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旧社会保険庁職員3名に対する免職処分が取消し!

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(2013.10.24 処分取消し後の記者会見、前列右端が筆者、京都地裁司法記者クラブにて)

 

 09年12月末に社会保険庁が解体され、翌年1月4日から日本年金機構が発足しました。このとき525名もの社保庁職員が免職処分(要するに解雇)を受けました。

 京都では免職処分を受けた15名の職員が、国の機関である人事院に対して、免職処分の取り消しを求めて審査請求を行っていましたが、2013年10月24日、人事院は15名のうち3名の職員の免職処分を取り消す決定を行いました。処分が取り消されたのは、京都南社会保険事務所業務課長であった北久保和夫さん、上京社会保険事務所業務課長中本邦彦さんと、京都社会保険事務局の主任であった女性です。

 全国的にも審査請求を行っていた70名中24名の免職処分が取り消されており、取消率は実に34.3%と、国家公務員の免職事件では類をみない高い割合です。

 旧社会保険庁の解体をめぐっては、年金記録問題等をめぐって厳しい社保庁バッシングがあったことは記憶に新しいところですが、それは末端の職員に責任があったわけではありません。一連のバッシングの中で、少なくない職員が年金記録の業務外閲覧(いわゆる「チラ見」)や組合の無許可専従等の疑惑をかけられ、無実の罪や軽微な行為で懲戒処分を受け、それを口実に日本年金機構への採用名簿から除外され、免職処分を余儀なくされました。

  しかし、年金記録問題等について、真に責任を負うべきなのは、政治家や高級官僚です。免職処分にあった元職員らは、政治の責任を糊塗するためのスケープゴートにされたといっても過言ではありません。政府が国策として行った免職処分を、政府の一機関である人事院が3割以上も取り消したということ自体、いかに無茶な処分であったかを物語るものです。 

 今回、免職が取り消された3名の方を含めて、15名全員が現在大阪地方裁判所で免職の取消と慰謝料支払を求める裁判をたたかっています。今後は司法の場で、社保庁問題の真相を明らかにし、全員の救済をかちとるまでがんばりたいと思います(当事務所からは福山が弁護団に参加しています)。
                                         弁護士 福山和人