1. アスベスト訴訟

アスベスト訴訟

最高裁旗出し画像.jpgのサムネール画像
1 建設アスベスト訴訟について最高裁で勝訴
  2021年5月17日、最高裁判所第1小法廷は、建設アスベスト訴訟(神奈川1陣、東京1陣、京都1陣、大阪1陣)について、国と建材メーカーの責任を認める原告勝訴判決を言い渡
    しました。
2 最高裁判決の意義
(1)今後の全面解決への梃子
  この裁判は、一番最初に言い渡された横浜地裁判決で、国と企業の双方に敗訴する最悪のスタートから始まって、東京地裁で国の責任を認めさせ、京都地裁で企業責任に風穴を開け、大阪
 地裁では国の責任割合を3分の1から2分の1に上げさせ、東京高裁で一人親方の救済を認めさせるなど、全国の原告弁護団・支援者が、連携し、時には厳しい議論も行って、一歩ずつ歩ん
 できた訴訟です。ようやく最高裁で国と企業双方への勝訴と、一人親方や零細事業者も含めた救済が確定したことは、今後の全面解決の梃子となる大きな意義があります。
(2)判決理由の特徴
 【国の責任】
     最高裁は一人親方等に対する国の責任について、労働安全衛生法57条に基づく警告義務は、物の危険性又は場の危険性に着目した規制であって、危険物を扱う者が労働者か否か、或い
 はその場で作業する者が労働者か否かで危険性が変わるわけではないとして、安衛法に基づく規制権限は労働者のみならず、労働者に該当しない建設作業従事者も同法の保護の対象となるこ
 とを正面から認めました。
    【企業の責任】
     企業責任について、原告らは、アスベスト建材に関する国交省データベースに基づいて各職種毎の主要取扱建材を明らかにし、次に原告本人尋問の結果や被告の反論も踏まえて取扱建材を
    絞り込み、さらに建材の市場占有率(シェア)資料に基づいて、シェア上位企業の建材が現場に到達した可能性が高いことを主張立証しました。これを踏まえて、最高裁は、石綿建材が実際
    に被害者に到達したことの立証は不要であり、原告らの採った主張立証方法によって特定された建材は現場に到達したと推認できるとして、被告企業らに共同不法行為が成立するとしまし
 た。長年にわたって多数の現場を渡り歩いてきた原告たちにとって、加害企業や加害建材を特定することは極めて困難で、そのことが企業責任追及の壁になっていましたが、今回の最高裁判
 決はその壁に風穴を開けたといえます。
3 最高裁判決の限界~屋根工の救済を拒否
  大きな意義ある判決でしたが、他方で、京都一陣原告の木村さん(屋根工)の救済が認められなかったのは大きな問題点です。
  原審の大阪高裁判決は、産業衛生学会が平成13年に過剰生涯発がんリスクが10-3となる評価値0.15本/?を上回る屋外粉じん濃度測定結果があったこと等を理由に、平成14年
 1月1日~平成16年9月30日までの期間、屋外作業者に対する国の責任を認めました。しかし、最高裁はこれを覆して屋根工の救済を拒否しました。その理由として、最高裁は、0.1
 5本/?は法令の規制値ではなく学会の勧告に過ぎない、それを下回るデータもあった、屋外は屋内と異なり風等により換気される等として、屋外作業の危険性について予見可能性がなかっ
 たと言いました。
     しかし屋根上は外気があっても、電動工具を使って建材を切断すれば、粉じんは20~30㎝しか離れていない作業者の口や鼻を直撃します。木村さんも実際にそうした作業に従事してお
 り、基本的に屋内と変わらない量の粉じんを浴びていたのです。屋根工の粉じん作業の危険性を過小評価するのは現実をみない空論と言わねばなりません。また国は、平成15年7月22日
