1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

「眞子さま」から「眞子さん」へ

秋篠宮の長女「眞子さま」が、昨日(2021年10月26日)婚姻届を提出され、皇族の身分から離れたため、マスコミや新聞報道の呼び名は「眞子さん」となりました。

 

今回の結婚については、色々な意見が飛び交っていますが、それらに触れるつもりはありません。

ご存知の方もおられるとは思いますが、ここでは皇族に関する豆知識を少しご紹介したいと思います。

 

まず、天皇や皇族には、私たちのような戸籍はありません。

「皇統譜」というのが、戸籍のような役割をしています。実際にどのようなものかは見たことがありません。

 

また、天皇や皇族には苗字もありません。

 

戸籍や苗字がない理由については、昔、天皇や皇族は最高権力者であり、戸籍は民を管理する台帳であり、苗字は権力者が与えたものだったからと言われています。

 

次に、そもそも天皇や皇族は、憲法上の「国民」か?という議論がありますが、一般的には「国民である」とされています。

但し、すべての基本的人権について保障されているわけではなく、財産権などいくつかの人権の制約があります。

学生の頃の憲法の勉強を思い出します。

 

 

 

 

「過労死」の労災認定の基準でもある、脳・心臓疾患の労災認定基準が、20年ぶりに改定されました。

2021年9月15日から運用が開始されます。

 

これまでの基準では、業務の過重性の評価について

①発症前1ヶ月間に100時間または2~6ヶ月平均で月80時間を超える時間外労働は発症との関連性は強い

②月45時間を超えて長くなるほど、関連性は強まる

③発症前1~6ヶ月平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱い

とされていました。

これが、いわゆる「過労死ライン」と呼ばれるものです。

 

今回の改正では、上記の従来の基準は維持しつつ、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化しました。

具体的には、不規則な勤務として退社から出社までの時間の短さや、休日のない連続勤務、激しい肉体労働などを新たな評価対象に加えました。

 

従来の基準でも、勤務形態や作業環境などを加味するよう定められていましたが、実際には、労働時間のみで判断されやすい傾向がありました。

 

そもそも「80時間」という過労死ラインが高すぎると思いますが、「総合評価」の明確化は当然のことで、前進と言えるでしょう。

 

民法改正前に起こった交通事故の消滅時効

2020年4月1日から改正民法が施行されており、債権の消滅時効は大幅に改正されました。

 

今回は、交通事故の消滅時効について、解説します。

 

交通事故に遇い、ケガをした場合の損害賠償請求権は、「人の生命・身体の侵害による不法行為による損害賠償請求権」です。

この請求権の消滅時効は、旧法では損害及び加害者を知った時から「3年」でしたが、改正民法では「5年」に延長されました(民法724条の2)。

 

では、施行日(2020年4月1日)以前に起こった交通事故(例えば、2017年12月1日)で、改正法施行時点ではまだ「3年」が経過していない場合の、時効期間はどうなるでしょうか?

 

改正法が施行される場合、原則として、施行日前に生じた法律関係に適用はありません。

しかし、「生命・身体の侵害による損害賠償請求権」はその例外とされ、施行日時点で3年が経過していない場合、時効期間は5年に変わります(附則35条2項)。

従って、先ほどの例のケースでは、2022年12月1日に消滅時効が成立することになります。

 

但し、同じ交通事故で車にも損害が生じた場合(物損)、これは「生命・身体の侵害による損害」ではありませんので、改正法施行時点ではまだ「3年」が経過していなくても、旧法の「3年」がそのまま適用され、2020年12月1日には時効が成立していますので、注意してください。

 

 

運転免許証の氏名欄に旧姓を併記しました

前回のコラムで書いたように、運転免許証の更新時期でもあったので、この際、氏名欄に旧姓を併記したいと思い立ちました。

 

更新日当日、運転免許更新センターに、通知はがきと免許証のほかに、先日、旧姓を併記してもらった住民票を1通持参しました。

最初に、案内の職員に「記載内容に変更はないんだけれど、旧姓を併記したい」と言うと、1番目の受付でその旨を告げてくださいと言われました。

その後は、特に何の問題もなく、指示されるまま旧姓併記の申請用紙をもらって書いて提出し、スムーズに更新手続は完了しました。

 

