1. 新宿区に生活保護を義務づける判決
女性弁護士の法律コラム

新宿区に生活保護を義務づける判決

 
東京都新宿区で路上生活をしていた男性が、生活保護を認められなかったのは違法だとして区を訴えた訴訟で、東京地裁は、11月8日、保護申請を却下した区の決定を取り消した上で、男性の生活保護を区に義務づける判決を言い渡しました(2011年11月8日ashi.com)。
 
この男性は、2008年5月に路上生活者となり、区に生活保護を申請しようとしました。
ところが、区は、当初はなかなか申請を受け付けようとせず、申請受理後も「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護を却下しました。
 
判決は、一般論として「実際に働いていなくても、働く意思が客観的に認められれば、自ら生活を維持するため努力を尽くしているといえる」と述べ、生活保護を認めるべきと判断しました。
また、この男性については、路上生活者を支援する雑誌を売ったり、ハローワークに通っていた事情などを指摘し、「男性は生活維持のため努力していた」と認め、生活保護の却下は違法と結論づけました。
 
折しも、厚生労働省は、全国で生活保護を受給している人が今年7月時点で205万495人となり、過去最多を記録したと発表しました。
これほど多く生活保護者を生み出したのは、国の構造改革が根本原因です。国が国民の生活を保護するのは当然であって、難クセをつけて生活保護を認めないのは許せません。
 
ちなみに、この判決を下したのは、私と同期の裁判官のようです。
 
 
 
 
 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP