1. 2016年5月

2016年5月アーカイブ

2005年、おおよそ10年前の事件、小学生が殺害された今市事件。 許されない事件だが、その怒りは、真犯人に向けられるものである。新たなえん罪がまたつくられた。

この前、有罪判決が出されていたが、取調のビデオを70時間ほど見て、自白の任意性を認めた。
愕然としてしまう。 
70時間もビデオを見たの? というところでは、もちろんない。  
この事件、取調べは、147日間にも及ぶ。 これだけで、おおよそ自白に任意性など認めら得るはずがない。 おおよそまともな国では、警察での取調が147日なんてあり得ない。 せいぜい3日程度だろう。 日本では、身体拘束が認められる時間が あり得ないレベルで 長い。長すぎる。
体験してみなければ想像もできないのかもしれないが、アメリカだったかどこかの調査では、身体拘束を受けて2日も経てば、異常な精神状態になる割合が格段に高くなる、ということが言われている。
それが、147日である。 日本のこれまでのえん罪でも、長期の身体拘束が問題となることが多々見受けられた。  ただし、殺人事件でもわずか数時間で、やってもいない嘘の自白をしてしまうこともある。 それが、147日である。 もうこれだけで、任意性など認められ得余地はない。
そんなものすごく恐ろしい国に住んでいることをそろそろ気付いてもいいだろう。 
もちろん、この事件では、147日もの取調べで、わずか80時間しか録画された時間がない。大半が、暗黒の中の取調べであり、(自白に)「落ちた」後の姿しか録画されていない、という問題も重大な問題としてある。しかし、それ以上に、身体拘束の異常すぎる長さという問題に、裁判所も向き合わないといけない。 

弁護士紹介TOP