1. 高齢者が生きづらい社会
女性弁護士の法律コラム

高齢者が生きづらい社会

 
(女性弁護士の法律コラム NO.199)
 
つくづく高齢者が長生きしづらい社会だと痛感した。
 
2013年4月13日付け当ブログで書いた難病を抱えた元依頼者のMさんがケア付き住宅に引っ越して丸2年になる。
京都市内中心部からは、かなり離れている場所なので、なかなか訪問することができずにいたが、数日前に久しぶりにMさんから電話をいただいたため、4月1日に会いに出かけた。
 
Mさんは、80歳。
自分で歩くことはできないが、車椅子に乗って、笑顔で出迎えてくれた。
 
別居中の夫からの婚姻費用とわずかな年金で、今の住居の費用を支払っているMさん。
そんなMさんに、この住居の保証人となってくれている子どもから、もしMさんが100歳まで長生きし、父親も死亡したりして仕送りができなくなったら、どうするんだ、自分は破産だ、他の子どもにも保証人になってもらえ、なんとかしろというような手紙が届いたという。
 
別居中の夫がいつどうなるか、Mさん自身が何歳まで生きるか、その時に子どもらはどのように対応するか、その時に今の政治や社会保障はどうなっているか、先のことなどはわからないにもかかわらず、その保証人になった子どもは心配でたまらなくなっているんだろう。
 
Mさんは、「子どもは、私に早く死ねということでしょうね」とつぶやいた。
 
今の日本の社会に、もっと豊かな社会保障制度があれば、Mさんも、また子どもも、こんな思いはしなかったはずなのに・・・
親が長生きすることは素晴らしいことであるはずなのに、それが子どもらの手かせ足かせになる・・・そんな社会では絶対にダメだと思った。
 
翌日、私の不在中にMさんから電話が入り、「とても喜んでいたとお伝えください」との伝言が添えられていた。
行って良かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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