1. 意図見抜く力向上を
ブログ マチベンの日々

意図見抜く力向上を

 
これは、今朝の京都新聞朝刊に掲載された佐藤卓己京都大学教授の「論考2017」の見出しである。
 
「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難してください」・・・だが、大地震などに比べると、その対応策はリアリティーに乏しい。
 
そんな書き出しから、この論考は始まる。
私も、いつぞや、北朝鮮がミサイルを発射した際のテレビニュースで、上記のようなアナウンスを耳にした。
確かに、内閣官房の「国民保護ポータルサイト」にもそのような文が書かれてある。
でも、違和感を覚えた。
外に出ても、誰も不安がったり、もしミサイルが飛んで来たらどこに避難しようというような会話すら聞かれない。
第一、北朝鮮のミサイルというのは、建物や地下に避難すれば助かる程度の威力しかないのだろうか・・・
 
以前から気になっていたのは、安保関連法案などの戦争法や自衛隊の海外派兵などが国会などで取り上げられるのを軌を一にしたように、テレビニュースやワイドショーなどで北朝鮮ミサイル報道がなされることだ。
まるで、日本も軍隊を持たなければ国を守れないかのごとく、国民を煽っているような気がしてならない。
 
佐藤教授によると、北朝鮮と戦争になれば、より深刻な事態に陥る隣国の中国や韓国では、これほどの過熱したミサイル報道は見られないという。
そもそも北朝鮮にとって、核兵器も弾道ミサイルも、使ったら最後、自らの体制崩壊を招く「終末兵器」であるので、これらは対外的には「顕示的(ひけらかし)兵器」であり、対内的には「心理戦兵器」でもある。
日本メディアの過熱報道は、北朝鮮の国策プロパガンダに無料で放送枠を提供しているに等しい。
それに対抗するには、まず相手の期待通りには映像を流さないことが重要であるにもかかわらず、映像を垂れ流す日本メディアの意図は何か。
佐藤教授は、北朝鮮の脅威は、安倍政権が進める安全保障政策の追い風となると見越して、あえて日本政府との「共犯関係」を維持しているという見立てをされている。・・・納得!
しかし、更に、佐藤教授は、「警報」の訓練の前に必要なのは、情報の意図を見抜くわれわれ受け手のリテラシーの向上だと結ばれている。
 
テレビや新聞だけでなく、SNSの発達によって、世の中には様々な情報があふれている。
どういう意図で情報が流されているのか、何が真実なのか、しっかり見抜くリテラシーを身につけるよう、私たちは日々努力する必要がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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