従うことになります(民法839条1項)
 
ただ、離婚時に親権者にならなかった他方の親が自分を親権者と指定してほしいと家庭裁判所に申し立てることがあります。
このような場合でも、親だからと言って当然に他方の親に親権の変更が認められるわけではありません。
養育費の支払いなどの監護の実績や子どもの意思などの事情を総合評価して家庭裁判所が決定します。
 

 
東日本大震災による被災者が、将来、損害賠償を求める際の記録として利用できる記録ノート(新潟県弁護士会作成)については、5月16日の当コラムでご紹介しました。
 
今回、ご紹介するのは、原発事故の被害者の方々が、東京電力に対する損害賠償を求める際の記録して役立つよう、福島県弁護士会が作成した「福島県原子力災害被災者・記録ノート」です。
 
原発事故の被害者の皆さんの多くは、損害賠償請求の内容や方法などについての情報も少なく、不安な日々を送っておられると思います。
しかし、記憶は時間の経過とともに薄れていく可能性があり、かつ、日々の生活の中で、何をどのように記録しておいたらよいか、どのような資料を残しておいたらよいのかなどがわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記録ノートは、原発事故による補償を受けるために必要なことを書き留めておくもので、そのほかに、弁護士会をはじめとする相談窓口の記載や賠償金支払いまでの流れの説明もあります。
 
福島県弁護士会のホームページからダウンロードできますので、是非、ご活用ください。

相続放棄は、いつから「3ヶ月以内」なの?

 
相続を放棄したい場合、民法は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、・・・放棄しなければならない」と定めています(915条)。
 
「自己のために相続の開始があったことを知った時から」というのは、通常、被相続人が死亡したということを知った日の場合が多いですが、第1順位の相続人が全員放棄したため、第2順位の人が相続人となるような場合には、自分が相続人となったことを知った日となりますので、必ずしも死亡した日とは一致しませんね。
 
また、この「3ヶ月」という期間は、相続するか放棄するかを考えるための期間ですので、自分が相続人となったということだけでなく、どのような相続財産があるのかを認識した、あるいは認識しうべき時から計算されるというのが判例の立場で(最高裁昭和59年4月27日)、家裁の実務でもこのように運用されています。
従って、仮に親と長年音信不通状態で離れて暮らしており、親が死亡したことは連絡を受けたが、親に借金があることまでは全く知らず、銀行から請求を受けて初めて知ったというような場合には、その銀行から請求書が届いた時が「3ヶ月」の期間の始まりとなります。
その意味で、いつから「3ヶ月」かを計算するかは重要なので、迷うようなことがあれば、弁護士にご相談ください。
 
 

相続財産管理人の仕事

 
昨日は、当初雨予報だった天気予報がかわり、午後からは晴れ、しかも今年一番の暑さとなった。
先日、家裁から選任された相続財産管理人としての仕事をするために、午後から担当事務局のTさんと二人で山科へ。
山科と言っても、もう滋賀県との県境に近い場所。
 
相続財産管理人というのは、相続人がいない、あるいは不明の場合に、利害関係人から申立てがあると、家裁から選任され、相続財産を管理し処理するなどの仕事をする(民法951条~)。
 
この件の相続財産でわかっているのは、今のところ自宅不動産だけ。
その自宅不動産の状況を確認するためと他に相続財産がないかの調査のため訪れた。
 
長らく人が住んでいないため、予想どおり、カビくさい臭いとほこりだらけの部屋には家具や衣類などがそのままの状態で放置されていた。窓を開け放ち、二人で、軍手をはめて、汗をかきながら、通帳や書類、手紙などの類がないかを探したが、結局、あまり成果はなかった。
 
こういうことも弁護士の仕事の1つなんです。
 
 
 
 

 
相続人が相続を放棄したい場合、民法は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に」家庭裁判所に申述しなければならない、と定めています(915・938条)。
 
