1. DV被害者のマイナンバーについて、NPO法人が要望書を提出
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.212)
 
マイナンバーの通知カードを住民票の住所以外の場所で受け取る特例措置に関し、DV被害者を支援しているNPO法人全国女性シェルターネットは、居場所を書いた書類を自治体に提出することをためらい、断念する被害者が相次いでいるとして、総務省に配慮を求める要望書を提出しました(2015年10月15日付け京都新聞夕刊)。
 
10月5日からマイナンバーの通知カードを住民票の住所に郵送する手続きが始まりました。
他方、新聞報道によると、茨城県や北海道の自治体で、職員が住民票に誤ってマイナンバーを記載するというミスも既に起こっています。
個人情報が漏れるのではないか、悪用されるのではないか、マイナンバーに関する不安は増すばかりです。
 
9月7日付け法律コラムで、DV被害者など住民票の住所以外に居住している方についての特例措置についてご紹介しました。
ところが、同ネットによると、ある被害女性が手続きをしようとしたところ、戸籍謄本や住宅の契約書など書類7点の提出を求められ、「出せば加害者に居場所を知られるかもしれない」と恐怖を感じ、申請を諦めたといいます。
また、あるDV被害女性は、番号変更してから受け取ろうとしましたが(不正利用の恐れがある場合には例外的に変更ができます)、応対した職員から「DV被害証明が必要」と言われた上、被害に遭ったのが数年前だったことから「差し迫った危険はないので、制限できない」と告げられたそうです。
 
このように自治体によって対応がさまざまで、しかも、自治体によるミスが続いており、DV被害者は安心して居住場所を連絡することができないのが現状です。
 
同ネットは、総務省に対し、10月8日付けで要望書を提出し、その中で、DV被害者が番号変更を求めた際は現在の居所情報や被害証明を求めないこと、マイナンバーを担当する職員にDV被害者の安全配慮に関する研修を徹底することなどを求めました。
 
 
 

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