1. 非正規労働者の差別是正を求める2つの裁判(東京地裁)
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.168)
 
新聞報道によると、2013年4月1日に施行された改正労働契約法20条を根拠に、非正規労働者が正規労働者との格差是正を求めた裁判が、あいついで2件東京地裁に提訴されました。
 
労働契約法20条は、有期雇用契約の労働者について、期間の定めのあることによる不合理な労働条件を禁止しています。
この規定は、民主党政権下での数少ない成果(?)の1つと言えるでしょう。
 
●東京メトロコマース訴訟
東京メトロコマースは、駅構内の販売店等を経営する会社で、正規・非正規合わせて約840人の従業員がいます。
今回、駅販売店で販売を担当する4名の有期雇用社員が労働条件の格差は違法として損害賠償請求訴訟を提訴しました。
販売店では、正社員と同じ時間、同じ仕事内容で働いているにもかかわらず、基本給・手当・賞与・退職金いずれも大きな労働条件の差があるとのことです。
 
●日本郵便訴訟
日本郵便株式会社は、誰もが知っている「郵便局」です。
従業員は全体で約39万人、正社員以外の有期雇用社員は約19万人で49%を占めてします。
原告3名は、時給制契約社員で、正社員と同じ勤務シフト制に組み込まれ労働時間も同じです。
しかし、例えば、年末年始の繁忙期に正社員にはつく手当が有期社員には支払われなかったり、夏季冬季休暇や病気休暇などが取得できないなどの格差があるとのことです。
そこで、病気休暇を取得する地位、諸手当の支払いを求めて提訴しました。
 
このような正規と非正規とで大きな格差のあるような労働条件の職場は、今の社会にたくさんあると思います。
でも、立場の弱い非正規労働者は、声を上げると雇止めとなったりするので、じっと我慢を強いられています。
今回の2件の裁判は、非正規労働者とそれを支援する労働組合が立ち上がって提訴に至りました。
 
是非、頑張ってほしいと思います。
 
 
 
 

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