この「3ヶ月」という期間について、東日本大震災の特例措置として、震災発生3ヶ月前の平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方については、相続をするか、あるいは放棄するかを考える期間について、
平成23年11月30日まで
延長されることになりました(6月17日に国会で成立)。
 
従って、相続放棄をする場合には、11月30日までに家裁で手続きを行ってください。
ただし、特例の対象となるのは、災害救助法が適用されている地域のうち被災地を中心とした9県に被災時に住所を置いていた人です。被災地以外に住む相続人は対象外ですので、注意してください。
 
 

成年後見人の職務

 
認知症の高齢者や判断能力が不十分な人を不利益から守る制度として「成年後見制度」があります(2010年9月2日付け本コラム)。
 
家裁は、後見開始を認めると、成年後見人を選びます。子どもや兄弟などの親族が後見人になることもあります。
後見人の主な仕事は、財産管理能力が不十分な被後見人に代わって、その財産を管理するというものです。
財産の管理とは、現状の維持だけでなく、処分する行為も含みます。例えば、印鑑・通帳の保管、介護サービス契約の締結、生活資金を捻出するための不動産の売却など多岐に及びます。
その前提として、後見人は、選任後速やかに財産を調査し目録を作成しなければなりません。
後見事務を処理するための費用は、被後見人の財産から支出することができます。
また、申立をすれば、家裁は報酬も決めてくれ、受領することができます。
 
 

 
震災直後の家屋倒壊や津波などの「直接死」ではないが、避難所生活など震災の環境の変化によって死亡することを、「震災関連死」と言います。
 
「震災関連死」と判定されると、遺族には災害弔慰金が支給されます。その金額は、生計維持者の方が死亡した場合は500万円、その他の方が死亡した場合は250万円です。
しかし、これまで「震災関連死」の基準に全国統一的なものはなく、被災地の市町村から厚生労働省に問い合わせが相次いでいました。
そこで、厚生労働省は、東日本大震災では、同省が2004年の新潟県中越地震で長岡市が作成した「震災関連死」の認定規準を各都道府県に示し、各市町村へ周知するよう求めています(京都新聞2011年6月6日付け夕刊)。
 
長岡市の基準によると、
・地震が発生した2004年10月23日から10月末までの死亡は関連死と「推定」
・1ヶ月以内は「可能性が高い」
・1ヶ月以上は「可能性が低い」
・6ヶ月以上経過後の死亡は「震災関連死でないと推定」
などとされています。
 
 

養育費の決め方

 
離婚の時に親権者にならなくても、子どもとの親子関係がなくなってしまうわけではありませんので、未成年の子どもを扶養する義務は、両親が双方で負担しなければなりません。
そして子どもを引き取らない親が、実際に子どもを育てている親に対し、養育費を払うことになります。
 
養育費を誰がいくら負担するかは、話し合いで決めることになります。話し合いができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて、話し合い、それでもまとまらない場合には、家裁が審判で決めてくれます。
また、両親の話し合いで決めることができた場合でも、最低、その内容を合意書の形にして残しておきましょう。また、将来、支払いが遅れたり、未払いとなったりする場合にそなえ、公証人役場で公正証書を作成してもらった方が良いと思います。
 
養育費の具体的な算定にあたっては、両親の収入の額が判断の資料となります。家裁では一応の目安になる「算定票」を持っており、通常は、それにもとづいて調停が進められます。
 

親権の停止~改正民法成立~

 
20歳未満の子どもについては、父母が親権を持っている(民法818条1項)。
父母が結婚している場合は双方が親権者で、離婚の際はどちらか一方を親権者と定める。
 
親権者は、子どもの養育監護及び教育する権利義務を有するが、近時、児童相談所への虐待事案の通報件数は大幅に増加し、2009年は約4万4000件と、10年前の約3.8倍にも達している。
 
父母が、親権を濫用したような場合には、現在の民法では、家裁が、その「親権の喪失」を宣告できるという制度がある(834条)。
しかし、期限を定めずに親権を奪うため親子関係への影響が大きく、申立をためらうケースがあると指摘されていた。
 
