1. 2011年6月

2011年6月アーカイブ

 昨日の夕方,出張法律相談に行く途中でタクシーの中からみた空が,むちゃくちゃキレイだった。夕空といえども赤くならない,金色の空。低~中層には積雲が,中~高層には鰯雲状の高積雲が,そして青い空の高みには,すじ雲=絹雲が金色に照り輝いている。こういう低層から高層まで,雲の見本市みたいにいろんな雲が見られることが,梅雨時の晴れ間や台風の前後などにときどきある。こんな空が,私は大好きで,見ていてホント飽きない。
 
 で,ぼーっと空を見ていたら,突然思い出した。この空は,敦賀港で見た,あの空に似てる。
 実は,私は暗黒の(?)フリーター時代,真夏の敦賀で1ヶ月間,宇宙人のバイトをしたことがあるのだ。別に宇宙人になったわけではなく,「つるが・きらめきみなと博21」という博覧会の「科学技術庁」のパビリオンで,コンパニオンのお姉さんをしていただけなのだが,その制服たるやピカピカ光る銀色サテンのミニスカートワンピース,肩に赤い円盤のような飾りをつけ,黄色いスカーフを首に巻いて青いサンバイザーを被るという,カメラ小僧もびっくりの宇宙人的出で立ちだったのである。ああ,恥ずかし。
 で,1ヶ月の間毎日毎日(4勤1休のシフトでしたが),午前9時から午後9時まで,目の前の青い海を見ながら働いていた。コンクリートの照り返しはキツイし,パビリオンの正面には鏡の迷路が組み立ててあってそれもギラギラしてるし,その上着ているのは宇宙服だしで,暑くてしんどいことこの上なかった。

 でも,敦賀というのは本当に空が綺麗なところだった。海と山の近い,狭隘な地形。複雑に入り組んだリアス式海岸の奥にある敦賀港。朝は染みひとつない青空で始まるが,日が高くなると海からの風が山に当たり,上昇気流ができて真っ白な積雲が湧く。日が落ちるに連れて対流が弱まり,積雲は力を失って空高くに筋雲が輝き出す。やがて山の向こうに日が沈むと,黒々とした山の輪郭を沈む夕日が金色に縁取り,空は宇宙の色に近くなる。
 毎日,日々刻々と変わる空と海を目の前に,(あー,この空を,ずーっとずーっっと向こうまで飛んでいきたいなあ。)とよく考えた。何か,幼い頃に見た夢のように,果てしない憧憬を誘う空だった。

 反対に,私の嫌いな空。それは,春先などによく見られる,ぼーっと霞んだような晴天である。春じゃなくても,高気圧の後面,すなわち明後日か明々後日くらいから天気が崩れ始めるよ,という日によくあるんだけど,天頂は青くて雲ひとつなくても,地平線近くになるにつれ,紫色に霞んで見える空があるでしょう?あれは,いかん。大気の状態が超・安定している証拠なんですね。安定してたら雨降らないし,いいやん,と思うのは普通の人。グライダー乗りは,空が安定してたら上昇気流ができないから,ちいとも面白くないんである。

 私のこの「不安定指向」,グライダーをやってたからこうなのか,生来的に波瀾万丈がスキなのかは,今のところ不明。  

締め切り〆との戦い

昨日,依頼者さんと電話で話している際,「あの中田くんの事件は控訴はしたんですか」と聞かれた。ブログを読んでくれたらしく,「本当に酷いんで,気になって・・・」とのこと。嬉しいような,読まれてると思うと恥ずかしいような(いや,嬉しいです)。

いつまでも更新しないと,中田判決をいつまでも引きずってるようなので(引きずってないわけぢゃないけど),忙しい中でも更新。

いやホント,今も明日締め切りの控訴趣意書と格闘中で,マジでブログなんか書いてる時間なんてないんだよおお~と叫びつつテスト前の部屋の掃除の感覚で書いている私。

もっとこまめに,つぶやくごとく更新しようっと。

 空を飛ぶ鳥の中で,ベスト・ソアラー,すなわち上手く風に乗れる鳥ナンバーワンといえば,やはりトンビだろう。よく晴れた春先の午後に,「フィンヨルル……,フィーンヨルルルル……」と螺旋を描いて飛ぶ彼らを見るのは,何とも言えず楽しい。
 ゴールデンウィークに家族で海辺の温泉に行ったとき,トンビが数十羽乱舞していた。子どもと一緒に,久しぶりに無我夢中で見上げていた。下から泡のようにぷくりと浮かび上がってくる上昇気流のエネルギーを最大限に捉えるべく,トンビはく,くっと羽の角度を微妙に変え,風を抱え込む。風上に向かってスーッと滑空したかと思うと,波に乗るようにふいっ,と速度を緩めて高度を上げ,翼を少し傾けてくるりと左に旋回する。彼はそのまま旋回しながら上昇する空気に乗り,次第に遠く,小さくなっていく。
 ああ,いいな。トンビみたいに飛びたいな。グライダーでどんなに上手く風をつかもうとしても,片方7mもある巨大な─トンビからすれば─翼では,小さな風には乗れないのだ。旋回半径も大きすぎるし,翼の角度を変えられないから,風を抱え込むことができない。私も何度かトンビと同じサーマルで飛んだことがあるが,あっという間に置いていかれた。
 それでも,トンビと一緒に飛ぶのはすごくエキサイトな体験だ。いつかなりたい,超えたいけれど超えられない,トンビは永遠の先生なのだ。

 でもそんなトンビ先生,優雅に楽しく空の散歩を楽しんでいるのかといえば,そうでもない。上昇気流のあるところに,昆虫あり。強い上昇気流で否応なく吹き上げられる蝶や羽虫やその他小さき蛋白源たちを捕らえて食すべく,トンビは今日も上昇気流に乗るのである。何だ,そりゃ生活がかかってるんだから,飛ぶのも上手いはずですね。

 ちなみに1歳9ヶ月になるウチの息子,つい3日ほど前,物心ついて(?)初めて飛行機に乗りました。乗り物好きだし,私の子だもの,当然飛行機好きだよね,ねっ?と思いきや,途中で「ひこーき,いやー。おりたいようー。」と言い出してがっくり。まあ,彼がもっと大きくなって,地上に縛られている,という感覚がわかるようになったら,一緒に空に飛び出して,トンビと共に飛ぶ楽しみを教えてあげたいな,と思う今日この頃である。