1. 2026年7月

2026年7月アーカイブ

2026年7月17日、京都地方裁判所第2民事部(菊井一夫裁判長)において、京都建設アスベスト3陣訴訟に関し、原告1名と建材メーカー8社との間で和解が成立しました。

本和解では、被告建材メーカー1社(株式会社ノザワ)が被災者16名中1名(タイル工)に対し、「石綿関連疾患による甚大な被害を生じさせたことについて深くお詫び」した上で、解決金を支払うことが合意されました。またノザワを含む建材メーカー8社が、当該被災者が被った「石綿関連疾患を原因とする甚大な身体的・精神的苦痛に対して、心よりお見舞いの意を表す」ることも明記されました。

各地でたたかわれている建設アスベスト訴訟では、2021年5月17日に東京1陣、神奈川1陣、大阪1陣、京都1陣の4事件について最高裁判決が言い渡され、国と建材メーカの責任が確定しました。これを受けて国は、各地の訴訟で和解解決を図るとともに給付金制度を創設して、被害救済に足を踏み出しました。しかし、建材メーカーはその後も、各地の訴訟で無益な争いを続けたために、多くの被災者が解決の日を見ることなく、志半ばで無念の死を遂げました。

そうした中、2025年8月に東京高裁と大阪高裁で、裁判所の勧告による集団的和解が成立し、早期解決に向けた流れが生まれました。地裁レベルでの和解成立は、今年6月に東京3陣訴訟について東京地裁で和解が成立したのに続き、本和解が全国2番目、西日本では初となります。1名のみかつ1社のみとはいえ地裁段階で早期に和解が成立したことは意義のあることであり、一歩前進と評価できます。現在、さいたま地裁でも和解協議が進められていますが、本日の和解成立が、より早期の和解成立に向けた各地の流れを加速するものとなることが期待されます。

また、今回、和解の対象とならなかった被災者15名については、本年9月25日に京都地裁で判決が言い渡されます。そこでは、解体改修作業者や屋外作業者等も含めて、救済に無用な線引きを持ち込むことなく、全ての建設作業従事者を救済する判決が求められています。私たちは、これからもアスベスト被害の全面救済と根絶を目指して、引き続き奮闘する決意です。

京都3陣地裁和解を受けた声明2026.07.17

京都アスベスト訴訟 肺がん発症の原告1人の和解が成立 建材メーカーがおわびし、解決金を支払う(京都新聞) – Yahoo!ニュース

石綿訴訟、一審で和解成立|京都新聞デジタル 京都・滋賀のニュースサイト

京都アスベスト訴訟 肺がん発症の原告1人の和解が成立 建材メーカーがおわびし、解決金を支払う|47NEWS(よんななニュース)

大飯原発差止訴訟で京都地裁が不当判決!

2026年7月14日、京都地方裁判所第6民事部(斎藤聡裁判長)は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の稼働によって生活や健康に深刻な被害を受ける生活を強いられているとして、42都道府県の住民約3500人が関電と国に運転差し止めと賠償を求めた訴訟で、原告の請求を棄却する住民側敗訴の不当判決を言い渡した。

裁判の争点は多岐にわたるが、私たちは、①基準地震動を超える大地震が発生する危険性、②大飯原発の敷地地盤の脆弱性、③避難計画の実効性の欠如、を特に強調してきた。

これに対し、京都地裁は、原子力規制委員会の新基準に適合していると判断された原発については、原告側が、新基準自体が不合理であるか、又は新基準に基づく審査・判断が不合理であることを主張立証する責任を負うとした上で、基準地震動の問題も敷地地盤の問題もその他の問題も、新基準は不合理ではない、審査・判断にも不合理な点はないとして、ことごとく原告の主張・立証を退けた。

しかし、1992年伊方原発訴訟最高裁判決は、基準及び審査の合理性については、被告が立証責任を負うとした。しかるに京都地裁判決によれば、被告が「規制委員会に審査をクリアした」と主張しさえすれば、原告が基準及び審査の不合理性について全面的な立証責任を負わされることになる。このような判断枠組みは伊方最判の立場に明らかに反するものであり、かつ住民に不可能を強いるものである。

また福島原発事故避難者が自らの体験に基づいて避難困難性を具体的に証言したことに、判決は全く言及せず、法律ではこう規定されてるから問題ないという木で鼻を括る論法で切り捨てた。余りにも浅薄な判断と言うほかない。

判決言渡しでは、原告の請求を却下・棄却するという主文のみが読み上げられた後、裁判官は理由も告げず、足早に立ち去った。原告席から「恥を知れ」「理由ぐらい言え」といった怒号が上がったのもさもありなんである。規制委員会の基準をクリアしても福島原発事故は起きた。新基準をクリアしても大飯で事故が起こるリスクはある。それを法と道理に照らしてとことん突き詰めて判断するのが司法の責任ではないか?

2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、国内の原発は全基が止まり、各地の判決でも住民側勝訴の流れが生まれた。しかし2021年の水戸地裁判決で住民側が勝訴したのを最後に、それ以降は住民敗訴判決が続いている。その背景には、2022年に国が脱原発から原発回帰に舵を切ったことがある。しかし行政府の政策に司法府が追随するのは司法府の自殺行為である。フランス人権宣言は、「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない。」と述べている。日本は近代憲法を持つ国と言ってよいかが問われている。

いまドイツでは各家庭でベランダ発電が爆発的に普及するなど、世界は再エネに向かっている。資源がなく地震大国の日本で、再エネより原発に回帰し、60年超の老朽原発も容認するなど、もはやガラパゴス化しているという他ない。私たちは、危険な老朽原発の稼働を許さないために、引き続き控訴してたたかう決意である。

 

原告団・弁護団の抗議声明20260714_statment.pdf