Q.10
私は、ある信販会社でクレジットを組んで、分割払いで5万円のミニコンポを買いました。ところが、そのコンポには欠陥があったらしく、まもなく音が出なくなってしまいました。これを理由に信販会社への支払を拒むことはできますか。またすでに支払ったお金を返してもらうことはできますか。
1 販売店には文句を言えるが、信販会社への支払を拒むことはできない。
2 信販会社に対して支払を拒むことはできるが、既払分の返還請求はでき
ない。
3 信販会社に対して支払を拒むことができるし、既払分の返還請求もでき
る。
A.2
解説 ・クレジット契約で購入した商品が引渡されない、商品が見本とは違っている、商品に欠陥があったなどのように、販売業者に対する「抗弁事由」がある場合には、その抗弁事由をもって、信販会社にも抗弁することでクレジットの支払請求を拒否することができる(割賦販売法第30条の4)。これを支払停止抗弁あるいは抗弁の接続という。
・支払停止抗弁が認められるのは、
①割賦購入あっせん契約(クレジット契約)であること
②指定商品・指定権利・指定役務であること
③2カ月以上の期間にわたる3回以上の分割払いであること
④販売業者に対し抗弁事由があること
⑤支払総額が4万円以上であること
⑥購入者(契約者)にとって商行為とならないこと
・基本的に販売店に対する全てのクレームが抗弁事由となる
ex 売買契約が成立していない場合
商品の引渡しが無い
商品に欠陥がある、あるいは見本やカタログと明らかに異なっている
商品の販売条件となっている役務の提供がなされない
販売業者側に債務不履行がある
売買契約が取消しできる場合(詐欺・脅迫・未成年者など)
売買契約が無効となる場合(錯誤など)等
・ただし、支払停止抗弁は、支払済の割賦金の返還請求については及ばない。
このような場合には、販売会社に対して「不当利得の返還請求」という形で
既払相当額の返還を請求するしかない。