1. 大飯原発差止訴訟で京都地裁が不当判決!
福山弁護士の「飲み法題」

大飯原発差止訴訟で京都地裁が不当判決!

2026年7月14日、京都地方裁判所第6民事部(斎藤聡裁判長)は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の稼働によって生活や健康に深刻な被害を受ける生活を強いられているとして、42都道府県の住民約3500人が関電と国に運転差し止めと賠償を求めた訴訟で、原告の請求を棄却する住民側敗訴の不当判決を言い渡した。

裁判の争点は多岐にわたるが、私たちは、①基準地震動を超える大地震が発生する危険性、②大飯原発の敷地地盤の脆弱性、③避難計画の実効性の欠如、を特に強調してきた。

これに対し、京都地裁は、原子力規制委員会の新基準に適合していると判断された原発については、原告側が、新基準自体が不合理であるか、又は新基準に基づく審査・判断が不合理であることを主張立証する責任を負うとした上で、基準地震動の問題も敷地地盤の問題もその他の問題も、新基準は不合理ではない、審査・判断にも不合理な点はないとして、ことごとく原告の主張・立証を退けた。

しかし、1992年伊方原発訴訟最高裁判決は、基準及び審査の合理性については、被告が立証責任を負うとした。しかるに京都地裁判決によれば、被告が「規制委員会に審査をクリアした」と主張しさえすれば、原告が基準及び審査の不合理性について全面的な立証責任を負わされることになる。このような判断枠組みは伊方最判の立場に明らかに反するものであり、かつ住民に不可能を強いるものである。

また福島原発事故避難者が自らの体験に基づいて避難困難性を具体的に証言したことに、判決は全く言及せず、法律ではこう規定されてるから問題ないという木で鼻を括る論法で切り捨てた。余りにも浅薄な判断と言うほかない。

判決言渡しでは、原告の請求を却下・棄却するという主文のみが読み上げられた後、裁判官は理由も告げず、足早に立ち去った。原告席から「恥を知れ」「理由ぐらい言え」といった怒号が上がったのもさもありなんである。規制委員会の基準をクリアしても福島原発事故は起きた。新基準をクリアしても大飯で事故が起こるリスクはある。それを法と道理に照らしてとことん突き詰めて判断するのが司法の責任ではないか?

2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、国内の原発は全基が止まり、各地の判決でも住民側勝訴の流れが生まれた。しかし2021年の水戸地裁判決で住民側が勝訴したのを最後に、それ以降は住民敗訴判決が続いている。その背景には、2022年に国が脱原発から原発回帰に舵を切ったことがある。しかし行政府の政策に司法府が追随するのは司法府の自殺行為である。フランス人権宣言は、「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない。」と述べている。日本は近代憲法を持つ国と言ってよいかが問われている。

いまドイツでは各家庭でベランダ発電が爆発的に普及するなど、世界は再エネに向かっている。資源がなく地震大国の日本で、再エネより原発に回帰し、60年超の老朽原発も容認するなど、もはやガラパゴス化しているという他ない。私たちは、危険な老朽原発の稼働を許さないために、引き続き控訴してたたかう決意である。

 

原告団・弁護団の抗議声明20260714_statment.pdf