1. 男女雇用機会均等法施行30年
女性弁護士の法律コラム

男女雇用機会均等法施行30年

 
(女性弁護士の法律コラム NO.218)
 
男女雇用機会均等法が施行されたのが、1986年4月。
今年4月で、丸30年となる。
私が弁護士になった頃、雇用における男女平等を定める法律はなく、真の男女雇用平等法を作ろうと、女性労働者たちは全国で様々な運動を展開していた。
私も新米の女性弁護士として、それらの運動に関わり、講演なども多数行った。
 
しかし、その後1985年に成立した均等法は、採用などが努力義務となるなど、不十分な内容だった。
それでも、日本で初めて、雇用における男女平等を定めた法律ができたことは、女性運動の大きな成果だったし、成立後も、様々な分野で、均等法を活用した女性たちの闘いが展開されてきた。
 
そして均等法施行から30年。
日本の男女平等は進んだのだろうか。
 
2016年1月24日付け京都新聞朝刊の1面トップは、「女性総合職1期8割退社」という見出しだった。
均等法が施行された1986年に大手企業に入社した女性総合職のうち、昨年10月時点で約80%が退職していたという報道だった。
共同通信のアンケートによって、企業の基幹業務を担う幹部候補生である総合職となった大卒女性1期生たちが、長時間労働、育児と仕事の両立支援の遅れなどにより、現在50代前半で、多くが仕事から、当初の仕事から離れている現実が明らかとなった。
 
確かに、30年前とは職場の状況は大きく変化したと思う。
公務員はもとより、私たちに身近な法律事務所などの民間の職場でも、育児休暇などを取得する労働者も増えていることは事実だ。
しかし、均等法1期生の女性たちの8割もが職場から離れている現実は、30年経っても、雇用における男女平等が実は遅々として進んでいない現状を物語っているのではないだろうか。
そして均等法施行10年目や20年目の女性たちは、今、どうしているだろうか。
 
国は、女性の活躍推進を目玉政策として打ち出している。
単にかけ声だけでなく、均等法施行30年を機に、職場の実態を把握し、女性が本当に活躍できる制度や条件を作ってほしいと思う。
 
 
 
 
 

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