1. 実子扱いの「特別養子」
親族関係の相談

実子扱いの「特別養子」

Q.特別養子制度とは、どのようなものですか?

   
A.「養子制度」のところで説明したのは「普通養子縁組」と呼ばれるものでした。
  しかし、この養子縁組手続では、戸籍簿の欄には、実父母と養父母とが併せて記載されます。
  そのため、生まれたばかりの他人の赤ちゃんを子どものいない夫婦の実子として届け出をする「赤ちゃんあっせん事件」や「2組の親」の存在から起こるトラブルも少なくありませんでした。

  そこで、民法が1987年に改正され、「普通養子縁組」とは別に、養子を養親の実子として扱う「特別養子制度」が創設されました((民法)817条の2~)。
 
  特別養子には

 ① 原則として6歳未満の子を対象に、実親の監護が著しく困難などの場合、家庭裁判所で6ヵ月以上養育状況を観察した後、審判で縁組を成立させる

 ② 養親は、少なくとも一方が25歳以上の夫婦であること

 ③ 縁組は養親側が申し立てて、原則として実親の同意を要する

 などの条件を満たせば、養親夫婦の実子として扱われ、実親との親族関係は原則として消滅します。

  特別養子の場合、養親からの離縁は認められませんが、養子が養親から虐待を受けたような時には、家裁が認めた場合に限り、離縁は認められます。
  そして、その離縁の日から、実親との親族関係も復活します。