2026年1月19日付け当ブログで書いたものの「続き」である。
1月19日付けブログの最後で、私は「こんな裁判官はいない」と書いた。
これはおそらく弁護士の間での共通の感想であろうが、友人弁護士の中には、「だから、このような非現実的な法廷ドラマは好きじゃないから観ない」と言う人もいる。
確かに、裁判官・弁護士・検察官そして警察、私たちの仕事に関連する職業のドラマは、現実とは異なる描かれ方をしているものが多い。
しかし、それらドラマの中で、単なる犯人捜しミステリーではない作品であれは、視聴者に何を伝えたいのかを考え、感じることができる。
心療内科医の海原純子さんは、このドラマを評して「自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を隠しながら働く裁判官の主人公を演ずる松山ケンイチさんの演技が非常に素晴らしく生きにくい社会の中でどう生きていくか、という葛藤を見るものに問いかけるドラマになっている」「発達障害を持つ自分がこの仕事をしていいのか、裁かれる人は受け入れられるのか、と悩む主人公の問いかけは本人だけでなく見るものにも与えられた問いかけでもある」と書かれている(2026年2月22日付け毎日新聞)。
裁判や法廷の現実を私たち弁護士は知っていても、(私自身も含めて)かような障害を抱えている人たちの悩みや不安そしてその行動の仕方などを知らない弁護士は多く、知らないからこそコミュニケーションが難しく、冷たい対応をしてしまう場合もあるだろう。
そんなことが自分に問いかけられているドラマだと思う。
3月3日放映は第7回だから、ドラマももう終わりに近づいていると思うが、2月24日放映分からは「死後再審」というハードなテーマが真正面から取り上げられている。
折しも、翌2月25日、当事務所から岡根・佐藤弁護士が弁護団に加わっている「死後再審」の滋賀県の「日野町事件」について最高裁が再審開始決定を下した。
ドラマでは、証拠隠しなどの検察官の不当な対応により、長年、再審開始決定が決まらないという問題点もきちんと描かれており、法廷ドラマとしてもますます見応えがあると思う。
ちなみに、このドラマを制作しているのは、私が2024年10月21日付けブログで紹介したNHKドラマ「宙(そら)わたる教室」と同じチームだそうで、やっぱりいいな、という感じである。