以前から、同じ事務所の吉田美喜夫弁護士から「面白い!」と薦められていた。
それが、麻田雅文・成蹊大学教授著の「日ソ戦争」(中公新書)。
えっ?日ソ戦争?日露戦争のこと?
恥ずかしながら、「日ソ戦争」と言われても、それがどんな戦争を指しているのか、ピンと来なかった。だから、この本も薦められてからすぐに読んだわけではなかった。
読もうと思ったきっかけは、当ブログでも紹介したが、「黒川の女たち」という映画を観たことがきっかけだった。
https://www.kyotolaw.jp/introduction/muramatsu/blogs/2025/08/7215.html
1945年8月終戦後、岐阜県黒川村の満蒙開拓団の未婚の女性たちは、侵攻してくるソ連軍に自分たちを守ってもらうため、「性接待」の役目を押しつけられた。
この時、なぜ、ソ連軍が満洲(中国東北部)に侵攻してきたのか?
日ソ戦争とは、1945年8月8日ソ連が日ソ中立条約を破棄して対日宣戦布告し、日本はポツダム宣言を受諾し同月15日に米英に降伏を表明したものの、翌9日から同年9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で展開された、両軍あわせて200万人以上の兵力が動員された全面戦争だった。
毎年8月15日、新聞やテレビでは「終戦記念日」として報道がされる。
しかし、実は、「終戦」の1945年8月15日以降も日本とソ連は戦争を続け、シベリアに抑留された人達が完全に日本に帰国できたのは、なんと終戦から10年以上も経った1956年だったことに少なからず衝撃を受けた。
日ソ戦争については、史料の制約があって研究が遅れ、1991年のソ連崩壊以降、公文書などが順次公開されるようになったとのこと。
なぜ、ソ連は、第2次世界大戦の終盤に、日本へ宣戦布告したのか?
日本はなぜこの直前まで、ソ連に期待して外交を続けてきたのか?
終戦の1945年8月15日以降もなぜ日ソ両軍は戦い続けたのか?
本書は、それらのことがわかりやすくまとめられている。
そして、シベリア抑留・中国残留孤児・北方領土問題などは、日ソ戦争を起点とすることも知った。
当時のソ連は、スターリン治世下。
そして現在、ロシアは国際法違反のウクライナ侵攻を続けている。
私たち日本人も日ソ戦争の背景をもっと知る必要があるのではないだろうか。
学生時代の世界史では、およそ習わなかったであろう歴史を少し伺い知ることができた気がした。
。