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2014年10月アーカイブ

認知の無効 (判例紹介)

血の繫がりがないのに、認知をした男が、自ら認知をしたことと相反する無効の主張をすることが出来るのか、という問題に、最高裁判所が一つの判断を示した(平成26.1.14第三小法廷判決)。

 学説では、血縁関係がない場合には認知は無効である、というのが通説。
 自分の子ではないことがはっきりしているのに、無効といえて当然だろう、とも思えるが、そう簡単ではないらしい。

 民法785条には、「認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない」と定めてある。 なので、騙されて認知をしてしまったら、取り消せない、ことになる。

 786条には、「子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる」とある。

 一方、婚姻中に生まれた子どもは(正確には「懐胎した子」)、たとえ本当の親子関係がなくても「夫の子と推定する」(772条)とされるから、血縁関係のない親子関係ができる。

 この辺は、親を選べない子の保護をどうするのか、という価値判断とも大きく関わってくるところだろう。また、かつてのDNA鑑定などのなかった時代に親子関係が不安定になってはならないということもあったのだろう。

 これに対して、婚姻関係にない男女間の子の場合は、少々事情が異なるようで、そこには法律上の夫婦親子関係を保護しないといけないというような考え方が働かないことになる。

 ここでは、認知をした者が一旦認知をした以上その意思を尊重し、無効の主張は認めない、とするのか、血縁関係の有無という事実関係を重視するのか、という価値判断で、結論が分かれるところだった。

 この点、最高裁判決では、(単純に言い切ってしまうと)事実関係を重視して、785条で否定されるのは「取消」であって、「無効」とは異なること、認知した者も786条の言う「利害関係人」に当たると解釈できることから、たとえ血縁上の父子関係がないことを知っていても、無効主張はできると結論づけた。

 認知するに至った事情もいろいろあるから、個別事情は個別に対応したらいいので、取りあえず、一律に無効主張は駄目とはしないようにした、ということだ。 なので、この判決が出たからといって、常に無効主張が認められるわけでもない。 結構複雑・・・

 

略歴

滋賀県甲賀郡
(現甲賀市)出身
水口東高校卒
立命館大学卒

1997年
司法試験合格(52期)
2000年
弁護士登録
京都法律事務所入所

京都弁護士会所属委員会:刑事委員会、交通事故委員会、
死刑制度調査検討プロジェクト、
市民ウォッチャー京都幹事
日弁連 接見交通権確立実行委員会
青法協京都支部事務局

趣味等
登山、野球、サイクリング、愛犬との戯れ、etc
京都弁護士会野球部所属

再審冤罪事件(日野町事件)
不正公金支出返還請求事件(同和奨学金・京都市議会議員海外旅行・同和経営指導員補助金等)
学生無年金事件
消費者被害事件
道路設置管理の瑕疵
接見妨害国賠請求事件等

一般民事事件(借地借家・不動産各種契約・交通事故・債権回収・売買等)
家事事件(離婚・離縁・相続・成年後見・遺言・親子関係・財産管理等)
労働事件(解雇・賃金未払等)
債務整理・破産申立事件等
刑事事件
少年事件
行政事件
その他

弁護士となって15年余が過ぎてしまいました。様々な経験も積ませてもらいましたが、日々新たなことに出くわし、戸惑うことも多くあります。法的にどうすることもできないこともありますが、できる限り誠実に対応できるように心がけようと思っています。
法律問題になるかどうか悩まれているときでも、とりあえず聞いてみてください。気楽に相談ができるようになりたいと思っています。