 に主に屋根工事に従事していた屋外工について、労災認定を行っており、遅くともこの時点で国が屋外作業の危険性を予見できたことは明らかです。最高裁判決の屋外に関する判断はいずれ
 是正されるべきでしょう。
4 国との基本合意の成立
  最高裁判決を受けて、翌5月18日、菅首相は総理官邸で原告団・弁護団と面会して謝罪しました。そこには京都一陣原告の義經さんも参加し、首相から直に謝罪を受けました。同日夜に
 は、田村厚労大臣が、与党のプロジェクトチーム同席の下、原告団・弁護団に直接謝罪し、国との和解に関する基本合意書に調印を行いました。 合意書によると、
 ア 国は、係属中の訴訟について、
   ① 「昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間に屋内作業に従事した者」
       又は
    「昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までの間に吹付作業に従事した者」で
   ② 「石綿関連疾患に罹患した者又はその相続人」に対し
   ③ 民法724条所定の期間制限に抵触していない限り
      病気の軽重に応じて一人550万円から最大1300万円の和解金(喫煙等による減額あり)、
  和解金の10%の弁護士費用、長期間の訴訟対応の負担を考慮した解決金総額30億円を支払
  うこととなりました。
  イ また未提訴の被害者に対しても、国は一人550万円から最大1300万円を支払うとともに、
  ウ 今後石綿被害を発生させないための対策や医療体制の確保、被害者に対する補償について、
  さらに継続的な協議を行うこと
  が合意されました。
5 さいごに
  これで2008年の東京一陣の提訴から13年、2011年の京都1陣の提訴から10年の長きにわたる闘いに一つのけじめがつきました。しかし京都の原告団長の寺前さん、副団長の青
 山さん、岩木さんはもうこの世にいません。約7割もの被害者が志半ばに亡くなっています。寺前さんは、亡くなる直前、病床で私に手を合わせて「最後まで頑張れずにすみません」と言っ
 て旅立ちました。我々は彼らの思いを背負って今ここにいます。いわばこれは彼らの文字どおり命懸けの闘いによって勝ち取られた成果といえるでしょう。そのことを率直に喜び、亡くなっ
 た方々の墓前に捧げたいと思います。
  しかしこれは全面解決ではありません。建材企業は依然として和解には加わっておらず、2陣訴訟では争い続けています。企業に対しては、改めて無益な争いを続けるのではなく、責任を
 認めて早期解決に向けて足を踏み出すよう強く求めたいと思います。また司法は屋外工の救済を拒否しましたが、それなら政治の責任で救済すべきです。無用な線引きを持ち込まず、国の高
 度成長を支えてきた全ての建築職人を分け隔てなく救済するように、与野党が協力して、救済法を速やかに制定するよう求めます。
  私たちは、引き続き2陣訴訟の全面解決、埋もれている被害の掘り起こしと救済のために全力で奮闘する決意です。今日まで支えて頂いた皆様に心から感謝申し上げるとともに、引き続き
 のご支援をお願いしたいと思います。
 (京都法律事務所は、京都建設アスベスト訴訟弁護団の事務局事務所を務めるとともに、福山和人・津島理恵・佐藤雄一郎の3弁護士が弁護団に参加しています。)
                                                                                   以上

