1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

労働災害(労災)について

 
健康で安全に働き続けることができればよいのですが、仕事中にケガをしたりすると、働けないし、医者にも行かなくてはならないし、本当に困りますね。
 
労働者が「仕事をしているとき」に「仕事によって」ケガをしたり病気になったり死亡したりすることを労働災害(労災)と言います。
労災と認定されると、労災保険から医療費や休業補償などの給付を受けることができます。
 
労災保険は、原則として強制適用ですから、労働者を一人でも雇っている使用者は加入しなければなりません。
ですから、労災にあった場合には、使用者が協力してくれなくても、労働基準監督署に事情を話して申請することが大切です。
 
パートやアルバイトでももちろん労災補償は受けられます。
 
また、通勤の途中で事故に遭ったような場合、これは「仕事をしているとき」ではありませんが、「通勤災害」として労災保険の給付を受けることができます。
 
 

離婚の時の年金分割

 
2007(平成19)年4月から離婚時の年金分割制度が始まり、この制度もようやく国民(とりわけ女性)の中に浸透してきたような気がします。
 
これは、2007年4月以降に離婚した場合、婚姻期間の被保険者期間にかかる年金(厚生年金と共済年金が対象)について、その2分の1を上限に、配偶者の一方(主には妻)が他方に対し分割請求できるという制度です。
「夫が払った保険料は、妻と共同で負担したもの」という考え方がとり入れられたものと言われています。
 
ただ、制度の内容を誤解している方も見受けられますので、注意してください。
まず、この制度は、離婚した時点で年金がもらえるのではなく、あくまで将来、自分自身が年金を受給するときにもらえる制度です。従って、元配偶者が離婚後死亡しても、もらえます。
また、分割の対象は、厚生年金と共済年金なので、分割請求ができるのは、サラリーマン、公務員及び私立学校の教職員などを配偶者にもつ者のみということになります。
 
そして離婚後2年以内に社会保険事務所に分割請求することが必要です。
合意できない場合には、家庭裁判所が決めてくれますので、申し立てましょう。
 
 

 
遺産の分け方をめぐって争いなることがよくありますが、逆に借金が多い場合はどうすればよいでしょうか。
 
相続財産はプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産も含みますので、借金だけを相続しないという都合のよいことはできません。
ただ、借金の方が多い場合、相続人には負担になりますから、民法は、相続放棄と限定承認という2つの制度を定めています。
 
相続放棄は、相続は一切しないというものです。限定承認は、借金について、相続したプラス財産の限度内だけで責任を負うというものです。
どちらも相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内(考慮期間)に家庭裁判所に申し立てねばなりません。
 
限定承認のメリットは、プラスとマイナスがどちらが多いかわからない場合、精算した結果、プラスの財産が残れば、これを相続することができるところにあります。ただし、限定承認は、相続人全員でしなければなりません。
 
気を付けなければならないことは、財産の全部または一部を処分したり、隠したりした場合には、相続を承認したものとみなされ、もはや放棄も限定承認もできなくなりますので、注意しましょう。
 
 

武富士が会社更生法の申立て

 
消費者金融大手の武富士が、9月28日、東京地裁に会社更生法の申立てをしました。
せっかく過払い金の示談が成立したのに支払いがストップされてしまい、今後どうなるのだろうと不安を感じられている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
 
会社更生というのは、経済的に行き詰まった株式会社が再建を応援してくれるスポンサーを探して更生計画案を作り、その計画案に利害関係者の多数が同意すれば、その計画に従って再建をしていく手続きです。
過払い金の返還を求める権利を持っている人は、債権者となりますから、裁判所から指定された債権届出期間内に自分の債権を届け出る必要があります。
ただ、一般的には、自分が持っている債権額の2割くらいの弁済しかないようです。
また、更生計画案が多数の同意を得られなかった場合や、同意を得られても、その後計画が履行できなくなった場合には、破産手続きに移行することになります。
 
 

 
夫婦が不幸にも別居したとき、共働き夫婦ならともかく、専業主婦やパートとして過ごしてきた妻の方は、途端に経済的な困難に直面してしまいます。
 
民法760条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しています。
この費用の中には、夫婦と子の衣食住の費用、子の出産・養育・教育費用、病気の治療費等が含まれます。
この婚姻費用分担義務は、夫婦の関係が破綻して別居している場合であっても、離婚するまでなくなりません。
 
