1. 貸家の火災
借地借家の相談

貸家の火災


Q.私は親の代から貸家を持っていましたが、先日、1人暮らしの借主の不注意から火事を出してしまい、貸家が全焼してしたほか、隣家も類焼させてしまいました。私と借主や隣家との関係、借主と隣家との関係はどうなりますか。
 
  
A.まず、あなたと借主との間では、建物が火災で全焼してしまった以上、建物を貸して居住させるという契約はなくなることになります。
  しかし、火事の原因が借主の不注意にある以上、借主に対し損害賠償を請求することができます。
 
  次に、あなたと隣家との間では、自分が貸している借主に落ち度があっても責任を負うことはありません。
  
  問題は、借主と(家が類焼にあった)隣家との関係です。
  この場合、失火責任法が適用されることになりますが、同法は失火の場合の責任について、我が国では木造家屋が多いことなどを考慮して、重大な過失がある場合に限定しています。
  この重大な過失とは、わずかな注意さえすれば、たやすく結果を予想し得たのに、漫然と見過ごしたような、ほとんど故意に近いような著しい注意の欠如をいうとされています。
 
  したがって、設問の場合、借主が火を出したことについて、重大な過失があったかどうかによって、借主が隣家に損害賠償義務を負担するかどうかが決まることになります。