国と企業への勝訴が最高裁判決で確定したこと(一部破棄差し戻しを含む)、一人親方も救済されたこと、企業の共同不法行為が認められたこと、石綿建材が実際に被害者に到達したことの立証は不要でシェア等による到達の推認は合理的とされたこと等は大きな成果だ。

この訴訟は、最初の判決で国にも企業にも全面敗訴した。そこから各地の原告と弁護団、支援組合が力を合わせて、一歩ずつ道なき道を拓いてきた。東京地裁で国責任を認めさせ、京都地裁で企業責任をこじ開け、大阪地裁では国の責任割合を2分の1に増額させ、東京高裁で一人親方の救済をかち取るなど、10年以上かけてここまでたどり着いた。

しかしこの結果を見ることなく、約7割もの被害者が志半ばに亡くなっている。京都の原告団長の寺前さんは、亡くなる直前、病床で僕に手を合わせて「最後まで頑張れずにすみません」と言って旅立った。

僕らは彼らの思いを背負ってここにいる。いわばこれは彼らの文字どおり命懸けの闘いによって勝ち取られた成果だ。そのことを率直に喜び、亡くなった方々の墓前に捧げたい。

だが大阪高裁判決が平成14.1.1~16.9.30の間、屋根工一人に対する国と企業の責任を認めたのに、最高裁はこれを破棄して救済を否定した。その原告は他ならぬ僕が担当した木村さんだ。自らの責任と無念を痛感する。

屋外は風により換気されるとか、規制値より低いデータもあったから、屋外の危険性について予見可能性がなかったと最高裁は言う。しかし国は平成15年に屋根作業に従事していた屋外工について労災認定していたではないか! 国は屋外の危険性を当時から知っていたのだ。また屋根工の石綿疾患発症数は大工や左官などよりよほど多い。僕らはそれらを訴えた。しかし最高裁は一顧だにしなかった。はっきり言う。最高裁は間違っている。

この問題ではすでに政治も動き始めている。司法が救済しないなら政治が救済の役割を果たすべきだ。救済に無用な線引きを持ち込まず、国の高度成長を支えてきた全ての建築職人を分け隔てなく救済するよう切望したい。

DSC01750.JPG2021年5月14日、関西建設アスベスト京都(二陣)訴訟の3次提訴を行いました。

提訴したのはいずれも京都市内に居住する建築作業従事者及びその遺族の合計7人(被害者単位では4人)です。4人の被害者はいずれも大工で、疾病別では肺がんが2人、中皮腫が1人、石綿肺が1人です。既に亡くなった方が3人、生存原告が1人です。
これで京都二陣訴訟は、被害者単位で30人、原告数で40人の集団訴訟となりました。
週明け5月17日には京都一陣訴訟についての最高裁判決も出されます。
一陣訴訟では屋外工(屋根工)1人を除く24人の被害者との関係で、国と企業の責任が確定しました。しかし国も企業も二陣訴訟では今のところ争いをやめていません。日本では2006年にアスベストの使用が禁止されるまで多数の建材にアスベストが使用されてきました。2006年禁止時点の建設業従事者は全国で約560万人、そのうち相当数の方が10年から40年という長期の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫などの石綿疾患を発症する危険があります。今後、数十年の間に10万人の死者が出るとの推定もされています。
原告たちは裁判によらなくとも被害救済するための補償基金を、国と建材メーカーの責任で創設するよう求めています。そうした制度を早急に制定しないと今後も裁判が延々と繰り返されることになるでしょう。しかし、被害者や家族に、時間と労力を費やす裁判を強いるのではなく、補償基金の創設により早期の全面解決を図ることが強く求められます。

P8310016.jpg2021年5月17日午後3時から、関西建設アスベスト京都(一陣)訴訟の最高裁判決が言い渡されます。この日は、東京、神奈川、京都、大阪の4訴訟について最高裁がまとめて判決を言い渡します。

2008年5月16日に、東京一陣訴訟が提訴されて丸13年、2011年6月3日に京都一陣訴訟が提訴されてから約10年かかってようやく最終決着を迎えることになました。