婚姻費用を誰がいくら負担するかは、夫婦の話し合いで決めることができます。
 
もし話し合いで決まらない時には、夫の住所地を管轄する家庭裁判所に、婚姻費用分担の調停を申し立てることができます。
 
調停がまとまらない場合には、家庭裁判所が審判を下します。裁判所が決める場合、分担する金額は、夫婦双方の収入、資産その他一切の事情を考慮して決められます。
 
 

消費者を守る、消費者団体訴訟制度

 

従来、消費者被害に遭った場合、契約の取消などを求めて裁判を起こせるのは、その被害を受けた当事者に限られていました。そのため、被害金額が少額だったり、裁判にかかる費用や専門知識などの問題により、泣き寝入りを余儀なくされた場合もたくさんあったと思います。

そのような問題を解決するため、2007年6月7日改正された消費者契約法が施行され、「消費者団体訴訟制度」が導入されました。

この制度は、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、消費者の利益を守るため、事業者の不当な勧誘行為や契約条項の使用に対し、法的に差止めを求めることができるという制度です。

そして、この法律にもとづいて、今年9月6日、消費者機構日本という団体が、不動産賃貸業者の三井ホームエステートに対し、賃貸借契約書の中の更新料や修繕費用などの条項を差し止めを求める裁判を提起しました。

この制度によって、これまで泣き寝入りせざるを得なかった多くの消費者被害がなくなることを期待します。

おひとりさまの法律~任意後見制度

 
将来、認知症など自分の判断能力が低下した場合、財産の管理はどうなるんだろうと不安を感じることがあると思います。
そんな場合に備え、あらかじめ信頼できる人との間で、自分の生活や財産管理などを委ねる契約を結んでおく「任意後見」という制度があります。
 
まず、最初に、信頼できる人との間で、「任意後見契約」を結ぶ必要があります。
後見人の資格には、特に制限はありません。
契約は、公証人が作成する公正証書でする必要があります。契約が成立すると、公証人は、任意後見契約の登記を嘱託することになります。
任意後見契約の効力が生ずるのは、実際に本人に精神上の障害が生じ、本人や配偶者などからの申立により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時からです。
任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督して、不正や不当に本人の財産を喪失させたりすることがないようにするため選任されます。
任意後見人が行うべき仕事の内容は、本人との間で決めた任意後見契約の中身で決まりますから、その内容は一人一人異なることとなります。
ただし、後見人ができるのは契約等の「法律行為」であり、身の回りの世話など「事実行為」は含まれません。
 
 
 

成年後見制度

 

認知症の高齢者を狙って過剰なリフォーム工事契約を結ばせるなどの悪質な商法があとを絶ちません。

認知症の高齢者や判断能力が不十分な方は、詐欺師の手にかかると、大切な財産を簡単に取られてしまう危険性があります。

そこで、これらの人を不利益から守る制度が「成年後見制度」です。

本人や配偶者、4親等内の親族、市町村長などが家庭裁判所に申し立てることができます。

民法で定める後見制度には、「後見」(重度)、「保佐」(中度)、「補助」(軽度)に分かれており、それぞれ援助者として「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選ばれます。通常は、親族が選ばれることが多いですが、弁護士などの専門家を選任することも可能です。

成年後見人は、本人に代わって、預貯金や不動産を管理したり、本人が生活する上で必要な契約を締結したりします。

本人が悪徳商法に騙された場合でも、その契約を取り消すこともできます。

 

 

性暴力被害のワンストップセンター(大阪)

 
誰にも打ち明けられず、自分を責めたり、恐怖と屈辱感を抱え込んで、思い詰めてしまう性暴力による被害。
そんな被害者が少しでも安心して相談したり、診察や治療も1度に受けることができるワンストップセンターが、今年4月、大阪府松原市の阪南中央病院に開設されました。略称「SACHICO」。
ホットライン(072-330-0799)は、24時間対応。4~7月の相談件数は、電話だけでも391件あったそうです。
被害にあった女性たちは、まず、どこに相談に行ったらいいかわからない。警察に行くと、根ほり葉ほり聞かれ、より深く傷ついたりすることもあります。そんな時、まず、寄り添って、心のケアをしてくれる存在は欠かせません。
 

親権者の決め方

離婚の場合、子どもの親権をめぐって争いになることも少なくありません。
調停の中でも親権者について話し合いがまとまらなければ、結局、離婚自体がまとまらないので、離婚訴訟の中で、最終的には裁判所が親権者を決めます。
 
先日、親権も争われている離婚訴訟で、16歳になる娘さんに家裁に来てもらいました。家裁の手続きでは、15歳以上の子どもの親権者を決めるには、その子の陳述を聴かなければならないことになっています。
娘さんは、一人で裁判官と面談し、はっきり「おかあさんがいい」と言ってくれました。
母と娘がまるで友達同士のように明るく会話をしていたのが、とてもほほえましくうつりました。
 
