1. 「相続をさせない」という遺言はできるか。
遺言の相談

「相続をさせない」という遺言はできるか。

Q.私には三人の子どもがいますが、事情があって、そのうちの一人には私の財産を相続させないという遺言を作りました。何か問題がありますか。

 
A.遺言は、自分の財産について、その死後の帰属を本人の自由に任せる制度ですが、これには遺留分という制約があります。
  この遺留分とは、相続財産のうち、法が相続人に取得させるべきものとして定めている財産の割合です。

  この遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人であるときは遺産の3分の1、その他の場合は遺産の2分の1と定められています。
  兄弟姉妹には遺留分はありません。
  相続人が子ども3人だけの場合、子どもは各自遺産について6分の1ずつ遺留分をもっています。

  1人の子どもにはまったく遺産を相続させない遺言は、その子どもの遺留分(6分の1)を侵害していることになります。
  しかし、このような遺言も無効でなく有効です。
  ただ、後に遺留分を侵害された子どもが遺留分減殺請求をすると、その子どもに遺留分相当の財産を分け与えなければならなくなるだけです。
 
  そして、この請求は遺留分を侵害さたことを知ってから1年以内に行使しないと時効消滅してしまうものです。