新しい免許証には、氏名欄に戸籍名が記載され、その後ろの [ ] に旧姓でフルネームが記載されていました。

 

住民票への旧姓併記の手続をしてきました

運転免許証の更新時期がやってきました。

私はペーパードライバーなので、そろそろ免許を返納しても良いのですが、時々、写真付きの身分証明書を求められることもあるので、今回は更新しようと思っています。

 

運転免許証にも旧姓が書かれていると、何かと便利なので、今回の更新時期には旧姓併記の免許証を作ってもらおうと考えました。

そこで、必要書類として、旧姓が書かれている住民票が必要なので、区役所に申請手続に行ってきました。

 

区役所の市民窓口に請求書がありますので、その請求書に必要事項を書き込み、本人確認書類と、現在姓・旧姓のどちらもわかる戸籍謄本を提出します。

「旧姓が載った住民票が必要ですか?」と聞かれたので、「欲しいです」と告げたところ、すぐに発行してくれました。

申請から交付まで要した時間は、30分くらいだったでしょうか。

 

新しい住民票には、「氏名」欄の下に「旧氏」欄が新たに設けられ、そこに旧姓が記載されていました。

 

なお、区役所では、いくつか注意事項等が記載された紙を渡してくれました。

それによると、過去に旧姓が複数ある場合には、どの旧姓でも任意に選択して載せることができます。

記載された旧姓は削除を請求することもできますが、削除後には、それ以降に姓の変更がない限り、再び記載を請求することはできません。

印鑑登録証明書にも旧姓は併記され、それ以降は、旧姓での印鑑登録も可能となります。

 

 

 

 

 

 

2020年7月10日から、新しい遺言書保管制度が開始されました。

 

それは、自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を法務局で保管してもらえる制度です。

これまでは、このような制度がありませんでしたので、遺言書を書いた場合、自宅で自分で保管していることも少なくなく、遺言者が亡くなっても相続人が遺言書があることを知らずにいたり、発見されても書き換えられたり破棄されたりする恐れもありました。

 

また、この新しい制度を利用すると、家庭裁判所における遺言の「検認」(民法1004条1項)の手続も不要になります。

 

新しい制度なので、法務局において、具体的にどのような手続で遺言書が保管されるか興味がありました。

それで、自筆で遺言書を書かれた元依頼者のSさんに、この保管手続を利用されることを勧め、私も同行させてもらうことにしました。

なお、法務局が保管する遺言書の用紙には少し制限がありますので、注意してください。

 

まず、予約が必要なので、Sさんの娘さんが日時を予約されました。

申請書が必要なので、娘さんがあらかじめ法務局のホームページからダウンロードされて、必要事項を書き入れ準備されました。申請書は、法務局の遺言書保管窓口に行けば、もらえます。

 

当日、必要なものは、①遺言書、②申請書、③本籍の記載のある住民票など、④本人確認書類、⑤手数料3900円、です。

 

まず、最初の面談は、法務局の職員が遺言者本人一人と行い、家族の立ち会いはできませんでした。私はSさんの代理人ではありませんでしたので、私も娘さんと共に少し離れた席で待つことになりました。

 

職員は、Sさんに、この遺言書は自分で書いたのか、内容は誰か専門家に相談したか、法務局は内容の有効性を保証はしない等と言われたようでした。最初の面談は5分程度で終了しました。

 

次に、職員から、「保管の手続をしますから、30分ほどお待ちください」と言われました。

 

そして、約30分後、今度は娘さんも(そして私も)同席の上、まず、Sさん本人には、遺言書を保管したことを証明する「保管書」の交付や、今後、本籍・住所・名前などの届出事項の変更があった場合の説明、遺言書の内容を確認したり変更したい場合の手続の説明がありました。

次に、娘さんには、Sさんが死亡された後に、どのような書類の請求ができるのか等の説明がされ、その申請書も交付されました。

 

最後に、私が「相続人以外の他人が、自分が遺言書に受遺者として記載されている可能性がある場合、どうしたら調べることができますか?」と質問すると、そのような場合でも、その他人が遺言書に記載があるかどうかは法務局で調べてもらうことができるという回答でした。

 

手続にかかる時間は、待ち時間も含め1時間弱でした。

勉強になりました。

 

 

 

 

 

 

注文していない商品が突然自宅に届いたことはありませんか?

