1. (最新法令:相隣関係)ライフラインを設置・使用する権利が新設されました
女性弁護士の法律コラム

隣り合う土地を所有する者同士が、自分が所有する土地を利用しやすいように調整し合う関係のことを「相隣関係」と言います。

 

民法は「相隣関係」について定めていますが、2021年4月21日に成立した民法改正で、これまで規定がなかったライフラインに関する規定が新設されました(施行は2023年4月1日です)。

 

ライフライン設備というのは、電気・ガス・水道など継続的給付を受けるための設備のことです。生活に不可欠な設備ですが、これらの設備を使用するため、他人の土地や設備などを利用しなければならない場合もあります。

 

そこで、民法は、必要な範囲で他の土地にライフラインを設置する権利、及び、他人が所有するライフラインの設備等を使用する権利を新たに定めました(213条の2、213条の3)。

 

ライフライン設備の設置・使用の場所や方法は、他の土地または他人が所有する設備のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(213条の2の2項)。

そして、あらかじめ、その目的、場所や方法を他の土地所有者や他の土地の使用者に通知しなければなりません(213条の2の3項)。

必ず事前に通知しなければならず、事後的通知は認められません。他の土地の所有者が不明な場合には、公示による意思表示(民法98条)によることとなります。

また、通知から設備の設置・使用までは、相手方が準備をするための必要な合理的期間をおく必要もあります。

 

更に、設備を設置あるいは使用する場合には、償金(応分の負担)を支払わなければなりません(213条の2の5~7項)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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