改正された刑法の施行によって、今年6月から、刑罰の制度が変更されました。「懲役刑」と「禁固刑」というものが廃止され、新たに「拘禁刑」として1本化されることとなったのです。歴史的な変革だと言われています。
この背景には、刑務所から社会に戻ってきた人が、服役後5年以内に再び犯罪を犯して刑務所に戻ってしまう人の割合が3分の1にもなっていたという現実があります。要は、再犯を防ぐためである「教育刑論」が役に立っていないことを直視しようということが根底にあります。
刑罰というと、どうしても「懲役」という字にも現れているとおり「懲らしめ」のための制度でしたので、その一環として「刑務作業」がほぼ強制的に科せられてきました。刑務所内での生活でも、規律と秩序維持が全てといった対応でした。これは、刑務官などの人手不足の中ではある程度仕方のない対応だったとも評価されていますが、しかし、これでは、再犯の防止には繋がらないと意識されるようになってきました。抑圧されている中では、従順に過ごしているけれど、社会に戻ってきてその箍が外れると元の木阿弥になってしまうのです。強制的に働かせているだけでは、更生には繋がらないということです。
新しく取り組まれることですので、刑務官にも不安があるでしょうし、制度変更の趣旨を履き違えた問題も起こることもあるでしょう。
刑務所の実情など、情報はほとんど開示されていないような現状では、一般市民からすればまるで他人事となりがちですが、犯罪を犯してしまっても再び社会が受け容れるようになっていくことは必要です。この改正が、更生に繋がり、社会から犯罪が少しでも減っていくことを願いつつ、新たな制度の下での取り組みを見守っていきましょう。