1. 2012年3月

2012年3月アーカイブ

死刑制度について

  昨日開かれた京都弁護士会の総会で「死刑制度の廃止を求める決議」が議論されました。

 結果としては否決されましたが、提案をさせていただくにあたって様々なご意見を聞き、悩みながらの提案でした。

 いくつか問題提起をされた中で、大きな争点となったのは、「死刑制度の廃止を求める決議」というものを弁護士会が出すことが、この決議に反対の意見を有する個々の会員の思想良心の自由を侵害することになるのではないかという点です。

 この点については、決議となれば、その賛否を表明せざるを得なくなるため、そうした制度についての自己の考えを明らかにしたくないと考える方にとっては、決議が審議の対象となること自体が苦痛であるし、強制加入団体である弁護士会が自己の考えと異なる意見を表明するということが苦痛であるというご意見がありました。

 私個人の考えですが、死刑はひとつの刑罰制度の在り方であって、その制度が望ましいものであるか否かについては、司法の一翼を担う弁護士会がその責任として意見を述べなければならないものと思います。

 また、弁護士会という団体としての意見表明と個々の会員の考えは別物です。
 人それぞれ考え方が様々であることは当然であって、個々の会員が特定の考え方を押しつけられるという性質のものではありません。
 
 もし、全員の意見が一致しなければ弁護士会としての意見を述べることができないということになれば、様々な意見を持つ人で構成される弁護士会はほとんどすべての事柄について意見を述べることができなくなってしまいます。

 今回の総会ではいろいろなことを考えさせられました。
 折りに触れて少しずつ考えを整理していきたいと思います。

                                                     2012年3月9日  弁護士 黒澤誠司