1. 母の思い出~十二単(アジュガ)の花~
ブログ マチベンの日々

母の思い出~十二単(アジュガ)の花~

 

 
毎年、4月の今頃の時期になると、当事務所がある堺町通りに面する近所のマンションの花壇に、鮮やかで可憐な花「十二単」(アジュガ)が咲く。
紫色がとてもまぶしい。
 
毎年、この花を見るたびに、亡き母のことを思い出す。
 
母は、2000年4月に、突然、ガンであることが判明した。
入院して手術を受けることになった母は、ある日、私に「もう、そろそろ、庭に十二単が咲き始めていると思うよ」と言った。
母が入院する前は、年度がわりの4月という時期に帰省したことなどなく、従って、実家の庭に「十二単」という花が咲いているところは見たことがなかった。
 
夜、病院から実家に帰り、翌朝、雨戸を開けると、庭の通路脇一面に鮮やかな紫色が広がっている光景を目にし、思わず息をのんだ。
すごい!
まるで紫の絨毯を敷いたような、美しさだった。
きっと母が自慢の花だったんだろう。
「ものすっごく、綺麗やった」と病床の母に報告すると、母はとても嬉しそうだった。
 
母は2ヶ月後の6月末に亡くなった。
実家は無人となり、庭は私が時々帰省して草取りをするくらいであったが、それから数年間は、毎年4月に実家に帰省すると、この十二単が鮮やかな紫色の花を見せてくれた。
 
母が亡くなってもう18年が経とうとしている。
でも、春に「十二単」の花を見かけるたびに、亡くなる直前の母の姿を思い出してしまう。
 
 
 

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