李相一監督の映画「国宝」を観に行ってきた。
新聞各紙に映画の記事が掲載されていたこともあって、以前から気になっていたが、何人かの弁護士がフェイスブックで絶賛していると聞き、観に行くことにした。
吉沢亮と横浜流星という、今、絶好調の若手俳優2人が女形の歌舞伎役者を演じる。それもわずか1年半という稽古期間で。
主人公は、ヤクザの息子である喜久雄(吉沢亮)。15歳で上方歌舞伎の花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、同じ年齢の半二郎の息子俊介(横浜流星)とはライバル同士として切磋琢磨する。俊介は当然半二郎の跡を継ぐと思われていたが。血か芸か・・・
3時間という上映時間はアッという間に過ぎた。
私は、歌舞伎に精通していないので全くの素人だが、歩く姿、立ち姿、舞踊、声の出し方・・・そのどれを取っても、まさに女形として完成しているように見えた。
背筋が冷たくなるような美しさ、妖艶さを感じた。
映像そのものも美しく、普段の歌舞伎公演では見られない角度からのカメラワークも見事だった。やはり劇場の大画面で観て良かったと思う。
何度も映し出される女形の歌舞伎場面は、よくもまあ1年半の稽古でここまでできるものかとただただ驚きしかなく、俳優というものは本当にすごいと思った。
ただ、欲を言うと、あくまで男の生き様を描いたものであり、彼らの後ろにいる女性たちの内面の葛藤があまり描かれていなかった。また、喜久雄がなぜ人間国宝になれたのかというその過程も描かれていなかった。
これは、原作本(吉田修一著)を読むしかないかな・・・