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2012年6月アーカイブ

医療事故の調査

 最近では、医療事故に取り組まれる弁護士も増えてきましたが、医療事故の場合、いわゆる一般民事といわれる事件とは少し異なる面があります。

 一般民事事件の典型例としては、貸金請求事件や交通事故事件などがありますが、これらの事件については、最初の相談をお聞きした時点で、ある程度、勝訴の見込みやその後の回収可能性の見通しを立てることができるため、2回ほどの打ち合わせで調停や訴訟などで受任をすることが可能です。

 ところが、医療事故の場合、医療行為の内容が問題となるため、最初に相談をお聞きしただけで、医療機関側に過失が認められるか否かの見通しを立てることは困難です。
 そのため医療事故の場合、一般民事事件とは異なり、最初医療機関側の過失が認められる可能性があるか否かについての見通しを立てるための「調査」が必要になり、最初は医療事故の「調査」として受任することになります。

 「調査」の内容としては、具体的にはカルテの取り寄せ(ケースによれば証拠保全)、翻訳、医学文献の調査、判例調査、協力医の意見聴取などです。
 こうした「調査」の依頼からスタートすることが、医療事故と一般民事事件との大きく異なる点の一つだと思います。

 もちろん、「調査」の結果、勝訴が見込まれないとの判断に至ることもありますので、その場合、費用だけかかって何にもならなかったということになりかねず(私はそうは思いませんが...)、弁護士に依頼することへの一つの大きなハードルになっていると思います。
 医療事故は難しい、費用がかかるあるいは時間が掛かるといわれていることの一つの原因はここにあると思われます。

 ただ、この「調査」がしっかりと行われていないと、その後の訴訟等で医療機関側から思わぬ反論を受けて訴訟を維持できなくなるなどの事態も生じうるため、医療事故ではこの調査が非常に重要であると考えています。

        2012年6月8日  弁護士 黒澤誠司

略歴
大阪府出身
洛北中学校卒業
立命館高校卒業

1985年
立命館大学法学部入学 薬師寺ゼミ(国際公法)

1996年
司法試験合格(50期)

1998年
弁護士登録 京都法律事務所入所

2011年
京都弁護士会 副会長

2013年
京都弁護士会 高齢者障害者支援センター運営委員会 副委員長・京都弁護士会 紛争解決センター運営委員会 副委員長

2014年
京都弁護士会人権擁護委員会委員長
日弁連人権擁護委員会
近畿弁護士連合会人権擁護委員会
日栄・商工ローン被害対策京都弁護団 事務局長
中国残留孤児国家賠償訴訟京都弁護団 事務局
シベリア抑留国賠訴訟弁護団 事務局長
青年法律家協会京都支部 事務局長
NPO法人 患者の権利オンブズマン関西常任委員などを歴任

趣味等
学生時代は中高大とソフトテニス部に所属していました。最近は小ネタ手品に興味があります。

ココ山岡事件
日栄不当利得金返還請求訴訟その他消費者事件
薬害ヤコブ病事件
中国残留孤児国家賠償訴訟
城山共同作業所事件
医療過誤事件
今西税金裁判
シベリア抑留国家賠償訴訟
新生存権裁判

弁護士として最初にかかわった事件が医療事故であったので、医療事故に関心があります。
また、最近は、裁判所から遺産分割、遺留分減殺請求や破産管財事件、成年後見事件を引き受けることが多くなっています。
法律事務所に来られる方は、精神的に追い詰められた方が多いので、ご相談をお聞きするときは、話しやすい雰囲気を作るように心がけています。また、事件のご依頼を受けた場合は、事務所のモットーである「敷居は低く、志は高く」を意識しつつ、できるだけ難解な法律用語を使わないようにして事件の進行について理解をしていただきながら、一緒に事件解決を目指すようにしたいと考えています。