コロナ禍でマスクが不足した2020年4月頃には、「突然マスクが届いた」という相談が国民生活センターに多数寄せられたそうです。

 

これは「送りつけ商法」「ネガティブ・オプション」と呼ばれています。

 

消費者は、注文していないのですから購入する義務はありません。

しかし、これまでは、業者が14日以内であれば、返還を請求することができました。そして、送られた消費者が自分とは関係ないと考えて、捨ててしまったりすると、業者からその代金を請求され、トラブルになっていました。

 

今回、特定商取引法が改正され、業者は14日以内であっても返還を請求することはできず、送られた消費者はすぐに処分できるようになりました。

 

施行は、2021年7月6日からです。

 

 

 

 

 

不動産相続後、業者から次々とDMが

不動産の相続手続を完了したところ、その後しばらくして、次々、不動産業者から「不動産売却」のダイレクトメール(DM)が届くようになりました。

どのDMも、明らかに私が相続したことを知っている文面でした。

 

法務局の不動産登記簿謄本は、誰でも閲覧したり取得したりすることが可能(但し、有料です)なので、調べることはできるとは思いましたが、複数の業者から一斉にDMが来ることを疑問に感じていました。

 

そんな折り、2021年6月27日付け京都新聞朝刊にその理由が解明されていました。

京都府南部在住の男性が京都新聞社にそんな疑問を寄せられたそうです。

 

不動産業者は、どのようにして相続情報を知るのでしょうか?

 

上記京都新聞の記事によると、法務局には、相続や売買の申請があった不動産の一覧が記された文書(「不動産登記の受付帳」=行政文書)があり、それを情報公開請求で見ることができるのです。

 

受付帳は、不動産登記規則に基づき、すべての法務局・支局に存在し、売買や相続、抵当権設定などの申請があった土地・建物がすべて記載されているそうです。

 

不動産業者は、この文書を入手し、相続された不動産を把握してDMを送っていたわけです。

 

 

 

 

(最新判例)夫婦同姓は「合憲」(最高裁)

依頼者のUさんから、スイスに住む日本人の友達から来たカードを見せてもらいました。

差出人は「花子・山田・ワンダー」(仮名)と書かれてありました。

そうです。山田花子さんがスイス人のワンダーさんと結婚し、「花子・山田・ワンダー」さんという名前になったのです。

 

日本では、夫婦が同じ姓(名字)を名乗ることになっていますので、婚姻届を提出する時、夫か妻のどちからの姓を選ばなくてはなりません(民法750条)。

しかし、諸外国では、結婚しても姓が変わらなかったり、別姓を選択できたり、冒頭で紹介したような夫婦それぞれの姓を結合した姓を用いることができたりする国もあります。

夫婦同姓を強制しているのは日本だけと言われています。

 

日本が1980年に締結した女性差別撤廃条約は、「姓を選択する権利」が明記され、締約国に夫と妻が個人的権利を確保するための適当な措置をとる義務を定めています。

これまでに女性差別撤廃委員会から、この義務の履行するよう3度にわたって勧告がなされています。

 

希望すれば夫婦別姓を「選択的夫婦別姓」も含めた民法改正案は、1996年の時点で既に法務省法制審議会で策定されています。

その後も選択的夫婦別姓制度を求める声は一層高まり、何件も裁判が起こっているにもかかわらず、自民党保守層の反対反発は根強く、25年間国会に上程されていません。

 

最高裁は、夫婦同姓を定めた民法750条の規定については、2015年12月16日「合憲」としました。

 

そして、夫婦同姓を定めた民法750条とそれを前提とした戸籍法74条1号の規定が憲法違反であるとして事実婚カップルが別姓の婚姻届を提出し、受理されなかった3件の事件について、2021年6月23日、最高裁は、再び「合憲」の判断を下しました。

 

最高裁は、国民の意識の変化を認めつつも、「これらの諸事情を踏まえても、大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない」とし、「この種の制度のあり方は、国会で議論し、判断すべき事柄だ」としました。

 

しかし、最高裁の反対意見が述べるとおり、現実には多くの女性が不利益を受けており、長年にわたり国会で具体的な検討や議論がほとんど行われず、夫婦別姓の選択肢を定める措置をとっていないことは憲法24条に違反するものです。

その意味で、今回の最高裁判決は、司法の責任の放棄と言わざるを得ません。

 