この裁判は、大工や左官、電気工、配管工、解体工など建設現場で働く職人たちが、建材に含まれるアスベスト(石綿)の粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫、石綿肺などの重い呼吸器疾患を患ったことから、アスベスト含有建材を製造販売した建材メーカーと、適切な規制を怠った国に対して、損害賠償を求めた事件です。京都一陣では被害者25人中、約7割の17人がすでに亡くなっています。
アスベストの危険性は戦前から知られており、その医学的知見は、石綿肺については1940年(内務省・保険院報告)、肺がんについては1955年(ドール博士報告)、中皮腫については1965年(1964年:NY科学アカデミー、国際対ガン連合=UICC「報告と勧告」)には確立していたと考えられています。また1972年(ILO・WHO報告)には少量曝露による中皮腫発症の危険も明らかとなり、閾値がないことも知られるようになりました。当然、国やメーカーもそれを知っていました。しかし戦後の高度成長期に、国策として進められた都市化政策のために、官民が一体となって安価な耐火材であるアスベストを大量に普及しました。現場の建築職人はその危険性を何も知らされず、電動工具などを使用してアスベスト含有建材を切断したり、吹付作業を行うなどして、大量のアスベスト粉じんを浴び発病したのです。
国は、1971年時点で建設現場が危険だということを認識し、同年制定の旧特化則で石綿を微量でも危険な第2分類物質に指定しました。本来、そのときにブレーキを踏むべきでした。しかし国と企業はその後もアクセルを踏み続けました。その結果、石綿スレート出荷数は1973年に1億554万枚と第1のピークを迎え、1990年には8748万枚と第2のピークを迎えました。いずれも国が危険性を認識した後のことです。少なくとも70年代に抜本的な規制をかけていれば、今日の被害は大きく減らせることができたはずです。
 世界的にも、アスベストの危険性が明らかとなり、1980年代以降多くの国がアスベスト使用を禁止するようになりました。しかし日本では、2006年までアスベストが使用され続けました。その結果、我が国では、毎年約1500人が中皮腫で死亡する事態となっています。肺がんや石綿肺等による死者も含めると今後我が国だけで10万人が死亡すると推定されており、史上最大の産業被害と言われています。
建設職人は国と企業が護送船団方式で進めた国策の被害者ということができます。この構図は、過去の薬害・公害訴訟や原発被害と全く同じです。本件ではそのことが問われているといえます。
京都一陣の被害者25人中24人については、既に最高裁が国と企業の上告を退けたので、大阪高裁の勝訴判決が確定しました。しかし最高裁は、大阪高裁で国と企業に勝訴した屋外工(屋根工)一人について、国と企業の上告を受理したため、高裁判決が見直される可能性があります。しかし、建設現場の危険性について屋内屋外で差はありません。
最高裁判決では、国と建材企業の責任を明確に断罪すること、いわゆる一人親方や零細事業主をも救済の対象に含めること、屋内作業・屋外作業の区別なく全ての建設作業従事者を等しく救済することが求められています。多くの皆様にご注目頂きたいと思います。
(当事務所は、京都訴訟の事務局事務所を務め、福山和人、津島理恵、佐藤雄一郎の3弁護士が弁護団に参加しています。)

田村厚労大臣が謝罪

田村厚労大臣が建設アスベスト京都一陣訴訟の原告たちに謝罪した。提訴から約10年。ようやくここまでたどり着いた。

記事の写真に写っている寺前原告団長、青山・岩木両副団長の三人はみなこの世にいない。余りにも遅すぎる謝罪だ。

寺前さんは僕が尋問を担当した。亡くなる直前に病院で会ったとき、寺前さんは最後まで頑張れずすみませんと手を合わせた。その光景が今も目に焼き付いている。彼らの写真の前で、代読とは言え大臣の謝罪をかちとったのは感無量だ。

国と建材メーカーは、危険なアスベストを「奇跡の鉱物」と称して、危険性を警告せず、必要な曝露防止策も怠ったまま普及を推進した。言わば国とメーカーが護送船団方式で進めた国策により、何も知らず犠牲になったのが建設作業従事者なのだ。

毒をばらまいたメーカーの責任は明らかだ。けれどブレーキを踏まなかった厚労省のみならず、アクセルを踏んだ通産省や建設省も共犯だ。その結果、かけがえのない命がたくさん奪われた。その意味では厚労相の謝罪程度では全然足りない。本来なら内閣の責任者である菅首相が土下座して詫びても足りないくらいだ。

一陣については謝罪したが国と企業は二陣訴訟ではまだ争っている。何度も何度も責任が断罪され、最高裁で国と主要建材メーカーの責任が確定したのに、何故無益な裁判を続けるのだろうか? 被害者には時間がない。命あるうちの全面解決を国とメーカーには強く求めたい。

 

田村厚労大臣謝罪文(20210325)PDF

当事務所が事務局事務所を務める建設アスベスト京都(1陣)訴訟に関して、1月28日に最高裁第1小法廷が国と建材メーカーの上告の大部分を退ける決定を行いました。これを受けて以下の声明を発表しました。
    声 明
          2021年1月29日
                                         関西建設アスベスト京都訴訟原告団
                                         関西建設アスベスト京都訴訟弁護団
                                         全京都建築労働組合
                                         関西建設アスベスト訴訟統一本部
                                
