1. (最新法令)訪問販売などの契約書 電子データ可能に
女性弁護士の法律コラム

訪問販売などで義務付けられている契約書の交付を、書面(紙)ではなく、電子データで行うことを認める改正特定商取引法が、2023年6月1日から施行されました。

 

特定商取引法とは、旧訪問販売法を改正、改称して、2001年から施行されています。

消費者が悪徳商法(訪問販売や電話勧誘、マルチ商法など)等の被害に遭わないよう、一定の規制によって、消費者の保護を図る法律です。

 

今回の改正は、これまで、訪問販売などの一定の取引を行う場合、契約書については、消費者に対し書面を交付することが事業者に義務付けられていました。これは書面という紙によって行われなければなりませんでした。これが電子データで行うことが認められるようになったのです。

 

しかし、事業者が契約書の電子交付を行うにはルールがあります。

 

消費者の事前の承諾が必要です(法4条2項、5条3項)。

 

電子メールやSNSで送ってもらうのか、専用サイトからダウンロードするのかなど、事業者が提供する方法から消費者が選択します。

 

事業者は、クーリングオフやパソコン等の操作ができることなどの重要事項について説明する必要があります。

 

また、事業者は、消費者がパソコン等で自ら必要な操作ができるかどうかを確認しなければなりません。

 

その上で、消費者から書面による承諾を得る必要があり、承諾を得ると、事業者は消費者に対し、その承諾を得たことを称する書面(原則は紙で)を交付しなければなりません。

 

なお、消費者は1度電子交付を承諾した場合でもあっても、その承諾を撤回することもできます。

 

今回の改正は、電子データを駆使できる消費者には便利かもしれません。

しかし、電子メールなどでは家族など第三者の目につきにくく、クーリングオフの期間が過ぎてしまうリスクも懸念されます。

慎重に判断しましょう。

 

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