なお、2021年6月25日付け毎日新聞朝刊には、元最高裁判事で15年判決では反対意見を書いた桜井龍子さんの記事が掲載されていました。

その中で、桜井さんは「がっかりする必要はない。最高裁は、いずれ違憲判断が出るとのメッセージを送っている」「言外に、判例変更に含みを持たせている。より国民の意識が変わったり、女性の自立が進んだりしたら、最高裁は違憲判断を出すと国会にプレッシャーをかけている」と読み解いています。

 

私たち国民世論で、国会を動かし、夫婦別姓選択制を実現させましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続登記を義務化するなどの内容の不動産登記法の改正が2021年4月成立しました。

 

現在は、相続登記が義務化されていないため、相続や住所変更の際に必ずしも登記申請が行われません。

その結果、日本の土地の2割にあたる450万ヘクタールが所有者が不明で、その面積は、九州、沖縄に匹敵します。

また土地だけでなく、建物の所有者もわからない場合もたくさんあります。

 

そこで、今回の改正では、相続登記が義務化されました。

そして、相続を知ってから3年以内の登記申請を怠った場合には、10万円以下の過料に処せられます。

ただ、すぐに過料となるわけではなく、法務局の登記官から催告されても従わなかったり、申請が困難な「正当な理由」がない場合に対象となります。

 

また、遺産分割がまとまっていない場合でも、法定相続人が1人で「相続人申告登記」ができます。

 

施行日は、まだ決まっておらず、原則として、公布の日(2012年4月28日)から2年以内に施行される予定です。

男性が育児のために休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が2020年6月3日成立しました。

子どもの出生後8週間以内に、夫のみが最大4週間の休業を取得することができます{出生時育児休業」(男性版産休)、新設}。
2回に分けて取ることもできます。
申請期限は2週間前までです。
通常の育児休業制度と同じく、最大で賃金の実質8割が保障されます。
施行時期は、来年10月が想定されています。
そのほか、来年4月から、企業には、従業員に育児休暇を働きかける義務が課されます。
従業員に子どもが生まれる場合には、企業は利用できる育休制度を説明して取得するかどうかを確認しなければなりません。
企業が従わない場合は、国が社名を公表できます。
2019年度の男性の育休取得率はわずか7.48%(2019年度)です。
法改正されても、職場に育休を取得しやすい雰囲気がなければ、取得したくても取得できず、根本的に職場意識の改善が必要ですね。

登山を趣味としてきた関係もあって、7-8年前から、山で遭難して行方不明のままで死亡が確認できない事案の家族の方から危難失踪宣告申立の依頼を受けることが増えてきました。

このような事案を扱う弁護士がほとんどいないようで、全国から相談が寄せられます。

 

●失踪宣告とは

 

失踪宣告というのは、行方不明の人を「死亡した」とみなす制度です(民法30・31条)。

失踪宣告には、「普通失踪」と「危難失踪」とがあります。

人の生死不明が7年間明らかでないときは「普通失踪」宣告を申立て、戦地に行ったり、沈没した船に乗っていたりなど危難に遭遇して生死不明の場合には、危難が去っても1年間生死が不明の場合には、7年間待たなくても「危難失踪」宣告の申立をすることができます。

 

山で遭難された方の家族の皆さんは、7年間も待つなんて気持ちの整理がつかないという理由のほか、失踪者が年金を受給していた場合にその年金支給がストップしてしまったり、生命保険をずっとかけ続けなければならないなど経済的負担もあるようです。

 

自分自身が登山を趣味としているので、山の危険性を裁判官に訴えることができやすいかなと思っています。

 

●北穂高岳での遭難

 

Sさん(60代男性)は、2017年8月に一人で北アルプスの北穂高岳(3105m)に向かい、8月7日に涸沢小屋から北穂高岳に向かって登山を開始しましたが、山頂に到着せぬまま行方不明となりました。

 

帰宅予定日になっても帰宅しないため、家族が長野県松本警察に通報し、松本警察は捜索をしましたが、Sさんも所持品も発見されませんでした。

 

北穂高岳には過去に2度登ったことがありますが、落石なども多く、死者や行方不明者が多いことで知られています。

 

Sさんの件で、家族の相談を受けて、調査を行い、2019年3月に危難失踪を申立て、同年10月「不在者Sを失踪者とする」との審判が下りました。

そしてSさんは戸籍上も死亡したこととなりました。

 

●骨が見つかった!!