1 2021年1月28日、最高裁判所第1小法廷(深山卓也裁判長)は、関西建設アスベスト京都1陣訴訟(被災者25名、一審原告27名)において、一審被告国の上告受理申立について、被災者1名(屋外工)に対する関係を除いて不受理とするとともに、一審被告企業のうち原審で責任が認められた10社の上告及び上告受理申立については、2社(クボタ、ケイミュー)を除き、8社(A&A、太平洋セメント、ニチアス、日鉄ケミカル、大建、ノザワ、MMK、日本バルカー)につき上告棄却・不受理と決定した。
   これにより、一審被告国の責任について、原審の大阪高等裁判所第4民事部(田川直之裁判長)判決が、被災者25名中24名に対する関係で確定した(国の確定賠償額は総額1億7933万円余り)。また建材企業の責任については、被災者25名中21名との関係で、8社の責任が確定した(確定賠償額は総額1億0360万円余り)。
   今後、上告が受理された点に関して、本年3月22日午後1時30分から上告審の弁論が行われる予定である。
2 国の責任について
  首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟における最高裁の2020年12月14日付上告不受理決定により、本件における国の規制権限不行使の責任が確定したが、それに続く本決定により、そのことはより一層明確となった。また建築労働者と等しく現場で働き,等しく被害を受けた一人親方や零細事業主に対する関係でも、国の規制権限不行使の責任がより明確となった。さらに京都1陣訴訟の被災者25名中ほぼ全員の24名の救済を認めたことも積極的に評価できる。
    違法期間や違法事由の範囲等に関する最高裁の具体的判断は、現時点では不明であるが、最高裁には救済範囲をできる限り拡大する方向での積極的判断を求めたい。
3 建材メーカーらの責任について
  本決定により、主要なアスベスト建材企業である8社について、石綿の危険性を知りながら利益のために適切な警告を尽くさずに、製造・販売を続けたことの共同不法行為責任を認めた大阪高裁判決が確定した。責任が確定した8社は、シェア上位企業であり、その責任が確定したことは、今後の被害者救済にとって大きな意義がある。上告が受理された2社はいずれも高裁判決において、屋外工に対する賠償責任が認められた企業であり、その意味では、屋外工に対する関係を除いて、建材企業の警告義務違反に基づく共同不法行為責任はこれで決着した。建材企業の共同不法行為責任が最高裁で確定したのは初めてであり、今後の被害救済につながる大きな成果と言える。
4 屋外作業について
  最高裁は、屋外工(屋根工)1名との関係で、平成14年1月1日以降の国と企業の責任を認めた大阪高裁判決を見直す可能性がある。しかし建設現場における石綿粉じん曝露の危険性は屋内外で本質的に異なるところはない。その点は海外の規制を見ても明らかであり、屋外作業を規制対象から除外することはできない。この点は、今後上告審において最高裁に強く訴えていきたい。
5 全ての被害者への謝罪と償い、早期解決を
  2008年5月16日に首都圏建設アスベスト訴訟が東京地裁に提訴されてからすでに12年8ヶ月、2011年6月3日に京都1陣訴訟が京都地裁に提訴されてから9年7ヶ月が経過した。その間に、多くの被害者が解決を見ることなく亡くなっている。国も企業も責任が確定した今、これ以上の解決の引き延ばしは許されない。早期全面解決に踏み出すべきである。
   私たちは、国と企業に対し、第1に京都訴訟の原告ら被害者に真摯に謝罪するよう求める。第2に全ての建設アスベスト訴訟の早期全面解決と被害者への公正な償いを求める。第3に、建設アスベスト被害者補償基金の創設等の抜本対策を講ずるよう強く求める。
   私たちは、建設アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため、全国の被災者、労働者、市民と連帯して、引き続き奮闘する決意である。
                                  以上

