1. (最新判例)「安倍辞めろ」のヤジ排除は表現の自由の侵害(札幌地裁2022年3月25日判決)
女性弁護士の法律コラム

2019年の参議院選挙。札幌市内で安倍首相(当時)の街頭演説の時に、市民が「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げました。

すると北海道警は、ヤジを飛ばした市民2人を肩や腕をつかんで移動した上、その後も長時間つきまといました。

 

この問題について、札幌地裁は、2022年3月25日、「公共的・政治的事項に関する表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されなければならない」と述べ、道警が表現の自由を侵害したとして、北海道がその市民に対し88万円の損害賠償を支払うよう命じました。

判決は、憲法21条で保障された「表現の自由」について「立憲民主制の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって、民主主義社会を基礎付ける重要な権利」と位置づけました。

裁判所は、正面から憲法判断を行いました。

また、市民の1人が警察に執拗につきまとわれたことについても、移動・行動の自由、名誉権とプライバシー権を侵害したと認めました。

 

安倍首相(当時)は、2017年東京都議選の街頭演説の際、「安倍辞めろ」と声を上げた市民に対し、「こんな人たちに負けるわけはいかない」と発言し、その後は各地でヤジを飛ばした人らを排除する動きが起こったようです。

今回の事件もその流れにあるものと言えるでしょう。

 

今年の夏、また参議院選挙があります。

表現の自由を国家権力によって排除するような行為を繰り返すことは絶対に許されません。

 

 

 

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