 

審判が下りて約1年後の2020年夏の終わりに、Sさんの家族から電話がありました。

松本警察から電話があり、骨の一部が登山道で発見され、その骨は99%Sさんのものとのこと。

奇しくも、骨が発見されたのが、Sさんが2017年に行方不明になった日と同じ8月7日で、Sさんの骨であると確定されたのがSさんの誕生日の8月21日でした。

 

骨の発見によって、Sさんの客観的な死亡がはっきりしたので、Sさんの家族の依頼により、失踪宣告の取消の申立を行いました。

 

これまで数件の山での遭難の危難失踪宣告申立を行いましたが、後になって、骨が発見されたのはこれが初めてでした。

松本警察の話では、動物がどこからか登山道まで運んできたのだろうということでした。

 

骨が発見され、またそれがSさんと確定された日が誕生日と一致したことなど、不思議さを感じずにはいられませんでした。

 

北穂高岳へSさんの慰霊登山をしたいと思っていますが、コロナ禍となってしまい、まだ実現していないことが残念です。

 

 

 

 

GPSやアプリの悪用を禁じた改正ストーカー法が、2021年5月18日成立しました(2021年5月19日付け京都新聞朝刊)。

GPSで監視する手口は、昨年7月最高裁が、ストーカー規制法の「見張り行為」に当たらないという判断を示したことから、摘発が難しく、改正が求められていました。

今回の改正では、GPS機器を相手の承諾なく車や持ち物に取り付けたり、スマホのアプリで位置情報を取得したりすることも規制の対象となります。

また、規制の場所についても、これまでの被害者の住居や勤務先などの通常の場所だけでなく、被害者が「現に所在する場所」にも拡大しました。

そのほか、手紙などを連続して送ることもメールと同様に規制の対象となります。

更に、禁止命令については、加害者が所在不明であったり、受領を拒否した場合でも、郵送や都道府県の公安委員会の掲示板張り出しなどでも有効としました。

罰則は、最大で懲役2年以下または200万円以下の罰金です。





奨学金の保証人の返済義務をめぐり、札幌地裁で、2021年5月13日、初めての判決が下されました。

これは、日本学生支援機構が半額の支払義務しかない保証人に全額を求めてきた事案で、知らずに全額を返済してしまった保証人が過払い金の返還等を求めた訴訟です。

2018年の朝日新聞の報道によると、機構は、過去8年間に延べ825人に総額13億円を全額請求し、9割以上が応じたとのことです。

単なる「保証人」は、連帯保証人と異なり、「分別の利益」(民法456条)があります。

保証人が2人以上いるとき、連帯保証人は全額返す義務がありますが、単なる保証人は頭割になります。
ですから、奨学金のように、連帯保証人と保証人が1人ずついる場合には、保証人は半額だけ返済すればよいわけです。

判決は、「分別の利益」は保証人が主張しなくても効果が生じるとし、「分別の利益」を知らずに返済してしまった場合には、不当利得として返済を求める権利があると判示しました。

当然の判決と思われます。



京都新聞「裁判の七不思議」補足説明

2021年4月10日付け京都新聞夕刊1面に、「裁判所は非日常的な場」で、法廷で取材をしていても「あれ?」「何で?」と疑問が残ることもしばしば。そんな「裁判の七不思議」をひもといてみた、として記事が掲載されていた。

私たち弁護士には、裁判所は日常生活の一部であり、法曹関係者以外の人が何を「不思議」と感じるか興味津々。
少しだけ補足してみました。

(不思議1) 録音が認められない

写真撮影や録音、放送は裁判長の許可が必要という規則がある。「法廷の秩序を維持するため」とされている。
録音がなぜそれに反するかは回答がなかったそう。
前は、傍聴者がメモを取るのも禁止されていたが、米国人弁護士が訴訟を起こし、解禁された。