京都建設アスベスト2陣訴訟の追加提訴

2020年3月24日、関西建設アスベスト京都2陣訴訟の追加提訴を行いました。

この事件は、建設現場においてアスベスト含有建材の切断や加工等の業務に従事する中で、アスベスト粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫などの致死性疾患に罹患した建設業従事者とその遺族が、危険性を知りながら、アスベスト建材を製造販売した建材メーカーと規制を怠った国を相手取って、損害賠償を求めている事件です。
全国的には、北海道、東京、神奈川、京都、大阪、九州の6カ所で裁判がたたかわれており、すでに国と企業の責任を認める判決が相次いで出されています。
京都では、2011年6月3日、第1陣訴訟を京都地裁に提訴、2016年1月29日京都地裁判決、2018年8月31日大阪高裁判決で、いずれも国と企業双方に勝訴、特に大阪高裁判決では、一人親方に対する国の責任も認めさせ、原告全員が救済される画期的な勝訴を勝ち取りました。1陣訴訟は現在、最高裁第1小法廷に係属しています。
この1陣のたたかいと並行して、2017年1月24日、私たちは19人の原告(被害者数16)で京都2陣訴訟を提訴し、14人の原告(被害者数10)で2次提訴を行いました。これで2陣訴訟の原告は33人(被害者数26)となります。原告のうち、生存原告は10人、遺族原告が23人となります。被害者の職種は、大工、型枠大工、、電工、左官、解体工、配管工、塗装工、鉄工1、軽天工1と多岐にわたっています。
アスベストの危険性や建材にそれが含有されていることさえ知らされずに、ただまじめに頑張ってきた建築業従事者が長年の潜伏期間を経て、次々と呼吸困難に陥って亡くなる、こんな痛ましい被害に対して、謝罪と全面的な救済、そして予防を含めた総合的対策を求めて、引き続き頑張っていきたいと思います。

