1. 財産分与と退職金
岡根弁護士のぼやき論壇

財産分与と退職金

離婚の際、離婚自体は合意できる場合でも、子どもの問題と財産関係の処理については、問題となることが多くあります。 

今回は、財産をどうするのか、の中から、財産分与を取り上げてみました。 この財産分与(民法768条)は、離婚の時から2年経つと請求できなくなります。
既に支払われた「退職金」が残っているのであれば、もちろん分与の対象財産となります。退職金は、給与の後払いという性質もあるといわれていますので、給与の中から貯蓄した預金などと同じように扱われます。
ただ、支払われた「退職金」を既に使ってしまって残っていない、という場合には、対象となる財産自体がないわけですから、分与の対象とはなりません。 多くの場合、やっぱり無い人からは取れないんですね。
では、支払われるとしても2年以上先という将来の見込みの場合であればどうでしょうか。
裁判所での扱いとしては、近い将来退職金を受領できる蓋然性が高い場合には分与の対象とされる可能性が高くなります。
 ただし「近い将来」は何年先をいうのかは明確ではありません。 非常に曖昧ですね。
裁判例では、5年先、8年先という場合にも対象としたケースがあります。
今のような不安定雇用状況の下でも同じようになるのかどうかは、不透明ですが、退職金しか対象となる財産がない、というような場合には、比較的長期でも認められるようです。
ただ、対象となるといっても、現時点ではないのですから、どう計算するのかについては、いろんな方法があり、これといって定まっているわけではありません。 ケースバイケースで対応するしかないというのが実際のところでしょうか。 

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