離婚の際、婚姻生活中に築いた財産を夫婦が分け合う財産分与が行われることがあります。
財産分与の対象となるのは、婚姻後に夫婦が取得した財産です。婚姻生活中に取得した預貯金や不動産、自動車などが対象になります。
夫婦の一方が婚姻前から有していた財産や相続・贈与によって取得した財産は特有財産といわれ、財産分与の対象とはなりません。ただし、特有財産の維持に夫婦の一方が貢献した場合には、それによって特有財産の減少を防ぐことができたといえるので、財産分与の対象となる場合があります。
2012年4月アーカイブ
例えば専業主婦の妻が子どもを連れて家を出て夫と別居生活をする場合、すぐに就労先を見つけることが難しく、別居中の生活費をどうすればよいかという問題が生じます。
夫婦の関係が悪くなっていたとしても、婚姻関係が継続している以上、妻は夫に対して生活費を請求することができます。これを婚姻費用分担請求といいます。
別居中の生活費を夫に請求したい場合は、家庭裁判所に、婚姻費用分担請求の調停を申し立てることができます。
離婚調停を申し立てる場合も、同時に婚姻費用分担請求の調停を申し立てることができます。
婚姻届・離婚届の不受理申出の手続きが完了する前に、本人の意思に基づかない婚姻届・離婚届が勝手に提出され、役所に受理され、戸籍に記載されてしまった場合は戸籍の訂正をすることができます。
まず、家庭裁判所に婚姻無効・離婚無効の調停を申し立てます。調停での協議の結果無効であることについて双方が納得をすれば、裁判所は婚姻無効・離婚無効の審判を行います。これを役所に提出して訂正してもらうことができます。調停不成立となった場合は、婚姻無効・離婚無効の訴訟を提起し、判決で無効を確認した上で訂正することになります。(戸籍法116条1項)
なお、訂正すべき事項が軽微であって訂正の結果が身分法上重大な影響を及ぼすおそれがない場合等には、家庭裁判所の許可を受ければ戸籍を訂正することができます。(戸籍法114条)
婚姻も離婚も当事者双方の意思に基づいて行うものです。
しかし、本人にその意思がないのに、知らないうちに勝手に婚姻届や離婚届が出され、戸籍上に記載されてしまうことが起こり得ます。
そのような心配がある場合は、役所に対して不受理申出をしておけば、婚姻届や離婚届が提出されたとしても受理されることはありません。また、不受理申出をしておけば、誰かが婚姻届や離婚届を役所に提出した場合に、提出があった旨を役所から知らせてもらえます。
(戸籍法第27条の2第3項~第5項)
離婚を望んでいるけれど相手が応じてくれない場合は、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停では調停委員を交えて協議することができるので、夫婦が改めて冷静に話し合うことも可能になるかもしれません。ただし、調停はあくまでも話し合いと合意によって離婚を成立させるものです。夫婦の一方が欠席して話し合いができない場合や話し合いをしても最終的に合意できなかった場合には調停は不成立となります。
そうなると、離婚訴訟を提起することができます。民法で定められた離婚原因が存在することを裁判所が認めれば、判決で離婚することができます。
離婚原因:民法770条1項
「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」
離婚調停の申し立て費用は、収入印紙代1200円(平成24年3月現在)と切手代です。弁護士に依頼せずに申し立てることも可能です。
離婚調停は、1回の調停期日で終わるのではなく、2回、3回と期日を重ねて協議を継続することができます。月に1回ぐらいのペースで期日が定められることが多いため、成立するまでに時間がかかります。その分、当事者双方が納得のいくまでじっくり話し合えるともいえます。
調停が成立した場合は、裁判所が調停調書を作成し、当事者が合意した離婚条件が記載されます。
養育費の支払いが滞った場合には、調停調書をもとに強制執行を行うことができます。この点は公正証書の効力と同じです。
民法第752条に次のように定められています。
「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」
夫婦間においては同居義務があるとされています。しかし、正当な理由があれば同居を拒否することができます。
例えば、婚姻を継続しがたい重大な事由が認められる場合は、夫婦の一方は、相手方から同居するよう求められても拒否することができます。
また、同居請求が信義則に反するような場合は、権利の濫用となるので、このような場合も同居を拒否することができます。
民法等の一部を改正する法律(法律第61号)が平成24年4月1日より施行されました。
児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権停止の制度が新設されました。
父または母による親権の行使が困難または不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、2年以内の期限を定めて親権停止の審判を行うことができるようになりました。(民法834条の2)
従来は親権喪失の制度しかありませんでしたが、親権停止の制度が新設されたことにより、より柔軟な対応が可能になったといえます。
民法等の一部を改正する法律(法律第61号)が平成24年4月1日より施行されました。今回の改正は子どもに関する部分です。
未成年後見人については、複数の者を選任することができるようになりました。
また、法人が未成年後見人になることも可能になりました。(民法840条2項、3項)