1. 2023年2月

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日野町事件の決定(高裁)日が決まった

先週、大阪高裁から弁護団に「決定は2月27日(月)に出します」という連絡が来た。昨年3月に「結審」して、「この裁判体で決定を出します」という言葉どおりなら6月には出るのではないか、6月に出なかったら9月末までには、という具合に決定が出される日さえ決まらないままズルズルと時間が経過していた。

その間に、同じく高裁(こっちは東京高裁)で再審開始を争っている袴田事件の決定は3月13日ということが決まっていた。年度を跨ぐのか?とも思い始めていた矢先の決定日通知だった。

日野町事件は、1984年の年末に端を発する事件で、2000年10月に最高裁で上告が棄却され無期懲役が確定してしまった強盗殺人事件である。しかし、その判決は間違いで、彼は犯罪とは無関係だ。私事であるが、2000年4月に弁護士登録をして、その年の11月に再審弁護団に入れてもらってから既に23年が経過する。その間、間違えた判決で人生を奪われた阪原さんは、もうこの世にはおられない。命ある間に救済をという願は打ち砕かれてしまった。今は、ご遺族の申立による「遺族再審」であり、2018年7月11日大津地裁で「再審開始」の決定が出ている。しかし、不当な検察官による抵抗(抗告)により未だに大阪高裁に係属している事件である。

その決定が、ようやく2月27日に出る。再審請求審は、通常の裁判と異なり、非公開の手続であるので、決定が出るといっても、法廷で「判決言渡」のような手続はない。裁判所で「決定書」を受け取るというだけの手続となる。渡された決定書を見てみないと、結論は分からない。

抗告を棄却して、再審開始の判断を維持することになると信じてはいるが、一抹の不安もある。改めて思うと、再審開始は、それで「無罪」となるわけでも何でも無く、裁判がやり直されるというだけである。それにも関わらず、再審開始の判断が余りにも壁が高すぎて、冤罪被害者の救済にはなっていないという制度上の問題を抱える。

ここで再審開始を確定させ、次のステージに進めるように、今は裁判所による真っ当な判断を期待するしかない。

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