1. 2025年1月

2025年1月アーカイブ

作家伊与原新氏が2025年直木賞受賞

今まで、毎年発表される芥川賞や直木賞の受賞作品に注目したことがなかったが、今回は違う。

 

2024年10月21日付け当ブログで紹介した「宙(そら)わたる教室」の作者伊与原新氏が2025年1月、第127回直木賞に選ばれた。

私が今、一番「推し」の作家である。

 

受賞作品は「藍を継ぐ海」。

受賞作品はまだ読んでいないが、昨年のNHKドラマ放映と並行して原作「宙わたる教室」を読み、その後、F弁護士の勧めもあって、文庫本で「月まで三キロ」と「八月の銀の雪」という短編集を2冊読んだ。

 

伊与原氏は、大学で地球惑星科学を専攻した科学者で、教員になった後に作家に転向した。

そういう経歴の持ち主であるからか、どの作品も、科学と文学とが融け合っていて、とても面白い。そして、自分の専門分野ではない科学の分野についても、よく調べ、それを作品のモチーフとして人間ドラマに仕立てて書かれてあることが一層面白さを増している。

 

2025年1月26日付け朝日新聞に伊与原さんのエッセーが掲載されていたが、それを読むと、そんな伊与原さんも、編集者からの助言を受け科学などを題材にした作品を書くようになって以降も、新刊を出してもほとんど話題にならない状態が続くと、世に根強く「科学アレルギー」が存在するせいにしていたとのこと。

 

その状況が変わったのは、「月まで三キロ」を出してからだという。

「月まで三キロ」は6編から成る短編集だが、一言で科学と言っても色々な分野をモチーフとして人間模様が描かれており、どの作品も興味がわいた。

子どもの頃から、物理や化学の分野が苦手で、科学に「負い目」やコンプレックスがある私にも、本当に楽しめる作品である。

 

「藍を継ぐ海」も読むのが楽しみである。

 

 

2023年3月15日付け「女性弁護士の法律コラム」で紹介しました大阪地裁判決の控訴審判決が、2025年1月20日大阪高裁で言渡しがありました。

 

交通事故などで後遺障害が残った場合や死亡した場合、その程度に応じて「逸失利益(いっしつりえき)」の賠償を請求することができる場合があります。

逸失利益とは、被害者がもし事故に遭わなければ、将来得られたであろう利益のことを言います。その計算は、現実に働いている人の場合には、被害者の事故前の収入が基礎となり、子どもや専業主婦など働いていない人の場合には賃金センサスという平均賃金が基礎となります。

 

この事案では、交通事故で死亡した聴覚障害のある児童(女性、当時11歳)の逸失利益の算定について争われました。

 

2023年2月27日、一審の大阪地裁判決は「聴覚障害者が労働能力を制限しうることは否定できない」と判示し、全労働者の平均賃金の85%を算定の基礎としました。

 

これに対し、大阪高裁は、子どもの逸失利益の算定であえて減額することが許されるのは公平性が顕著に妨げられるようなケースに限られるとの判断基準を示し、本件では被害者に減額する理由はないとしました。

 

子どもらには無限の可能性があり、障害児であるというだけで、たとえ15%であっても減額するのは平等とは言えません。

大阪高裁は、「聴覚障害者の就労の社会的障壁も、ささやかな合理的配慮で職場全体で取り除けるようになっており、それが当たり前のようになっている職場も少なくない」と判示しています。

この判示には、障害の特性に対する「ささやかな配慮」ができる職場や社会を作るべきというメッセージも込められているでしょう。

 

正当な判決が下されて良かったと思いました。

 

 

 

 

 

デジタル教科書

文部科学省が、紙の教科書の「代替教材」としているデジタル教科書を正式な教科書に位置づけた上で、紙とデジタルのどちらを使うかは各教育委員会が決める「選択制」の導入を検討していることがわかった。来月中にも中間報告をまとめる予定。(2025年1月19日付け読売新聞)。

 

デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をデジタル化したもので、生徒は一人1台の学習用端末で見ることができる。「当面は紙と併用」する方針を定め、2024年度から小学5年生以上の英語と算数・数学の一部で導入している。

 

しかし、学校現場では、デジタル教科書が導入された後も、ほとんどの学校は紙の教科書で授業を行っており、浸透していない。そこで、文科省は、デジタル教科書の使用拡大を図るため検討を行っているようだ。

 

学校教育法は、検定を経た紙の教科書を正式なものとし、デジタル教材は、検定の対象外で、必要があると認められる教育課程の一部に使用することができると定めている(34条)。

