1. 2010年9月

2010年9月アーカイブ

裁判員裁判初体験

8月30日から強盗殺人罪を中心とした裁判員裁判が始まった。初めて裁判員裁判の事件で弁護人をすることになった事件だ。(明日9月2日判決言渡)

30日は、午前は裁判員の選任手続き。弁護人の方は、最初から裁判日程があることがわかっているので、4日間の日程を合わせて他の予定を入れないようにしているからいいが、選ばれる裁判員は大変だと思う。中身を言うわけにはいかないので割愛するが、4日間午前9時過ぎから午後5時まで拘束されるわけだけれども、選ばれなかったら、最初の1日だけ。予定を組むにも、1日だけかもしれないし、4日になるかもしれない、というのは、自分に置き直すとつらいだろうと思う。もっと長くなることもあるんだから、もっと大変だ。

でも、そんな今まで刑事裁判に関わったこともないような感覚を、被告人の利益になるように活かしていきたい。

2日目、しかし、それにもかかわらず、裁判「官」は相変わらず、旧態依然とした「調書」ばかり重視する。

うんざりした。

捜査段階の調書の方が、法廷での供述より「理路整然として、迫真性があり・・・」 検察官もそのように主張していたが、そんなことは当たり前だ。

調書とは、まさに捜査官が「調べて」「書く」から調書なのであり、捜査官の作文なのだ。捜査官が、有罪の証拠としようとしている調書が、「理路整然」としていなかったりするわけがないではないか。そもそも、調書はあたかも被疑者がすらすらと答えたような一人称の文章になっているが、そんなに流れるように話をしているはずがない。法廷では、たどたどしかったのに、捜査段階では、すらすら話していた、なんてことあるわけがない。調書に記載された内容は、被疑者が話した内容そのものではないのだ。そんなことは、検察修習中実感したのではないのか。

実際は、被疑者を密室で取り調べ、捜査官が、被疑者が話している内容はこうだろうと租借して捜査官が作った文章で、捜査の段階で被疑者が本当はどう言っていたかなんか全く明らかにならない。一問一答ならまだしも・・・

やっぱり可視化(取調の様子を最初から最後までビデオ撮影し、疑問のある時は後に検証できるようにする制度)が不可欠だ。

今日は、弁論まで、初めてペーパーを見ずに弁論をやったが、冷や汗のかき通し。最初の20秒で、次に言うことが出てこなかった時には、正直どうしようかと思った・・・

つくづく思いました。話術の長けている人は特だなぁ。

で、裁判官はほとんど下を向いていたけど、裁判員の人は、結構目があって話ができました。やっぱり職業裁判官だけに任せておくのは、絶対に良くない、つくづく思いました。

 

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