1. 2014年10月

2014年10月アーカイブ

京都市ゴミ屋敷条例

京都市がいわゆるゴミ屋敷対策のために「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」を制定しようとしています。条例案では、行政の改善命令に従わない場合は、強制的に「ゴミ」の処分を行うことができる内容となっています。大阪市など一部自治体でも条例が制定されているところがありますが、他の自治体の条例では、有識者による審議会が設置され強制処分を行う前にその意見を聞かなければならないとされています。ところが、京都市の条例案ではそうした審議会の設置が予定されていません。「ゴミ屋敷」を作ってしまう人の多くは地域社会から孤立し、何らかの問題を抱えている人です。医療や福祉の専門家の意見を聞くことなく強制的に「ゴミ」を処分できるというのは、いかがなものかと思います。

もちろん、「ゴミ屋敷」が地域住民にとって大きな問題であること、その改善が必要であることは全く同意見です。しかし、強制的に「ゴミ」を処分するというだけでは根本解決にはならず、同じことが繰り返されるだけでしょう。その人が抱えている根本の問題を解決しなければなりません。

嫌なもの、見たくないものは、隔離排除するという最近の風潮がありますが、隔離排除して私たちの目につかないようにすることだけで問題を解決したことにはなりません。行政は、野宿者を公園から閉め出すために寝ころべないように長いすの間に仕切りをもうけたり、寝泊まりできないように橋の下にフェンスをはったりしていますが、同じような安易な考えだと思います。行政は個人とは異なりそうした問題を抱える人を救う力を有しているのですから、安易な方向に流れないように願うばかりです。