従って、デジタルを正式な教科書として使うには学校教育法の改正が必要となる。

 

他方、2024年10月22日付け読売新聞では、IT先進国のスウェーデンでは、2006年からデジタル教材への移行が進んだが、2023年には学習への悪影響があるとして紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に大きくかじを切ったとの記事が掲載された。スウェーデンでは近年子どもの学力を図る国際調査で成績の落ち込みが目立つようになった。子どもたちの集中力が続かない、考えが深まらない、長文の読み書きができないなど画面ばかりに目が向く弊害が生じているという。

 

デジタル教科書を正式な教科書とするには、他国での前例や研究も踏まえ、長時間かけた実証研究をする必要があることは研究者が指摘するとおりである。

くれぐれも教育現場において子どもたちがその実験台にならないように。

 

 

 

 

 

火星と花山天文台

2024年10月21日付け当ブログで紹介したNHKドラマ「宙(そら)わたる教室」は終了してしまったが、昨年放映されたドラマの中では、私の中ではダントツに感動的なドラマだった。

 

「宙わたる教室」は、年齢も異なり様々な境遇や環境におかれた4人の東新宿定時制高校の生徒たちが、藤竹先生が行った、火星の青い夕焼け(注:火星の夕焼けが青いのは事実)を再現する実験に興味を持ったことをきっかけに、科学部を作り、ついには「火星重力下でランパート・クレーターを再現する」実験に成功、日本地球惑星科学連合大会の高校生セッションで優秀賞を獲得するというストーリー。

ドラマと並行して原作本(作者:伊原 新)も読み、今まで全く関心がなかった「火星」に少し興味を持つようになった。

 

そんな折り、2025年1月6日付け京都新聞夕刊「現代のことば」の中で、柴田一成同志社大特別客員教授が「火星と花山天文台」と題して寄稿されていた。

それによると、今が火星が見えるシーズンなんだそうだ。1月上旬ころから夕方7時すぎに、東の空に赤く光っている星が見えたら、それが火星なんだそうだ。マイナス1等星くらいの明るさなので、誰でもすぐにわかるとも。

しかも、火星は、780日ごとに地球に近づき、1月12日は780日ぶりの接近で火星観測の好機らしい。

 

また、実は、京都にも天文台がある。京都大学の施設である花山天文台だ。

柴田教授は、花山天文台第3代台長を務めた宮本正太郎博士が、地球とは全く異なる火星の気象を世界に先駆けて明らかにされたことも紹介されていた。

花山天文台は、京都の東山ドライブウエイの途中にあるようだが、まだ行ったことがない。ここも火星に深く関わってきたことがわかった。是非、訪れてみたい。

 

皆さんも、冬の空に赤く光る火星を見つけてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年、大文字山山頂から見た初日の出

新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

大学生の時からずっと京都に住んでいますが、これまで京都で初日の出を見たことはありませんでした。

「1日は晴れそうなので、大文字山で初日の出を見よう」とのお誘いがあり、銀閣寺交差点に1月1日午前5時集合となりました。

そのため、大晦日は紅白歌合戦も見ず、早々に就寝しました。

1日は午前3時起床。自宅から銀閣寺交差点まで徒歩で1時間位かかるかなと思い、午前4時に自宅を出ました。午前4時40分に銀閣寺交差点に着きました。

 

午前5時過ぎ、子どもも含め総勢12名で銀閣寺登山口から登山を開始しました。まだ、真っ暗で、懐中電灯を照らしながら登りました。

 

午前6時、火床に到着。「大」の字からの夜景です。「大」の字から夜景を見たのも初めてです。美しい!

 

 

少し休憩した後、山頂に向かって一気に登ります。

 

午前6時45分、山頂着。空は次第に明るくなっていきます。それにつれて、人も増えてきました。

防寒対策はしてきたつもりでしたが、太陽がなかなか出てくれないので、寒くて寒くて仕方ありませんでした。

 

次第に、東方向の空が赤くなっていき、午前7時17分頃、とうとう初日の出が顔を出しました。大文字山山頂からは、木々があって、真正面から見えるというわけにはいきません。

 

 

人が一杯で、あまり長く同じ場所で撮影することができませんでした。寒いので、早々に下山。

 

下山は同じ道を戻りました。火床からの景色です。すっかり明るくなっていました。正面の愛宕山は、うっすら白くなっていました。

 

 

午前8時20分、銀閣寺登山口に到着。

 

今年は、もう少し訓練登山をしよう、と思った元旦でした。

 

 

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