1. 集団的自衛権についての権力者の”嘘”~その15
小笠原弁護士の“知っ得”

集団的自衛権についての権力者の”嘘”~その15

 前回の続きで、もう少し説明しますね。

 権力者は、わが国が攻撃を受けていなくても、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があれば、ぎりぎりの自衛措置の範囲内として武力行使が許されると強弁しました。

 つまり、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があれば、自衛の措置として武力行使が許される、というわけです。

 明白な危険があれば武力行使が許される、というわけですから、わが国に対する武力攻撃を想定した場合、現に攻撃が発生していなくても、その武力攻撃の発生前に、明白な危険があると判断できるし、武力攻撃の発生を待たなくても、個別的自衛権の行使として武力行使ができて当たり前、こういう論理につながるのです。

  権力者が、集団的自衛権の行使が許されるとする、9条を無視した屁理屈を追求していった結果、とうとう先制的な武力行使まで今の憲法9条の下でも許され得るという、普通の国の姿へと変貌させ始めたのです。

 徹底した平和主義とか、平和国家日本とか、軍隊を持たない日本とか、戦争を徹底して放棄したとか、日本の平和ブランドを捨てさせた権力者。

 世界の人々から、日本は戦争をしない国だという安心や信頼を失わせた権力者。

  国民に嘘を吐いてまで、憲法を蹂躙してまで、戦争体制を築こうとする権力者。

  安倍内閣は売国的権力者である。

            弁護士 小笠原 伸児