親権者を父母のいずれにするかという問題は、何より子どもの幸せや福祉を中心に決められるべきものです。世間体や意地などから親権を争うことだけは、やめてほしいものです。
 
 
 

残業代がアップに。でも・・・

労働基準法が改正され、今年4月から、時間外労働(1週40時間・1日8時間の法定労働時間を超える残業)について、月60時間をこえる部分に限り、

割増賃金率が、これまでの25%から50%に引き上げられました(ただし、中小企業については、当分の間、猶予されます)。

でも、働き過ぎによる過労死や過労うつ・自殺が大きな社会問題となっている日本。

命や健康を、50%の割増賃金と引きかえにするわけにはいきません。

月60時間もの残業などはなくすべきだという声をあげていきましょう。。

養育費の不払い

離婚した場合、母親が子どもを引き取って育てるケースが多いですが、その際、父親に対し、養育費を請求できます。

養育費の金額は、当事者同士の話し合いで決めることができなければ、家庭裁判所の調停で話し合い、それでも決まらなければ、親の年収や子どもの年齢などを考慮して家裁が決めてくれます(審判)。

ところが、取り決めた養育費を約束どおり支払わない父親もおり、しかも、支払わなくても罰則はありません。

そこで、父親に給料などの財産があれば、強制的に取り立てることができます。

養育費については、給料の2分の1まで差し押さえることがきで、また1回でも約束を破れば、まだ期限が来ていない将来の分まですべて差し押さえることが可能です。

このような強制執行を行うには、家庭裁判所で取り決めた文書や公正証書が必要です。

遺言書の書き方

前回のコラム「子どものいない場合の相続」を読んだ何人かの方から、遺言ってどうやって書くんですか?と質問をいただきました。

最近、遺言を書く人が増えているそうです(2010年6月29日付け京都新聞夕刊)。

遺言は、その効力が生じる時、遺言者本人がこの世にいないわけですから、遺言者の意思を確保するため、法律の定める方式に従ったものでなければ、遺言としての効力を持ちません。

一番、簡単な方法は、自筆証書遺言です。自分自身で作成するので、簡単で、秘密にできますが、遺言書の全文、日付、氏名を全部自分で書き、押印することが必要です。パソコンで作成するのはダメですよ。自分で書いた場合には、誤りがないか、1度、弁護士などにチェックしてもらった方が良いでしょう。

公正証書遺言は、公証人役場で公証人に作成してもらうものです。費用はかかりますが、後日の紛争防止や遺言書の保管(原本を公証人役場で保管します)などの点では確実です。但し、証人2人以上の立ち会いが必要です。

 

 

 

子どもがいない場合の相続

最近、子どものいない夫婦が増えてきました。そんな場合、夫が死亡した時の、相続はどうなるのでしょうか。

子どもがいない場合、まず、亡夫の直系尊属(通常は両親)が相続人となります。相続分は、妻が3分の2、直系尊属3分の1です。

直系尊属が既に死亡している場合には、亡夫の兄弟姉妹が相続人となります。相続分は、妻4分の3、兄弟姉妹4分の1です。

従って、夫の遺産を分けるには、これらの相続人と話し合う必要があり、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。

夫の両親や兄弟姉妹とは血のつながりがないので、夫の死後、遺産をめぐって争いが起こるのではないかと不安を抱いておられる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、夫婦が互いに遺言を書くことをお勧めします。遺言があれば、少なくとも兄弟姉妹には遺留分はありませんので、もめる心配がありません。

(注)遺留分とは、一定の近親者に対し、亡くなった人の意思に反しても相続財産の一定割合が留保されることです。

父子家庭にも児童扶養手当が支給されます

これまで母子家庭にしか支給されなかった児童扶養手当が、8月1日から父子家庭にも支給されるようになりました。男性差別の是正です。

児童扶養手当は、両親の離婚などによるひとり親家庭の生活の安定と自立の促進、子どもの福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。

手当の金額は、子どもの数や受給者の所得によっても異なりますが、児童1人で全部支給の場合には、月額4万1720円が支給されます。個々のケースについては、市町村にお問い合わせください。

