刑事事件の法廷を傍聴されたことがあると、被告人が法廷に現れる際、拘置所の職員に手錠と腰縄を結わえられた状態で連れられて来るのを見たことがあるのではないかと思います。これまでは、被告人は、手錠腰縄状態で法廷に入り、裁判官の指示によって手錠腰縄を外されていました。ただ、刑事の法廷では、「無罪推定の原則」というものがあり、裁判で有罪判決を受けるまでは無罪として扱われなければならないことになっています。ところが、手錠をかけられ、腰縄を結わえられた姿の被告人が法廷に入って来るのを見れば、「罪人」が連れてこられたという印象を抱くのではないでしょうか。
被告人の中には、裁判の結果、有罪となる人もいるでしょうが、無罪となる人も含まれています。なので、有罪が確定するまでは無罪として扱わないといけないとされているわけです。この点、以前から問題があると指摘されており、事前に弁護人が求めた場合には、裁判官によっては傍聴人の目に手錠腰縄姿の被告人の姿を見せない配慮もなされることもありました。
この問題について、今年(2026年1月26日)、最高裁判所が、全国の裁判所に向けて、手錠腰縄の状態の姿を傍聴人の前に見せないように配慮するようにとの通達を出しました。被告人の人権に配慮した措置であると思われます。
これにより、今後は、それぞれの弁護人が個別に求めなくても、手錠・腰縄が外された状態になってからの姿しか傍聴人は目にしないことになると思われます。
なお、裁判の傍聴をしようと思えば、公開の法廷が開かれている場合には常に可能です。事前の申込なども要りません。裁判所に、ふらっと立ち寄って、興味のある裁判があればその法廷に入っていくことが出来ます。その日の法廷の予定は、1階のカウンターにファイルが置かれているのでそれを見れば、被疑罪名やどの部屋か等を知ることが出来ます。