P3240009.JPG

DSC02206.JPGのサムネール画像

P8310083.JPGのサムネール画像

◆事件の概要
 2018年8月31日、大阪高等裁判所第4民事部(田川直之裁判長)は、関西建設アスベスト京都1陣訴訟において、国及び建材企業の責任を認め、国に対して総額1億8885万円余り、建材企業10社に対して総額1億1319万円余りの支払いを命じる1審原告全面勝訴判決を言い渡しました。
    この事件は、建築現場において建材から生じたアスベスト粉じんにばく露し、肺がん・中皮腫等の重篤な病に罹患した建築作業従事者とその遺族が、アスベスト建材の製造販売企業と規制を怠って流通を促進した国に賠償を求めた訴訟です。被害者25名のうち、既に16名が死亡(提訴後死亡者11名)という現実が物語るように、その被害は極めて深刻です。
    本判決は、一人親方の救済と企業責任を両方認めた全国初の判決で、画期的な勝訴判決です。特筆すべきは、京都地裁の1審判決で唯一敗訴した1審原告についても請求を認容し、文字通り全員勝訴判決となったことです。1審判決のときは勝訴判決に沸き立つ中で、一人うな垂れる遺族原告がおられたことが痛恨の思いでしたが、今回は本当にうれしかったです。
◆国の責任
    本判決は、国の責任について、1審判決に引き続き、以下の責任を認めました。
  【吹付作業との関係】
    1972年10月1日~1975年9月3日まで、①送気マスク着用義務付け、②警告表示義務付けを怠った責任
  【屋内作業との関係】
    1974年1月1日~2004年9月30日まで(マスクは平成7年まで)、①防じんマスク着用及び集じん機付き電動工具使用義務付け、②警告表示義務付けを怠った責任
  【屋外作業との関係】
    2002年1月1日~2004年9月30日まで、①集じん機付き電動工具使用義務付け、②警告表示の義務づけ等を怠ったことの責任
    特に、本判決は”一人親方”と呼ばれる個人・零細事業主に対する関係で、国が警告表示義務付けを怠った責任を認めました。建設業界ではコスト削減等のために多くの建設労働者が早々に独立して(させられて)、一人親方として就労するケースが多いのですが、従来の判決では、労働安全衛生法は労働者を保護するもので一人親方は保護の対象外だとして救済が認められませんでした。しかし労働者と同じように等しく罹患した彼らが保護されないというのは著しい不条理で、これを認めさせたことには大きな意義があります。
◆企業の責任
    本判決は、企業責任についても1審判決を踏襲して、吹付工との関係では1972年10月1日から、屋内作業者との関係では1974年1月1日から、屋外作業者との関係では2002年1月1日から、各建材の販売終了時まで、石綿含有の有無や危険性等について警告表示を行わずに製造販売した責任を認めました。
    京都地裁の1審判決は全国で初めて企業責任を認めた画期的な判決でしたが、高裁がそれを維持しさらに企業に対する責任追及の門戸を拡げるのかも大きな争点でした。特に、今年3月の東京1陣訴訟東京高裁判決が企業責任を否定していただけに、その流れを断ち切ることができるかが問われていました。
    この点、本判決は、建材企業が警告表示をせずにアスベスト含有建材を製造販売した共同不法行為責任を認め、1審判決の9社から10社に責任を負うべき企業の範囲を拡げました。
    そもそも多数の現場を渡り歩き、不特定多数の建材から長期にわたって石綿粉じんに曝露し続ける建設作業従事者にとっては、どの企業のどの建材からアスベスト粉じんを吸引したのかの特定が極めて困難です。被告企業らは共同不法行為成立の要件として個々の建材の到達が必要と主張しましたが、本判決は、事案の特性を踏まえて、到達は不要で「到達の相当程度以上の可能性」があれば足りると明確化し、被害者救済の道を拡げました。
◆ 全国でのたたかいと今後の課題
  建設アスベスト訴訟は、2008年5月16日に首都圏訴訟が東京地裁に提訴されて以降、札幌、横浜、京都、大阪、福岡の6地裁で裁判がたたかわれてきました。京都では、2011年6月3日に1陣訴訟を提訴、2017年1月24日に2陣訴訟を提訴してたたかってきました。
    本判決の約3週間後、9月20日には、大阪1陣訴訟の大阪高裁判決が言い渡され、そこでも一人親方の救済も含めて国の責任が認められるとともに、企業責任も認められる全面勝訴判決が言い渡されました。しかも同判決は、高裁レベルで初めて国がアスベスト含有建材の製造禁止を怠った責任も認めるとともに、国の住宅政策に起因して被害が拡大したとして、国の責任割合をこれまでの3分の1から2分の1に引き上げました。
    このように、京都・大阪の高裁W判決は、一人親方救済と企業責任がもはや高裁レベルでも揺るぎない司法判断の流れとなったことを決定づけるとともに、違法事由や責任期間、責任割合などで、被害救済を大きく拡げるものとなりました。特に国は、これで10連敗です。これ以上、徒に裁判を続けて解決を引き延ばすのではなく、「命あるうちの解決」という原告たちの願いに応えて、早期に全面解決を図ることが必要です。アスベスト使用の建物の解体のピークは2030年代で、今後数十万人の被害者が出ると推定されています。史上最大の産業被害と言われる建設アスベスト被害の早期解決のために、私たちは被害救済のための基金制度の創設を国と企業に呼びかけています。これはもはや待ったなしの課題です。
 残念ながら国と企業が上告したため、私たちも上告しましたが、今後、裁判に全力で取り組みながら、アスベスト被害者の完全救済と被害根絶を求める法廷外の運動でも奮闘していきたいと思います。
20429742_804849153008212_1318418771621893414_n.jpg

7月27日に、関西建設アスベスト京都訴訟(1陣)の大阪高裁第4回弁論がありました。いよいよ、来年2月9日の第6回弁論で結審と決定!  2018年秋頃に判決言渡しの見込みです。昨年1月の京都地裁判決は、全国で初めて国と建材メーカー双方の責任を認める画期的な原告勝訴判決でした。高裁ではこれを維持し、更に前進させることが必要です。ここからが正念場。頑張ります。