このような児童虐待を防止するための民法などの改正法案が、本日、国会で成立した。
今回の制度は、親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家裁に申し立てることを可能とし、認められれば最長2年間親権が停止される。状況が改善されれば、親や親族は親権停止の取消請求ができるが、改善されなければ延長も可能という内容。
また児童福祉法も改正され、児童相談所長や児童養護施設の施設長らの権限を、緊急の場合は親の意向よりも優先させて、一時保護中や入所中の子どもを監護、教育できるとした。
 
来年4月に施行される予定。
 
「子どもを守る」ための最初の1歩です。
 

執行役員も労災保険法上の「労働者」

 
仕事が原因で過労死した場合、労働災害として労災保険の補償の対象となるのは、あくまで「労働者」です。
東京地裁は、5月19日、脳出血で死亡した執行役員の男性が「労働者」であるか否かが争われた事案で、「労働者に当たる」との判断を下しました。
 
執行役員というのは、会社の業務執行に対する責任と権限を持つ役員ですが、法律上の「取締役」とは異なるものです。
 
判決は「一般従業員時代と執行役員時代の業務実態が変わらず、一定額以上の取引では本社の決裁を仰ぐなど指揮監督を受けていた」「最終意思決定は取締役会でしており、経営会議の構成員だからといって当然経営者ということにはならない」として、労働者であると認定しました。
 
残業代が払われない「名ばかり管理職」が問題となっていますが、この判決によって、労働者としての権利が認められない「名ばかり役員」が少しでも減ると良いですね。
 

東日本大震災・記録ノート(新潟県弁護士会)

 
新潟県弁護士会は、東日本大震災の被災者の方が損害賠償を求めるための記録ノートを作成しました。
 
震災版「被災者ノート」です。
 
被災された皆さんは、これまでも、そして今後も、様々な場面において多くの損害を被り、賠償を求めていかなければならなくなるかもしれません。
そのためには、いつ何があったのかなどの事実を正確に記しておくことが重要になります。
 
新潟県弁護士会は、そのための記録ノートを作成し、誰でもホームページからダウンロードすることができます。
また、今後の法律相談を通じて、内容については一層改善されていくそうです。
 
是非、活用しましょう。
 
 
 

 
私も弁護団の一員として、昨年勝ち取った違憲判決(労災保険における外貌醜状の後遺障害等級が男女差別であること=男性が低く評価されていること)によって、今年2月から労災の基準が男女同一に改定されたことは、ホームページのトップページの「お知らせ」欄で紹介した。
 
それに続いて、交通事故の自賠責保険の後遺障害等級における外貌醜状の男女差別についても、5月2日に男女差が解消された新しい施行令が公布された。
 
いつの事故から適用されるのかであるが、上記違憲判決が確定した平成22年6月10日以後に発生した事故について適用される。
(改正内容)
7級12号  外貌に著しい醜状を残すもの        保険金額 1051万円
9級16号  外貌に相当程度の醜状を残すもの      保険金額  616万円
12級14号 外貌に醜状を残すもの            保険金額  224万円
 

子どもとの面会

 
夫婦が別居し、子どもと離れて暮らすようになった場合、子どもと別れた親が子どもに会いたいと思うのは自然な情だと思います。
それは、離婚しているか否か、親権がどちらにあるかは、関係ありません。
 
このような親が子どもに会う権利は、「面接交渉権」と呼ばれています。
 
ただ、面接交渉権があるからと言って、いつでも、どこでも自由に会えるわけではありません。子どもの健全な成長という観点からの制約があるのは当然です。
また、子どもの状態によっては、ある時期、面接交渉権が認められない場合もあります。
もし、親同士で面会について話し合いができない時には、家庭裁判所の調停で話し合うことができ、それでも決まらない場合には、家裁が審判で、面接の適否や方法について具体的に決めてくれます。
 
いずれにしても、子どもの健全な成長を第一に考えて話し合う姿勢が大切ですね。
 
 
 

