日本政府の情報部門は、公安警察による共産党緒方宅盗聴事件や大垣警察市民監視事件、自衛隊による情報保全隊事件、つい最近、熊本日日新聞がスクープした陸自中央情報隊による数千人規模の思想情報収集など、そもそも公正中立な組織なのか根本的疑問があります。
それをひとまず措いて、国家にとってインテリジェンス機能(情報の収集や分析等)が大事だという前提に立ったとしても、先日成立した国家情報会議法が如何に悪法かがよくわかりました。日本が負けると分かっていながら開戦に突き進んだのも、イラクに大量破壊兵器はないとわかっていたのに米国が戦争に突き進んで9.11を招いたのも、インテリジェンス機能が弱かったからです。その意味で、国家にとって情報の収集・分析を適切に行う事は非常に大切です。それを誤ると国民の命に関わります。そのためには情報収集・分析は公正中立になされる必要があります。戦前に若手エリート達からなる総力戦研究所が日米開戦は避けるべきと提言したのに、東條内閣がそれを無視して開戦に突き進んで未曾有の悲劇をもたらしたのは有名な話です。情報収集や分析が政治的に歪められると国民が悲劇に陥ります。ところが今年5月27日に成立した国家情報会議法では、首相が議長で、関係閣僚が議員。高市首相は口を出さないと答弁しましたが、それなら首相や閣僚が関与する仕組みは削除すべきでした。ところがそうはなりませんでした。この法律により、時の政府に都合よく、インテリジェンスが政治的に歪められる危険があります。それのみならず国家情報会議の下に置かれる国家情報局の初代局長に、公安警察畑出身の原和也氏が起用されたことからすれば、国家情報会議は、政府に反対する国民を監視し、プライバシーや思想良心の自由を侵害するような情報収集を行い、場合によっては共謀罪や国旗損壊罪などを悪用して弾圧する司令塔になりかねません。
一言で言うと、あの戦争の反省が全く生きてない悪法というほかありません。