P1050001.JPG 2017年4月24日、京都地裁第1民事部で、京都建設アスベスト訴訟(2陣)の第1回弁論が行われました。この裁判は、建設現場でアスベスト粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫などの病気になった建設作業従事者やその遺族が、危険と知りつつアスベスト建材を製造販売し続けた企業と、それを野放しにした国に謝罪と補償を求めているものです。


 京都地裁での1陣訴訟では、2016年1月29日に、国と企業の責任を認める原告勝訴判決が言い渡されました。2陣でもその到達点をさらに前進させる判決が求められます。

 アスベストは2006年に全面禁止されるまで使われ続けました。国の調査では、全国で現存する約300万棟もの建物に吹付アスベストが使われているとのことです。それらの解体のピークは平成40年と言われており、今後も被害が拡大するおそれがあります。しかも肺がん、中皮腫、石綿肺などのアスベスト疾患は15~50年という長期の潜伏期間を経て発症します。我が国では、毎年、1400人の方が中皮腫で死亡していますが、肺がんや石綿肺等を含めると、今後10万人が死亡すると推定されています。アスベスト被害は、過去の問題ではなく、今を生きる私たちの問題なのです。

 多くの皆さんのご支援を御願いしたいと思います。

ボクが建設アスベスト訴訟に取り組む理由

 アスベスト(石綿)と聞いて、何を思い浮かべますか? 僕は小学校の理科の授業で、アルコールランプでお湯を沸かすとき、石綿付きの金網をビーカーの下に敷いていたことを思い出します。
 今、大工や左官など、建設現場で働く人たちの中で、アスベストが原因の肺ガン、中皮腫などの病気が増えています。
 アスベストは、耐熱性、耐火性等に優れており、安価であったことから、高度成長期やバブル期の建設ラッシュの時期に大量に輸入され、多くは建材に使われました。その結果、建設現場で建材を切断・加工したり、解体する際に、大量の石綿粉じんが発生し、建設業従事者がそれを吸い込みました。アスベスト輸入のピークは1974年と1988年です。アスベストは「静かな時限爆弾」と言われ、長期の潜伏期間を経て発病するため、今ごろになって患者が増加しているのです。
 本当は、国や企業はアスベストが危険なことを知っていました。戦前から、外国での報告や国内の調査で、石綿の危険性の報告がされていたのです。1972年には、肺ガンや中皮腫を発症しないという安全値はないこと、つまり低濃度でもガンになるということも明確になりました。ところが、企業は危険と知りながら、大量の石綿含有建材を製造・流通させ、政府も2006年まで使用禁止せず、流通を促進し続けました。これは人災です。
 経済のために、人の命が軽んじられる構造は、イタイイタイ病や水俣病、四日市公害訴訟をはじめ、エイズ、ヤコブ、肝炎等の薬害事件でも繰り返されてきました。これ以上繰り返されてはならない。そう思います。
 2011年6月3日、私たちは、関西建設アスベスト京都訴訟の提訴を行いました。同年12月には2時提訴、今年7月には3時提訴を行い、現在、原告は20名となっています。被告は国と企業43社です。
 今年5月には、横浜地裁で同種事件について、原告敗訴の判決が言い渡されました。
人の命より産業の方が大事という不当判決です。今、東日本大震災などで、震災がれきの処理が問題となっていますが、原告たちは、ボランティアの人たちがアスベスト粉じんを浴びるのではないかと心配しています。自分のことより人の心配をする、それが職人の心意気です。格好いいと思いませんか? それがボクがアスベスト訴訟に取り組んでいる理由です。(2012.7.24)

 

京都建設アスベスト訴訟を提訴しました!!!

   建設アスベスト提訴集会20110603.JPG去る6月3日、京都府内で建設業に従事し、その結果、アスベスト(石綿)を含む粉じんを吸引したことにより、肺ガンや中皮腫などの重い疾病にかかった建設業従事者11名が原告となって、国とアスベスト含有建材製造メーカー44社に対して損害賠償を求める京都建設アスベスト訴訟が提訴されました。

 

(さらに…)