1. 2024年2月

2024年2月アーカイブ

相続放棄

最近、ちょっと変わった相続放棄の事案をの依頼を受けた。役所から、放置されている空き家の対処を求める通知が来て、自身の持分があることがわかったという事案。

直接の相続である被相続人は、母であるが、その物件の名義は、叔父さんのままで、その子どもたちは相続放棄をしていたようだが、兄弟姉妹である母は、第3順位の相続人として相続したことも知らないまま亡くなっていた。そんな相続をしたこと自体知らないから、相続人としても母の相続の手続は既に済ませている。母が亡くなってから、既に3~4年は経つ。相続放棄の期間は、知ったときから3ヶ月だし、プラスの遺産を受け取ったり処分していたりしたら、単純承認となり、マイナスの遺産があってもそれだけを放棄をするわけにはいかない。しかも、実際には売却困難な物件で、管理に手間暇だけがかかるものでも、マイナスと評価すべきなのかどうか、むつかしいところである。また、相続人が1人の場合であれば、受け取りたくない不動産であっても、相続放棄をして無関係となることはそんなに簡単なことではない。(多分認められない。)

とはいえ、そのような放置物件の管理を強いられるのも堪ったものではない。このような場合、まず相続放棄が認められるのか。期間について、3ヶ月という問題がある。相続すべきかどうかを熟慮する期間といわれている。なので、検討するような相続が問題となっているということを知らない限り、「熟慮」もできない。

本件では、母が、その「熟慮」すべき事情を知ることのないまま亡くなり、相続が発生しているのであるから、その母の熟慮を要する事情をそのまま相続により継承したと考えるのが筋であろう。なので、母がその期間を徒過してしまっていたのなら諦めてもらうこともあり得るけれど、知らなかったのなら、相続人自身が役所からの通知を受けたときはじめて「熟慮」すべき事情を知ったのであり、そこから3ヶ月の間は相続放棄が認められても、制度趣旨には反しないし、むしろ合致する。判例でも、同様の判断を示したものがある(最高裁第二小法廷令和元年8月9日判決)。

どこの相続放棄を認めるのか、という問題はあるが、今回、遺産分割をした後ではあったけれど、放棄が認められた。

ドライブレコーダー

悪質な煽り運転が問題になってから、ドライブレコーダーが以前よりも注目されるようになって久しい。ただ、本来の目的であるところの交通事故の場面では、実際に交渉をする際、ドライブレコーダーの映像がある場合と無い場合とでは、事実の確認に大きな差が生じる。

自身の経験として、以前、国道で信号待ちの車に続いて停止していたところ、後ろからトラックに追突されたことがある。そうしたところ、なんと、加害者である相手が「おまえがバックしてきたからやろ!」ととんでもないいちゃもんを付けてきた。バカも休み休みに言え、といいたいところだが、スキンヘッドの眉毛も薄いイカツい殻をした輩風のおっさんが(こっちもおっさんだけど)まくし立ててくるのである。これで、気の弱い方が被害者なら、泣き寝入りにもなっていたところだ。(やりとりの一部は、録音もしてたし、ちょっとだけなら画像もあった。車のエンジンを止めなかったら、ドライブレコーダーでも声くらいは拾えていたかもしれないので、事故後はしばらくエンジンを切らない方がいいかもしれません)

ドライブレコーダーの映像をその場で(臨場した警察官に)確認してもらった。こっちが動いていない時に追突されたことは画像からも明らかだったが、これで、映像がなかったら、言ったもん勝ちで、場合によっては裁判をしなけらばならないことになっていたかもしれない。裁判やったからって、こっちの言い分が認められる保証は無く、どうなっていたかはわからない。こんなしょうもないことで裁判するのか、と思って、車の修理に持って行っていたとき、相手の社長さんから電話が来て、「こっちの保険で全部やらせてもらいます」とのことだったので、修理代と治療費だけは請求することにした。しかし、相手の態度が気に入らなかったこともあり、刑事告訴(ぶっ殺してやる等の文言は無かったことから、損害賠償を免れる目的で詐害したとする詐欺罪を主張)した。受理され警察官はきちんと調べてくれたものの、検察官は「勘違いした」と言っているから、と不起訴処分にした。どう勘違いするねん、と言いたくなる。納得いかないが、こんなことに時間を取ってもいられないので、これ以上追求するのは止めた。でも、裁判官が拾ってくれるもんだから、もっと立証不十分の事件でも起訴しているくせにこのヘタレPが、とちょっと腹を立てたことを覚えている。同乗していたうちのかみさんも納得していなかったが(かみさんにもがなりたててきていたし)、捜査ってええかげんなもんだと改めて思ったのでした。

 

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