地震に伴う法律相談(その4~労災保険)

 
労働者が、仕事により、または通勤途中に、怪我などによって障害を負ったり死亡したりした場合には、労災保険によって休業補償給付や療養給付、遺族補償給付などを受けることができます。
労災保険も雇用保険と同じく、原則として労働者を一人でも雇用している事業所は強制適用となります。
 
今回の東日本大震災は、平日の昼間に起きましたので、仕事中の方もたくさんおられました。
 
厚生労働省は、2011年3月24日付けで通達を出し、「業務遂行中に、地震や津波により建物が倒壊したこと等が原因で被災した場合にあっては、作業方法や作業環境、事業場施設の状況などの危険環境下の業務に伴う危険が現実化したものとして業務災害として差し支えない」としています。
避難中や救助中、通勤中に巻き込まれた場合でも労災と認定されます。
またパートやアルバイトとして働いていた方についても適用があります。
 
厚労省は、事業主や医療機関の証明がなくても受理する呼びかけていますので、最寄りの労働基準監督署に問い合わせをされることをお勧めします。
 
 

業務委託も音楽家も「労働者」(最高裁判決)

 
昨日、最高裁は、労働組合法の「労働者」にあたるかどうかで争われていた2つの訴訟について、いずれも「労働者」にあたるという画期的な判決を下しました。
 
1つは、INAXメンテナンス(会社)から「業務請負」という形で住宅機器等の修理にあたっていたカスタマーエンジニア(CE)が加入している労働組合が求めた団体交渉を会社が拒否した不当労働行為事件。
1審の東京地裁は労働者と認めましたが、2審の東京高裁は「業務の依頼を自由に断れ、いつ仕事をするかの裁量もあった」として労働者と認めませんでした。
最高裁は、会社が日常的に業務を委託していたことや、CEが業務の依頼を事実上断れなかった点を重視して、「時間、場所の拘束を受け、独自の営業活動を行う余裕もなかった」として労働者に当たると判断しました。
 
もう1つは、新国立劇場で合唱団員として働いていた女性の契約更新拒否をめぐる不当労働行為事件で、1審・2審と組合が敗訴。しかし最高裁は合唱団員を「労働者」として認定した上で、東京高裁に差し戻しました。
 
労働組合法は、憲法28条で保障されている団体交渉権などを具体化した法律です。経済的に力の弱い労働者が労働組合に加入し、労働組合として使用者と団体交渉するなどの権利を認めています。
ところが、近時、あらゆる産業で「請負」「業務委託」という形式での契約形態が増え、「労働者」として組合が団体交渉をすることなどを使用者が拒否することが続いていました。
 
今回の最高裁判決は、契約形式にとらわれず、就労実態から「労働者」と認めたもので、使用者の脱法的な就労形態を断罪したものです。

相続と時効(その2)~遺留分減殺請求権~

 
遺言によって遺産をもらうことから排除されているような場合でも、兄弟姉妹以外の法定相続人が遺言者の意思に反しても一定の割合の遺産を請求することができる制度=遺留分制度(民法1028条)については、2011年2月17日付け当コラムでお話しました。
 
自分の遺留分を侵害するような内容の遺言などが存在することを知った時には、それによって直接利益を受ける相手方に対し、遺留分の範囲内で財産を返還するよう求めることができます。これを遺留分の減殺(げんさい)請求と言います。
 
遺留分の減殺請求を行う方法は、相手方に対する意思表示で足りますので、口頭でもかまいません。
ただ、後に「言った」「言わない」という紛争になりかねませんので、内容証明郵便でされることをお勧めします。
 
そして大切なことは、この遺留分の減殺請求権は、自分の遺留分が侵害されていることを知ってから1年間行使しないと時効によって消滅してしまいます。
また、相続が開始した時から10年経過した時は、たとえ知らなくても消滅してしまいます(民法1042条)。
 
1年という期間は短いので注意しましょう。
 
 
 
 
 
 

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