1. 「あの胸が岬のように遠かった」(永田和宏 著)を読んで
ブログ マチベンの日々

永田和宏さん(75歳)。京大理学部出身の細胞生物学者、そして歌人。

 

2020年10月14日付け当ブログで、妻で歌人の河野裕子さん(享年64歳)が乳がんで亡くなるまでの壮絶な夫婦の生活を描いた、永田さんの著書「歌に私は泣くだらう」を読んで号泣したことを書いた。

また同年11月3日の憲法集会では、永田さんの「新型コロナが問う日本と世界」という講演も聴いた。

 

そんな永田さんの新著が「あの胸は岬のように遠かった」。

この著書には、河野さんの死後12年経って、これまで開くことができなかった河野さんの実家から見つかった十数冊の日記と2人が交わした手紙を手がかりに、永田さんと、もう1人の男性を同時に愛してしまった河野さんとの赤裸々な青春が綴られている。

 

「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私を攫(さら)って行ってはくれぬか」(河野裕子)

 

昨夜、BS3で柄本佑主演で、永田さんご自身も出演されて、同じタイトルでドラマが放映されたが、本の方が、永田さんの生い立ちや親との確執、心の微妙な動きも書かれていた。

 

永田さんは現在75歳。

もう50年以上も前の結婚前の二人の恋愛や生き様や想いをまるで昨日のことのように振り返り、「私はその絶対的な愛にふさわしかったのか」「河野はほんとうに私で良かったのか」「他にもっとふさわしい選択はなかったのか」「私に満足していてくれたのか」「後悔したことはなかったのか」などと問い続けられていることに、永田さんの非凡さとロマンチストさを感じた。

 

私自身も大学生時代の自分の青春に思いを馳せた。

でも、私にとって、青春時代は遠い過去。

むしろ、そんな青春を経て結ばれた永田さんと河野さん夫妻の最期を書いた「歌に私は泣くだらう」の方が、何倍も共感と悲しみを感じて読むことができた。

もう1度「歌に私は泣くだろう」を読み返してみたくなった。

 

 

 

 

 

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