※ 録音がなぜ禁止されているのかは、私にもわかりません。改ざんされやすいからでしょうか。

(不思議2) 裁判官は無人の法廷でも判決を読み上げている

「判決は言い渡しによってその効力を生ずる」(民事訴訟法250条)から、たとえ、法廷に誰もいなくても、判決を読み上げる。

※ 但し、判決全文を読むわけではなく、判決主文のみ。民事事件の場合、5分間位、5~6件の事件の判決を無人の法廷で淡々と読み上げることは珍しいことではありません。

(不思議3) 多くの検察官は風呂敷を手にしている

※ 風呂敷の中は裁判記録です。以前は、弁護士も皆、記録の量が多くなると、風呂敷で法廷まで運んでいました。最近の弁護士は、ほとんとがキャリーバッグですね。

(不思議4) 裁判官の法服が黒色の理由

※ これは、先週から始まったテレビドラマ「イチケイのカラス」の中でも説明されていました。

「他の色に染まることがなく、公正さを象徴する色として最適と考えられたため」

(不思議5) 裁判官が入廷すると、傍聴人も含め全員が立ち上がり一礼する

特に規則はない。

※ 私たちも習慣的に起立して礼をしますが、もししなくても、とやかく言われないのではないかと想像します。

(不思議6) 木槌は使わない

過去も含め使用されたという歴史はない。

(不思議7) 裁判官の法壇は高い位置にある

最高裁によると「具体的な定め」はない。

※ 「お上(おかみ)」時代の名残でしょうか。裁判官も弁護士も検察官も、皆、対等なのですから、同じ高さにすべきだと思います。
ちなみにラウンド法廷は、1つのテーブルを囲むので、もちろん同じ高さです。

2021年4月から、「同一労働同一賃金」の原則が中小企業にも適用になりました。

派遣労働者及び大企業におけるパートタイマーや有期雇用労働者には、既に2020年4月から適用になっています。

同一労働同一賃金とは、「正社員」や「アルバイト」「パート」「契約社員」などの雇用形態を問わず、同じ職務内容であれば、賃金など労働条件において不合理な待遇差を禁止するというものです。

また、事業主は、労働者に対し、待遇について説明する義務もあります。

コロナ禍にあって、厳しい経営を迫られる中小企業ではありますが、不合理な待遇差は許されません。




(最新判例)同性婚を認めないのは違憲(札幌地裁)

同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定が憲法反かどうかが争われた訴訟の判決で、札幌地裁は、2021年3月17日、同性婚を認めないのは憲法14条(法の下の平等)に反し違憲という判断を下しました。

世界主要7カ国(G7)で、同性婚を認めていない国は日本だけです。

判決は、性的指向は性別や人種と同様、自らの意思で選択や変更ができない個人の性質だと指摘し、婚姻による法的効果を享受できないのは不合理な差別にあたると判断しました。

時代の流れに沿って、性的少数者の権利を保護した画期的な判決と言えます。

同性カップルについて、自治体レベルでは、結婚に相当する関係と認める制度の導入が進んでいますが、法的な効力はありません。

多様性を認め合う社会は世界の流れです。

国の反応には鈍いものがありますが、このような流れを止めることはできないでしょう。




神戸家裁尼崎支部に行って来ました

 
(女性弁護士の法律コラム NO.251)
 
今日6月16日は、梅雨の中休みでカンカン照りの暑い日でした(マスクしていると、やはり暑いですね)。
コロナのため、ずっと事務所周辺をウロウロしていただけでしたが、今日は、JR京都駅から電車に乗って、神戸家裁尼崎支部まで行って来ました。
 

 

 
遺言書の検認手続があったからです。
 
遺言者が亡くなった後に自筆証書遺言が発見された場合や生前に自筆証書遺言の保管を頼まれていたような場合、遺言者が亡くなると、すみやかに家裁で遺言書の検認手続を行わなければなりません(民法1004条1項)。
検認手続では、裁判所がコピーをとることにより、後で遺言書が偽造されたり変造されたりすることを防止することを目的としています。
ですから、遺言書の有効・無効や、本人が書いたものかどうかなどを決める手続ではありません。
検認の期日は、家裁から相続人全員に通知が届きますが、出席は義務ではないので、出席するかどうかは、各相続人の自由です。
検認が終わると、家裁は、検認調書を作成するので、その謄本を申請すれば、手続の概要や遺言書の内容を知ることもできます。
 
今日は、申立人(遺言の保管者)は別の人だったので、私は、相続人の代理人として出席しました。
 
神戸家裁尼崎支部は、もうずいぶん前に、離婚訴訟で通ったことがありました。
JR立花駅で下車して、立花商店街を通り抜け、駅から10分位の所にあります。
庁舎は、以前とは違って新しく建て替えられていました。
暑い1日でした。
 

