1. 2013年12月

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12.6を忘れまい~秘密保護法を廃止しよう~

 12月6日に秘密保護法が成立した。世論の半数以上が反対、慎重審議を求める意見は8割を超え、廃案を求める叫びが国会を包む中、安倍首相は取り憑かれたように採決強行に突入した。

 国民主権の下では、政府の保有する情報は全て国民の財産である。権力者が都合の悪い情報を隠し、国民の判断を誤らせるような仕組みは国民主権に反する。福島原発の汚染水が「完全にコントロールされている」という安倍氏のオリンピック招致演説は、8割の国民が嘘だと思っている。しかし、嘘を暴こうとすると処罰されるのがこの法律だ。戦前の大本営発表と同じである。
 デモをテロに例えた石破幹事長、国家の安全より知る権利が優先するという考えは間違いと言う町村元官房長官、弁護士なのに法解釈が迷走しまくった森大臣など、推進した人々の知的レベルはお粗末だった。

 法案審議はわずか68時間、維新、みんなの党と合意した修正案に至ってはたった2時間。拙速を通り越して、もはや名ばかり国会だ。第1次安倍政権下で、教育基本法が改悪されたときでさえ、189時間の審議が行われた。なぜそんなに急ぐ必要があったのか、賛否の立場を超えた国民多数の疑問である。巷間言われているように、消費税増税による支持率低下の前に成立させたいということであれば、党利党略以外の何物でもない。秘密指定についてチェックする情報保全監察室などの4機関の提案は採決の2日前、NHKのキャスターですら何がどう違うのか分からないと言うほど生煮えの代物である。怒号の中、強行された参院特別委の採決は、速記録に「発言する者多く聴取不能」と記されたほどで、採決がされたかも疑わしい。10月15日に臨時国会が開会したときには法案は上程すらされていなかったし、参院選でも争点にはなっていなかった。自公に投票した人もこんなことは想定していなかっただろう。

 
 秘密保護法は内容も制定手続もお粗末極まりない稀代の悪法である。小手先の修正ではなく、廃止を目指すべきだ。安倍氏は、「成立させてしまえば国民は忘れる」と思っているのかもしれない。しかし我々は忘れまい、12月6日という日を。誰が賛成し、誰が反対したかを胸に刻んで、悪法廃止のたたかいを始めよう。