もう今週で朝ドラ「虎に翼」は終わってしまうんですね。なんだか淋しいなあ・・・
先々週から先週にかけて放映された場面で、寅子の夫星航一の長男星朋一ら自主的な勉強会に参加していた裁判官が、最高裁長官である桂場の指示によって家裁に異動になり、朋一は裁判官を退職するというシーンがありました。
桂場のモデルは、戦後、最高裁人事局長から東京地裁所長、そして1969年に最高裁長官となった石田和外(かずと)氏です。
そして、石田最高裁長官(当時)が実際に行ったのは、いわゆる「ブルーパージ」と呼ばれるものでした。
裁判官にも、憲法19条で思想及び良心の自由が、また憲法73条3項で裁判官の独立が保障されています。
にもかかわらず、石田長官の指示によって、当時、青年法律家協会(青法協)というリベラルな自主的組織に加入していた裁判官らに対し、裁判官の再任拒否、家裁や僻地支部への異動、青法協からの脱退工作などが行われました。また、青法協に加入している司法修習生に対しても、脱退しなければ任官拒否が行われました。
これらは、共産主義者に対する「赤攻撃」=レッド・パージになぞらえて、「ブルーパージ」と呼ばれています。いわゆる裁判官統制です。
朝ドラでも、それが描かれたわけです。
結果、青法協裁判官部会は消滅しました。
それ以後、昇進昇格を望む裁判官(「ヒラメ裁判官」と揶揄されています)は、最高裁の意向を「忖度」するようになっているようです。
しかし、現在、最高裁裁判官を退官した後、原発裁判の企業側の代理人をしている東京の大手法律事務所に天下りしている元裁判官も少なからず存在します。
かような現状を、「司法の独立」という観点から、石田和外氏はどう思うでしょうか・・・