 
(女性弁護士の法律コラム NO.250)
 
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から2015年4月に性的暴行を受けたとして損害賠償を求めた裁判の判決言渡しが2019年12月18日にありました。
東京地裁は、伊藤さんの主張を全面的に認め、「合意のないまま性行為に及んだ」として、山口氏に対し330万円の損害賠償を命じました。
山口氏が伊藤さんに起こしていた名誉毀損の裁判は棄却されました。
 
1989年に日本で初めてセクシュアルハラスメント訴訟が福岡で提訴されました。
その後、セクハラに関する法律もできましたが、29年経った今も、セクハラによる被害は後を絶ちません。
伊藤さんは、自らの性的被害を公表し、実名で顔を見せて、被害者を取り巻く環境も含め、社会に対し問題提起を行いました。
そして、それが、同じく被害を受けた女性たちも声を上げる「#MeToo」の運動へ広がっていきました。
 
それにしても、昨日から腹立たしいのは、「私は法に触れる行為は一切していない」「(性被害者は)笑わない」「すぐに控訴する」などと述べる山口氏の会見です。
加害者男性が必ず述べる言葉が「合意があった」「合意があったと思っていた」です。
そして、性被害を受けた者は、いつも下を向いて泣いていなければならないのでしょうか。
 
更に、伊藤さんの事件で忘れていけないのは、裁判所が逮捕状を発布したにもかかわらず、それが警察の上からの圧力で取りやめになったということです。
 
2015年4月3~4日にかけて事件が発生し、伊藤さんは9日には高輪署に相談し、30日には告訴状が受理されました。
その後、東京地裁は山口氏の逮捕状を発布したため、高輪署は成田空港で帰国する山口氏を待ち構えていました。ところが、当時警視庁刑事部長だった中村格(いたる)氏(現、警察庁長官官房長)が「本件は本庁で預かる」として、急遽、逮捕が取りやめになってしまいました(週刊新潮2017年5月25日号)。
逮捕状が発行されているのに、その執行がストップとなるのは異例のことです。
この問題は、過去、国会でも取り上げられ、「『準強姦罪逮捕状執行停止問題』を検証する超党派の会」がヒアリングを行っており、その中で、中村氏はこの事件の一件記録を読まないまま執行停止を命じたことが明らかになっています。
中村氏は、警視庁刑事部長になる前、2015年3月まで菅義偉氏の秘書官を務めており、安部首相や菅官房長官、中村氏と懇意だった山口氏が官邸に助けを求めたのではないかのマスコミ報道もあるようです。
 
山口氏が裁判で争いを続け、声高に自分の言い分を言えば言うほど、自身はもっと墓穴を掘り、「#MeToo」運動は更に盛り上がっていき、日本における被害女性に対する後進性がもっと浮き彫りになるのではないでしょうか。
 
 
 
 

反社会的勢力とは

 
(女性弁護士の法律コラム NO.249)
 
安倍首相主催の「桜を見る会」が国会で問題となっています。
私たちの税金を使って、自分の後援会の人たちをたくさん招待しているのだから、説明する義務・責任があるのは当然です。
招待者名簿も廃棄して、これもまた、うやむやにするつもりなんでしょう。
「私物化」もいい加減にしてほしい!と思います。
 
ところで、「桜を見る会」に「反社会勢力」が招かれていた問題で、菅官房長官は、定義はないと説明しました。
私がたまたま観たテレビのワイドショーの司会者も「概念があいまい」というようなことを言っていました。
 
でも、実は、国の正式な文書で、「反社会的勢力」は定義されています。
 
それは、2007(平成19)年6月19日付けで発表された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」と題するものです。
この指針は、政府が閣議決定で設けた犯罪対策閣僚会議の幹事会が「申合せ」としてとりまとめたものです。
 
この指針には、「反社会的勢力」は、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である」ときちんと明記されています。
 
「反社会勢力とは 法務省」などという検索ワードを入力すれば、ヒットとしますので、ご覧ください。
 
また、このような反社会勢力によって国民が被害に遭っているにもかかわらず、西村副官房長官の「反社会的勢力のみなさま」という発言も、許しがたいものです。
 
きちんと責任を追及していきましょう。
 

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