支給要件に該当している方については、11月30日までに申請すれば、「8月分」から支給されますので、早めに申請されることをお勧めします。

離婚の方法

離婚したいと思った時、夫婦の間で話し合いができるならば、それが一番望ましいことです。実際、約9割の夫婦が協議離婚をしています。

でも、どうしても夫婦だけでは冷静に話し合えない、あるいは相手が話し合いに応じない、という場合には、家庭裁判所へ調停を申し立て、そこで調停委員を交えて話し合うことができます。とは言っても、夫婦同席で顔を突き合わせて話すわけではなく、一人ずつ交代で調停委員と話し、調停委員が話し合いの調整を行います。

離婚の場合、すぐに訴訟を起こすことはできず、まず調停から始めなければなりません。調停は、相手方の住所を管轄する家裁に申し立てます。ですから、例えば、夫婦が別居していて、妻が京都、夫が大阪に住んでいる場合には、妻が申し立てる場合には大阪家裁に、夫が申し立てる場合には京都家裁に、というようになります。

調停で話し合いがつかなければ、家裁に離婚訴訟を起こすことになります。離婚訴訟は、自分の住所地でも相手方の住所地でもどちらの家裁に起こすことも可能です。

 

親の介護と相続(寄与分について)

高齢化社会の現在、子ども自身も年老いていく中での親の介護は大きな社会問題だと思われます。子どもの中で、実際介護に携わる人とそれ以外の人とでは、その負担には大きな差があると推測され、親の死後、遺産分割でモメることが少なくありません。

遺言がない場合、子どもの法定相続分は平等です(民法900条4号)。

ただ、亡くなった親の財産の維持や増加に特別の貢献があった相続人に対しては、「寄与分」が認められ、その分、相続財産が増えることとなります(民法904条の2)。

とは言っても、はたして、「寄与」と言えるかどうか、それが「特別な寄与」かどうか、財産の維持・増加があったかなど難しい要件があります。

いずれにしても、遺産分割をめぐってモメるようであれば、家庭裁判所で話し合われることをお勧めします。

離婚を考える時に

夫にとっても妻にとっても、一生、離婚なんて思ってみることがなければ、これほど幸せなことはないかもしれませんね。でも、2009年の離婚は25万3000組。これは、約2分に1組の夫婦が離婚している計算になります。

私の所にもたくさんの離婚に関する相談が寄せられ、女性にとって離婚後の生活が非常に厳しいという現実を考えると、離婚に関する知識も頭の片隅に置いてもらえば、と思います。

離婚にとって様々な問題が生じますが、その中で特に問題となるのが、子どものこと(親権者・養育費)と財産的なこと(財産分与・慰謝料)です。

離婚で一番犠牲になるのはなんと言っても子どもです。しかし、だからと言って、愛情の冷めた形だけの夫婦関係の中では、決して子どもは幸せにならないでしょう。親権が争いとなった場合、妻が子どもを育てていれば、多く場合妻の側に親権が認められています。

また夫婦二人で築きあげた財産は、たとえ名義が夫であっても、妻の貢献した分を正当に評価して要求することができます。

離婚について色々知りたい時や夫婦の間で話し合いができない時など、お気軽にご相談ください。

京都も最賃が生活保護を下回る

厚生労働省は、7月14日、最低賃金で働くよりも生活保護での収入が多い「逆転現象」が12都道府県で起きているとの調査結果を発表し、その中に京都も入っていました。

普通、賃金は雇う人と雇われる人との話し合いで決まるわけですが、かと言って、お互いが納得しさえすれば、いくら安くてもかまわないというわけではありません。

「最低賃金法」という法律があって、雇い主は最低これだけの賃金は支払わなくてはならないという枠を定めており、これに違反した賃金しか支払っていない雇い主は差額を支払う義務があることはもとより、罰則も課せられます。ちなみに京都の最低賃金は、時給729円。

他方、生活保護の水準というのは、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するというのが建前です。それなのに最賃での生活が生活保護より低いって、いったいどういうことなんでしょうか。

もちろん最賃に合わせて、生活保護水準を下げるなんて話は絶対にナンセンス!最賃を早急に引き上げることが求められています。

おひとりさまの法律~遺言(尊厳死)

 
最近、複数の方から「尊厳死」の遺言の相談を受けました。
 
「尊厳死」とは、一般的には延命治療の中止ないし拒否のことを言います。
 
自分らしく生き、自分らしく死にたいと強く願う人にとっては、遺言に書いてでも尊厳死を必ず実現したいと思われるのでしょう。
 
尊厳死は、家族の同意、そして医師の法的な責任が関わってくるものなので、遺言に書いておいても必ず実現できるとは限りません。しかし、家族や医師が法の枠内で遺言者の意思に従おうと思わせるような内容を作成しておくことが大切だと思います。

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